チャックスペザーノ博士のセルフセラピーカードを引いた。
出たのは、
「裁き」と「信頼」。
裁きとは、
自分を縛っている幻想を手放し、真実を見ること。
自由になるための選択。
信頼とは、
何かがおかしいという自分の気持ちを信じること。
神を信じ、そして自分を信じること。
この二枚は、
いまの私の選択を示しているように感じた。
信頼という言葉は、
さみしい心をそっと包むような
やわらかなあたたかさがあった。
サンスクリットの格言の解説に、こんな言葉があった。
思い悩みを手放すというのは、
まだ訪れていない未来に
心を奪われないことなのだという。
この数日、私は、
起きている出来事そのものよりも、
「この先どうなるのだろう」と
未来を想像したときに、
胸がいちばん苦しくなっていたと気づいた。
大樹が嵐にあうとき、
しなやかな枝は風を受け流し、
深い根は大地をしっかりとつかんでいるという。
折れない強さは、
しなやかさの中に宿るのかもしれない。
忍耐とは、
感情を押し殺すことではなく、
震えや涙をそのまま感じながらも、
心の奥の穏やかさを失わないこと。
いまの私は、
そんな強さを少し学んでいるところなのだと思う。
いまの心は、
静かな湖のよう。
- 前ページ
- 次ページ
梅の花を見た。
とてもきれいだった。
まだ冷たい風の中で、
静かに、凛と咲いていた。
今月、私はふたつの節目を迎えた。
そのひとつは、
これまでの在り方を見直し、
未来を選ぶと決めたこと。
人はきっと、
慣れた形のまま続けることもできる。
少し我慢して、
少し目を閉じて。
私も、それはできたのかもしれない。
でも今回は、
いつもの選択ではなく、
これからの自分を信じる選択をした。
もし葛藤を抱えたまま
1年、2年と過ごしていたら、
私は笑っていただろうか。
何度も問い直しながら、
いつもとは違う道を選んだ 。
梅の花が咲いている。
「忍耐」
「高潔」
寒さの中でもくじけない強さ。
静かに誇りを失わない姿。
さみしさは、ある。
それでもこれは、静かな決意。
この節目を、
成長の糧に。
忍耐強く、
じぶんらしく、生きていきたい。
梅の花のように。
お世話になっていたバイト先。
検査技師として、睡眠の検査に通っていたクリニック。
先生のご都合で
クリニックを閉じられると伺った。
昨夜が、最後の夜勤。
そして——
私が自分の手で睡眠検査を解析するのも、
これが最後になる。
ここで過ごした丸7年。
たくさんの患者さんと出会い、
先生ともたくさん話をした。
自分の心が落ちたときも、
ここに来ると、なぜかホッとした。
大好きな検査に向き合う時間は、
私にとって心を整える時間でもあった。
夜の検査室は、静かな世界。
眠ると、人は無意識の世界へ入っていく。
けれど、静かなのは表面だけ。
モニターの向こうでは、
脳波は絶え間なく変化し続けている。
深い眠り、浅い眠り、
レムとノンレムを行き来しながら、
その人の一晩の物語が、波形となって現れる。
私はその変化を、何年も見つめてきた。
数えきれないほどの睡眠脳波。
その一つひとつの向こうに、
それぞれの人生があった。
睡眠医療の世界に入り、足かけ15年。
一晩中の検査は体力的にきつい日もあった。
それでも、私はこの“眠りの世界”に魅了され続けた。
自分の手で解析することは、
もうないかもしれない。
けれど。
この経験は、私の宝。
これからは、
眠ることの大切さを、
正しく、やさしく伝えていきたい。
眠る力を取り戻すために。
身体を整え、
呼吸を整え、
心を整える。
次のステージへ。
先生、本当にありがとうございました。