読書「紫式部日記」紫式部 山本淳子編 ビギナーズクラシックス | hananoのブログ

hananoのブログ

好きなこといろいろ。
読書に音楽、ガーデニングにつるばら。甘いもの。
ライフログとしてわたしの日々をつづります。

現代語訳、解説付きでよみました。

 

平安時代の宮廷の貴族たちの、表には表れない姿が描写されていて、おもしろかったです。

それこそ、「女房は見た!」ですね。



中宮彰子の出産のために僧侶たちが何人も呼ばれ読経し、女房たちが右往左往する様子。

 

無事、敦成親王が誕生したあとの道長の、孫を溺愛するおじいちゃんぶり。

親王誕生を祝う宴会での貴族たちの醜態ぶりも、名前を挙げて書きつらねてあります。

 

紫式部の人がらもよくわかりました。

宮廷恋愛ものを描いた源氏物語の作者だから、もっと派手な人かと思っていたけれど、じつは、内向型。

 

源氏物語の作者として有名になり、道長に引き立てられて女房になったものの、まわりのやっかみや意地悪な女房もあり、なかなかなじめない。

 

女房になる前は物語を語り合うことのできた昔の友達とも疎遠になったと寂しがったり、たった一人の気を許せる女房仲間とグチを言い合ったり。

 

最初は女房として中宮彰子のサロンになじめなかったようですが、年を経て少しずつキャリアを積んでくると、女房たちに対する意見も言うようになったようです。

中宮彰子に個人的な漢詩のレクチャーもしていたとのこと。

 

かの有名な、清少納言への批評も書いていました。

かなり辛辣で「清少納言こそ、したり顔でいみじう侍りける人」と。

性格はどうも、正反対だったようです。

大河ドラマでは二人が仲良くしていた様子ですが、だいぶ脚色がはいっていますね。

 


紫式部の歌が紹介されていました

 

~心だに いかなる身にか かなふらむ 思ひ知れども 思ひ知られず

(・・・心とは、普通ならば自分の背負った現実に従ってくれるもの。しかし私の場合はそれさえも、いったいどのような現実になら収まるというのだろう。私の心は身に不相応だ。私にはそんな自分がよくわかっている。だが、わかり切れないのだ。)

 

紫式部のたどってきた運命や成り行きは、自分の心や思いのとおりにならないことばかりだったのでしょう。

だからこそ、宮廷という華やかな場所の表裏を観察しながら、自己の内面を深く見つめ、後世に残る物語が書けたのでしょうね。