映画「八日目の蝉」を見た[No.3655] | 近江の物語を君に捧ぐ

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近江を舞台に、近江に生きる人を主人公にした小説をひたすら書き続けている近江人、木村泰崇のブログ。

春分の日の昨日の午後、

NHKBS1で

オンエアされた

日本映画「八日目の蝉」を見た。

[監督は、成島出]


私は

原作の

角田光代の小説も読んでいないし、

数年前に

放送されたテレビドラマの

バージョンも見ていない。


「八日目の蝉」に

昨日

映画バージョンで

はじめて

出会った。





生後6ヶ月の
女の赤ちゃんが誘拐される。

誘拐したのは
その赤ちゃんの父親の
不倫相手である。

誘拐した女性は
その赤ちゃんと行方をくらまし
4年にわたり
ともに生きる。
赤ちゃんを育て上げる。

誘拐した女性を
永作博美が演じ、
誘拐されて成長した
赤ちゃんの十数年後を
井上真央が演じる。


4年余りの逃亡の後、
永作博美は
逮捕され、
少女は保護されて
父親と母親の元に帰ることに
なったが、
少女は
心でも頭でも
本当の母親を母親とは
どうしても
思えない。
刑務所に入った
誘拐犯の永作博美が
どこまでも
[母親]に思えてしまう……

そうして
ものすごく
[ぎくしゃく]した家族の中で
少女は心を閉ざしたままに
成長していき、
大学生[井上真央]となる。


その井上真央が
永作博美と同様に
妻子ある男と付き合い、
そして
子どもをお腹に宿す。

そして、
井上真央は
自分が
永作博美とともに生きて暮らした
4年余りの歳月を
追いかける
旅に出る………




永作博美は
赤ちゃんとともに
カルト集団に
入り
しばらく過ごした後、
小豆島に
逃亡し
小豆島で働きながら
女の子を育てる。

その
自分が
長く過ごした
小豆島を旅しながら、
井上真央は
過去と
思い出と
記憶の中の永作博美と
対峙する。


…………………


見ごたえのある映画だった。

良かった。

私は
恥ずかしながら
ラストのくだりでは
泣いてしまった……


小豆島のロケが
素晴らしかった。
[この映画を見ると
間違いなく小豆島に行きたくなる]


先日見た「そして父になる」も
また
今の朝ドラ「ブギウギ」も
いわゆる
[産みの親より育ての親]といった
モチーフが
色濃く出ているわけだが、
「八日目の蝉」においても
そのモチーフは
強く
出ていた。
[もちろん、そんな
一言で片付けてしまうような話ではなく
もっと人間の内面の
いろんな面が絡み合ってる
モチーフだが]


2011年の作品で、
若き日の井上真央は
ちょっとまるで少年のように
魅力的だ。

布団にひれ伏している
裸の井上真央の背中を長く
映している
ショットが
たまらなく
印象的だ。

あの背中のワンショットが
何かを語っている。
それが
小説とは異なる
映画の世界だ。

小豆島の棚田の
火祭りが
ものすごく
素敵だ。

逮捕される直前に
永作博美と少女が
写真を撮ってもらう
小豆島の古びた
写真屋さんも
忘れられない。