2023年の夏ごろからリリースされた新しいRTL-SDRドングルの「RTL-SDR Blog V4」を試してみました。
●ここに「RTL-SDR Blog V4」ドングルの仕様などが書いてある「RTL-SDRブログV4ドングル初期リリース!」
以下は上記サイト内の「RTL-SDR Blog V4」の新しいハードウェア機能の概要
・ダイレクトサンプリングモード(500KHz-28MHz)の廃止と(500KHz-28MHz)周波数の受信用に自動切換えされる内蔵アップコンバーターを新規に装備した
今までダイレクトサンプリングモードで受信していた周波数の(500KHz-28MHz)はQuadratureサンプリングモードで受信することになり、(500KHz-28MHz)の周波数選択時は新しいドライバー利用により自動的に内蔵アップコンバーターに切り替わって受信されるようになった。
Quadratureサンプリングモードでアップコンバーターの出力を受信することになったため、HF帯(0-28MHz)受信時のゲイン調整ができるようになった。(チューナーAGCを使うとゲインが高すぎる設定になりがちで手動設定することに落ち着く)
今までのダイレクトサンプリングモードでの受信に切り替えてもダイレクトサンプリングモードが廃止されたので正しい受信は出来なくなっている。
・HF帯(0-28MHz)・VHF帯(28MHz-250MHz)・UHF帯(250MHz-1.766GHz)毎にアンテナ入力が分離されていてそれぞれ入力周波数帯のバンドパスフィルターが付いているので他の帯域での強力な電波の放送局などの妨害を減らせている。
・電源からのノイズ低減設計と消費電力や発熱の削減
・広域受信アンプなどへのアンテナ線への給電時にLEDが点灯してケースの穴から識別できるようになった
という事が自慢だそうです。
●ドライバーなどのインストール方法などの解説はここ「RTL-SDR ブログ V4 ユーザーガイド」
SDR#(Sharp)でのインストールは最新版のリリース1920だと「install-rtlsdr.bat」を実行するだけ。
リリース1919以前だと「RTL-SDR ブログ ドライバー GitHub リリース ページ」から「Releases.zip」をダウンロード・展開して「x86」ディレクトリ内から「rtlsdr.dll」「msvcr100.dll」「pthreadVC2.dll」をSDR#(Sharp)のディレクトリにコピーして上書きしておく。
もしリリース1920の環境のディレクトリがある場合は「rtlsdr.dll」「msvcr100.dll」をリリース1919以前のディレクトリに上書きコピーしても良い。(こちらの方が簡単)
「Releases.zip」を展開したディレクトリ内の「x64」ディレクトリ内のファイルを任意のディレクトリにコピーしておけばそこで「rtl_tcp.exe」なども実行できる。
●実際に「RTL-SDR Blog V4」ドングルでQuadratureサンプリングモードでSDR#(Sharp)での電波を受信してみての感想
ーUSB接続での受信時不具合
サンプルレートが「0.900001MSPS」「1.024MSPS」でのみ「AMモード」のデコード音声に低音のノイズが混在して非常に聞きにくかったです。
他のサンプルレートでは低音のノイズはありません。リリース1919とリリース1920・リリース1910で試してみましたが同じ現象でした。
ーrtl_tcp(64bit版)モードでの受信時状況
全てのサンプルレートで「AMモード」のデコード音声を聞いてみましたが特に不具合はありませんでした。
以下の受信状況比較は面倒なので「rtl_tcp(64bit版)モードでの受信時状況」でHF帯の受信状況を比較しています
「RTL-SDR Blog V3」は「direct samplingモード
「Nooelec NESDR SMArt v5」は「direct samplingモード」
「RTL-SDR Blog V4」は「Quadrature samplingモード」
での「rtl_tcp(64bit版)モードでの受信時状況」比較です。
「RTL-SDR Blog V4」は「Quadrature samplingモード」での受信なので「RF Gain」を手動で混信のない程度に調整します。「Tuner AGC」をONにもできるのですがそうすると混信が出てしまう程度に受信ゲインが高くなるようなので手動で調整します。
そうした場合の耳で聞いたSN比は
「RTL-SDR Blog V3」<「Nooelec NESDR SMArt v5」<「RTL-SDR Blog V4」<「TECSUN PL-310ET」
のような位置づけになる感じです。
受信アンテナはMLA-30マグネティックループアンテナで聞いています。
日中のあまり受信状態が良くない時間帯の11MHz近辺の放送を聞いてみましたが手持ちのポータブルラジオ「TECSUN PL-310ET」だとまぁまぁ良く聞こえ、次に「RTL-SDR Blog V4」だと聞き取れるくらいです、「Nooelec NESDR SMArt v5」では聞き取りにくく「RTL-SDR Blog V3」ではほとんど聞こえない位です。
「RTL-SDR Blog V3」と「Nooelec NESDR SMArt v5」は「direct samplingモード」のせいで「0-14.4MHz」の帯域と「14.4MHz-28.8MHz」の帯域が混信してしまいますが(サンプリング周波数が28.8MHzなので半分の14.4MHz-毎に繰り返し混信)「RTL-SDR Blog V4」はアップコンバーターでの受信のため14.4Mhz近辺の受信も安定しているようです。
「RTL-SDR Blog V3」よりは受信感度が良くなっていますが「Nooelec NESDR SMArt v5」よりSN比がいいかと言われると同じような感じです。
他に「RTL-SDR Blog V4」の良さそうな点はHF帯受信時にVHF帯やUHF帯の大きい出力の通信の影響を受けて受信感度が下がりにくいという事でしょうか?
他に今までのチューナーチップの「R820T」は値上げでこれ以降価格が高くなるとのことですが、「RTL-SDR Blog V4」のチューナーの「R828D」は低価格なので安く販売できるとの事でした。
記事の執筆時点でのアマゾンの販売価格はそれぞれ
「RTL-SDR Blog V3」はアマゾンで5980円でした。
「Nooelec NESDR SMArt v5」はアマゾンで5495円でした。
「RTL-SDR Blog V4」はアマゾンで6480円でした。
という事で従来のドングルは在庫があるのか多少安めの様でした。
この時点では「RTL-SDR Blog V3」はあまり購入する価値はないかとも思います。
購入するならば「Nooelec NESDR SMArt v5」か「RTL-SDR Blog V4」のどちらかがいいですね。