僕は、サウジアラビアで働くことになった。
サウジを内側から見たその様々な「魅力」の記録第13弾。
今回は一時帰国のためにサウジで行った「PCR検査編」。これがとんでもない結果につながるとは、この時は誰も予想しなかった?(→次回のブログで、明らかに!)
一時帰国が決まり、夏の間一か月、久々の日本に戻れることになった。
帰ったらまずしたいことは、卵かけご飯を腹いっぱい食べること。サウジでは、というより外国では、生卵を食べられないのだ。日本の養鶏場の努力のたまもの?を改めて感じる。
次にしたいのは、とんかつと牛丼を腹いっぱい食べること。サウジでは豚肉は宗教上ご法度である。牛肉はあるのだが、細切れ肉って通常のスーパーではなかなかお目にかかれないのだ。厚くて固い。
そしてお寿司を腹いっぱい食べること。サウジにも日本食レストランはあるので食べられるのだが、庶民の僕には手が届かない値段。日本の回転寿司に勝るコスパはないだろう。
三連荘で食べ物が並んだが、もう一つやりたいのは、マンガ喫茶。日本にいるときは、8時間くらいぶっ通しで満喫にお世話になることもあるほど好きだからだ。
(他の方だったら、サウジは宗教上アルコール禁止なので、真っ先に「ビール」っていうところだろうが、僕は下戸なので別にお酒に興味はないのだ。)・・・と、ここまではどうでもいい話。
帰国前にやらなければいけないのが、PCR検査だ。
サウジ渡航前に日本で受けたときは、まだ観光の海外渡航が禁止されているときだったので近くに検査場所がなく、車で1時間半かけて奥さんと市外の病院へ出かけていって受けた。そこでは、駐車場に看護婦さんが出てきて、車に乗ったまま検査をする形だった。
翌日、陰性証明書をまた取りに行ったが、二人分の検査料で90,000円もかかった。
◆ ◆ ◆ ◆
奥さんが帰国した1月末は特に指定はなかったのに、その直後から、日本は入国時、独自の書式の陰性証明書を求めるようになったため、奥さんが受けた所とは異なる、その書式を発行してくれる検査場へ行くことにした。
仕事場のサウジ人の同僚に電話して聞いてもらったら、イードの期間中であるが予約なしで朝8時からやっているとのこと。(イード;イスラム教の断食明け祝祭で一週間ほどの休日。)
僕は自転車で走るのが趣味ではあるが、現在サウジでは、午後は43度を超える。暑いというより、日差しは「痛い」。外を歩いている人などいるわけもなく、最初はUberで行こうかと思った。しかし、途中で買い物をしたり、銀行へ寄ったり、食事をしたりしたかったので、やはり、暑くなる前の午前中に自転車で行くことにした。
目指すは、10㎞ほどの距離にある「ファラビ・ラボ」という医療研究所だ。自転車で50分なのでそんなにたいしたことはない。
帰国2日前、朝8時半に家を出た。もちろんすでに暑い。見ると気温は33度。
途中、ミニスーパーによったりして、着いたのは9:20。
ファラビ・ラボは8時からやってるわけだから当然開いてると思いきや、扉は締まり、「今日は9時から」の張り紙が貼ってある。おいおい、もう20分も過ぎてるぞ、と思って扉をたたいても誰も出てこない。まさに“サウジあるある”だ。
“2段階”で裏切られ、ダブルショックを受けつつ、よく見ると、前には車が数台停まり、何人かが待っているようだ。彼らも僕と同じ立場らしい(違うのは彼らはクーラーの利く車内で待てること〕。
仕方がないので、僕も待つことにした。隣のスーパーで水を補給し、日陰で座っていると、少しして、車の中の中国人の青年が話しかけてきた。僕が英語が苦手だというと、ゆっくり話してくれた。彼が同系列の他の所に電話をしてみると、ここはイードのために今日は休みだという。だから自分は別の「ファラビ・ラボ」へ行くということだった。
時計を見るとすでに10時を過ぎている。これ以上過ぎると、帰りに体が焦げる?かもしれない。おまけにスマホのバッテリーが20パーセントを切っていた。
そこで、僕は別の「ファラビ」を探すのではなく、この近くにある、奥さんが行った「デルタ・ラボ」へ行くことにした。そこは、日本の書式での陰性証明書は出してくれないが、同じ項目が記載されてあればいいはずだから、追記を頼めばいい。
「デルタ」はやっていた。
半年前利用した時より確実にシステム化され、待合室にあるQRコードをスマホで読み込み、その書式に自分で名前やパスポートナンバーなど打ち込んで受付に臨む方式だった。
いや、これは困った。スマホのバッテリー問題だ。すでに10パーセントに近づきつつある。おまけに、まずは書式の確認もしなければならない。
ということで、受付に直談判に行った。日本人だとわかると、この面倒くさい客に、とっても親身に相談に乗ってくれた。これも、まさしく“サウジあるある”だ。日本人だとわかると、サウジ人はとても好意的に対応してくれるのだ。
そして、運がいいことに、受付の一人(若い女性)は日本語をならっていて、片言の日本語を駆使して説明してくれたのである。おまけに、彼女の友達の日本人がサウジに住んでいて、柔道をやっており、その友達はオリンピックで日本へ今行ってる最中で、そのためのPCR検査をここで受けていったとのこと。だから、ここの書式でOKと言われ安心した。
彼女はとても親切で、僕がスマホの入力に戸惑っていると、貸してとばかりに取り上げ、どんどん入力してくれ、おまけにバッテリーが足りないと気付いて充電も始めてくれた。検査が終わるまでここで充電しておくからとまで言ってくれた。ありがたやありがたや。
検査は、日本と同じ、鼻の奥にぐっと押し込む「鼻咽頭ぬぐい液」方式で、あっという間だった。
こうして翌日、無事に陰性証明は発行されたのである。
ちなみに、料金は6時間後発行→19,800円、12時間後発行→13,200円、24時間後発行→6,600円だった。
と、と、ところが・・・(下記;日本入国時の「PCR騒動編」へ続く)