- もういちど 村上春樹にご用心/アルテスパブリッシング
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内田樹さんが、村上春樹作品について、様々なところで述べたものをまとめた本。
僕にとって、という条件付きだが、樹さんも、村上春樹さんも、すごく読みやすいし、なんていうか、すっと、自分の中に入ってくる感覚がある。
それはたぶん、二人とも、「からだをつかっている」からだと思う。
内田樹さんは、合気道6段、だったか。相当な腕前だと聞く。
合気道は、相手の動きに合わせて、相手の力を殺さずに気を流していく。
私は2年ほどかじっただけなのでまだまだだけれど、奥が深いなー、という印象がある。
春樹さんは、知ってのとおり、ジョギングを続けている。
また、料理や、掃除も得意としている。
なぜ、からだを使っていると、わかりやすい文体になるのか。
本書の中で、樹さんが実におもしろいことを述べている。
村上作品の中には、料理や掃除の描写が多い。また、彼自身、ジョギングをしている。
これらに共通することは、「ありあわせのもので、間に合わせる」ということだ。
良い料理人は、冷蔵庫の中身を見て、あるもので最大限のものを作ることができる。
掃除という作業は、実にむなしい。なぜなら、我々は、生きていく中で、必ず、カオスを作り出し続けるからだ。
その混沌を、一時的であるにせよ、整理していく作業が、掃除。
掃除は、終わることのない作業。そこにあるものを、あるべき状態にしていく作業。
ジョギングといった運動は、自分の体を使う。ほかに、モーターとかジェットとか、取り付けることはできない。いまある、自分の体を使ってやっていくしかない。
ありあわせのもので、最大限のことをやる、というスタンスがあるから、なんていうか、わかりやすい文体になっているんじゃないかな、と思う。
自分の枠をしっかりわかっている、というか。
最近、感謝することが多くなった。
人生、ありあわせのもので、間に合わせていくしかない。そして、そういう、ささやかな世界では、僕らは比較的自由に生活を送ることができる。
しかし、我々は、好むと好まざるとにかかわらず、人とつながって生きていかなければならないわけで、それは、うまくいくこともあるし、うまくいかないこともある。
もちろん、自分の努力によってうまくいかせるようにしようとすることは大事だけれど、残念ながら、世界はそんなに単純に成り立っているわけではなくて。
一昨日、モンゴルで出会った友人と久々に会い、いろんな話をした。
いろんな話をした以上に、僕が心を打ったのは、彼が食事をする時のしぐさだった。
「いただきます」と、彼は目をつぶってしばらく手を合わせていた。
感謝することで、何かが変わるかといったら、それはわからないけれど
でも
こうして生まれてきて
いろんな人と出会って
少しずつ、助け合って
そんな、毎日に
顔も名前も知らないけれど、例えば、今日食べたパンを焼いてくれた、誰かに
ありがとう
と、思うことで、「私」は、少し変われるんじゃないかな、と思う。
いろんなことに、いろんな誰かに、ありがとう、と思う。
そうやって、生きていくと、たぶん、もっと笑えるんじゃないか、と思います。
さて、つかのまの春休みも、もうすぐ終わりです。
何が待ってるのかなー。すっげ楽しみです。