役員室の扉が開いて、日清食品の創業者、安藤百福王と向き合った時は、さすがに震えた。
当時、百福王は、視力の衰えていてサングラスをかけていたけど、黒いレンズの奥の瞳は、こちらをじっと睨んでいるのはよくわかった。
ここでひるんだり、弱気になっては駄目だと思った。
浪花節になるけれど、「5坪のレストランバーからやってきた男が、いま、ここにおるんや」と。
目の前にいるのは、世界の安藤百福、3000億の企業の創業社長で、インスタントラーメンという定義を、世界にひろめた男。
そんな偉人と、僕は、面と向かって話そうとしていた。
これはすごいですよ。(2010年4月20日。ラーメン博物館でのインタビュー)
FIN