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<つまらん理由 その①>

 音楽の授業では歌をいっぱい歌う。先生は、発声に気をつけさせながらいいハーモニーを奏でるよう真剣に教える。ブレスやダイナミクスを駆使して、より感動的な曲想の作り方も教える。

 ところが・・・だ。

 音楽の期末テストには、授業でがんばってきたことは一つも出ない。

 授業中、どんなにがんばって歌っていても、そんなのは期末テストには全然関係ない。出るのは、楽典問題ばかりだ。ピアノをやってる子や吹奏楽部の子なら楽勝だろうが、そうじゃない子には難解な問題だ。

 歌詞の書き取り問題だってそうだ。授業でさぼって歌ってなくても、暗記だけしておけば点数はとれる。

 僕の中学校時代、音楽の授業は、居眠りをしててあまり真面目に授業を受けていなかった。でも、定期テストはほとんど満点。ピアノをやっていたし、テスト週間に教科書を詰め込めばそれで点は取れたからだ。歌も、実技テストの時だけ音程よく口を開けて歌っていれば、評定は常に5だった。

 僕は、“こんないやな生徒”に5はやりたくない!(って、どの口が言うってか?)

 

 実技教科の体育・美術は授業内で、観察・机間指導をする時間が十分にとれる。体育は、離れた場所からまとめのゲームの中の動きで評価ができるし、美術は、授業内はもちろん、描かせた後に集めて時間外にもじっくり評価ができる。実技の力は、常日頃から評価できるわけだ。

 それに対して音楽という教科は、授業中、教師はピアノを弾いている場合が多いし、合唱の最中、一人一人の声を聞き分けることは不可能だ。さらに、声は一瞬で消えてしまうため、授業内での評価はたいへん難しい。


 体育・美術は、だから期末テストで知識重視の問題を出しても、正確に評価ができるが、音楽は、期末テストで知識ばかりを詰め込んだ問題を出したのでは、授業態度や音楽のセンスにかかわらず、頭のいい者、ピアノを習っている者がいい評価をもっていってしまうことになる。

 この問題を打破するためには、音楽の期末テストにおいて、知識問題ではなく、授業での意欲や態度を問える問題、そして授業の中で培ってきた曲想の工夫や、聴取の力を問う問題づくりをしなくてはならない。


<つまらん理由 その②>

 2学期は、合唱コンクールの課題曲や自由曲を中心に授業が展開する。なのに、各クラス別の自由曲の問題は期末テストに一切出ない。授業の多くを使いやってきた自由曲の評価は、ほとんどされないのである。

 だから、期末テストでは、各クラスごとの選択問題をつくらなければならない。教師は問題作りに大変な労力を必要とするが、それでも生徒のがんばりに敬意を表し、正当に評価するためにはがんばりどころである。


<つまらん理由 その③>

 期末テストは50分で行われるのに、10分でできてしまい、あとは手持ち無沙汰。これは苦痛だ。試験監督の教師にとっても、不正行為の可能性が高くなるため、緊張の度合いが高くなり苦痛である。

 50分間与えられているのなら、50分間生徒が活動できるだけの問題づくりをすべきだ。問題数を増やす以外にも、感想を書かせたり、美術だったら絵を描かせる、国語だったら感想文を書かせるなど、工夫はできる。


<つまらん理由 その④>

 鑑賞って、「楽曲全体の曲想、諸要素の働き、曲の構成、声や楽器の音色と組み合わせによる響きと効果を味わい~聴く」ものなのに、期末テストで出るのは、“鑑賞力”を問うものではなく、作曲者の名前や出身国、音楽主義や派など、“知識問題”ばかり。

 評価だってそうだ。授業で感想を書かせてそれを鑑賞点としている。鑑賞中に寝ていても、文さえ書ければ点がもらえるわけだ。けっきょく作文の得意なものが高評価を得るのだ。

 

 じゃあ、音楽教師は、生徒のがんばりに応えて正当な評価をするために、いったいどんな問題づくりをするべきなんだろう? 次回、その提案問題を“音”と共に紹介。