一粒 300メートル
一粒で2度おいしい
この昔懐かしい(今も絶賛発売中だと思うが・・・)キャラメル、グリコのキャッチフレーズが、妙に映画「赤穂夢物語り」に当てはまる気がしている。
昨年の9月から、何度かこの映画の上映を重ねて、何人もの方の感想がとても特徴的なのだ。
1度目の感想 → ちょっと難しい。
2度目の感想 → ちょっと分かりかけた。
3度目の感想 → 泣けてきた。
「赤穂夢物語り」は、2つのバージョンが有り、昨年8月の終わり頃から9月初めの間に、江戸時代と現代を行き来する映画 ~令和龍國伝~ を関係者のみで試写会を実施した。
が、それ以降は、ほぼ江戸時代の ~元禄英雄伝~ を赤穂・姫路・奈良と回数を重ねて上映し、数多くの皆さんに御覧いただいてきた。
その中で、複数回鑑賞いただいた何人もの方の感想が、ほぼ上記の流れであることが興味深い。
この理由は、次のようなものだと分析出来そうだ。
《1度目》
お馴染みの忠臣蔵映画だと思って気楽に鑑賞していると、江戸城刃傷事件より50年ほど遡った頃の出来事が結構長い時間を費やされている。
つまり、聞いたこと無いか、ほぼ知らない(その人物について情報量が圧倒的に少ない)登場人物が次々と出てくるので、考えさせられることが多く、頭の中が混乱する。
忠臣蔵のもとの史実「元禄赤穂事件」って、吉良上野介のイジメから始まるのと違うのか? それは一体どういうことなんや?
と、思考が途方に暮れるのである。
《2度目》
登場人物を少し知ったうえで鑑賞することになるので、あらかじめ心の準備が整っており、ストーリーを追いかけることに集中出来る。
で、この映画のメッセージが何となく分かりかける。
《3度目》
もうすっかりこの映画に馴染んでいるので、登場人物に感情移入することになる。
1度目や2度目では、分からなかった点に気付く。これは、4度目以降も別の場面で起こり得る。
で、見終わったときホロッと泣いている自分がそこに居る。
一粒で2度おいしいどころか、3度目に、より深く楽しめる映画。
グリコ以上ではないか!
一粒で300メートルは、グリコーゲンという栄養素が入っているから、一粒食べたら300メートル走れるほど元気になれることだが、映画「赤穂夢物語り」も、日本人の誇りを取り戻し、元気を与える。
そんなメッセージを伝えようとしている。
映画を観て元気になる。
「赤穂夢物語り」は、まるでグリコのような映画だ。
八十玄八