今から10年くらい前の八子は眠る事が怖かった。
それは八子が32歳の時に受けたショック過ぎる出来事から始まった...
警察署で見せられた数枚の腐乱死体の衝撃過ぎる写真の数々が当時、八子を失意のどん底に追いやると同時に、眠れない人間にさせたのだ。
しかし実際に八子には警察に呼ばれるまでの数ヶ月の間、身の回りで怪奇現象が日常起きていたのだ。
中でも八子が一番記憶しているのは「深夜の訪問者」だった。
深夜2時過ぎにインターフォン。
玄関のドアを小さく(コンコンコンコン)と、ノックする音...
翌日、玄関のドアには骸骨のような手形がいくつか付いていた。
それは拭いても落ちることはなかった。
そんな悲劇に見舞われた八子には更に追い討ちかけるように聞こえないはずの声や臭い、ポルターガイスト現象、アチコチでまるで意味するかのように目につく数字までにも八子は苦しめられ続けていた。
そんな八子を更には夢までもが追い込んでいく...
眠れば悪夢と聞こえるはずのない声が音が聞こえる繰り返し。
時には寝ている八子に何者かが触れる。
八子は眠ることも恐ろしくなり自宅にも居られなくなった。
そんな八子を見かねた友人の家に避難するも、友人宅でも付きまとう怪奇現象に友人すらも恐怖に怯え、それ以上友人宅に居ることは出来なかった。
八子は自宅に戻っても必ず誰かしら常に親しい人間を呼んでいた。
そして眠りに付くまでお酒に浸った。
そんな八子にメンタル主治医は睡眠薬の量を増やし強めた。
それでも、まるでエルム街の悪夢のように眠るのが怖かった... 。