2024年2月に発売が開始されたLe Mans Ultimateは、そのベースにはrFactor2を用いながらも、グラフィックには様々な最新技術が盛り込まれています。
ただし、他のレースシムソフトと同様にLMUも環境によってはパフォーマンスに問題を抱えることがあり、特にそのグラフィック設定にはかなりの時間とノウハウが必要になる部分があります。
この設定ガイドでは主にこれからLMUを始める方に向けて、各種設定項目の説明、設定の最適化、調整方法などの解説を掲載します。LMUの動作に悩まれている方、そしてLMUの購入を検討される方のお役に立てば幸いです。
アーリーアクセス
LMUはアーリーアクセス版としてリリースされました。アーリーアクセスとは皆様もご存知の通り「開発中のゲーム」であることを明確に示しており、ゲーム中にはバグや機能不足が多分に含まれています。そして、今後も様々なバグ修正やトライアンドエラーが発生するであろうことを予め認識しておく必要があります。
PCスペック
SteamのLMUサイトに記されるSYSTEM REQUIREMENTSは下記のとおりです。
MINIMUM:(最小)
OS: Windows 10 or 11
Processor: Intel Core i5-4460 or AMD FX-8120
Memory: 8 GB RAM
Graphics: nVidia GeForce GTX 950 (4GB) or AMD Radeon RX 470
DirectX: Version 11
Network: Broadband Internet connection
Storage: 30 GB available space
Sound Card: DirectX Compatible
Additional Notes: To run on minimal settings at 1080p
RECOMMENDED:(推奨)
OS: Windows 10 or 11
Processor: Intel Core i5-9600 or AMD Ryzen 5 3600X
Memory: 16 GB RAM
Graphics: GeForce GTX 1070 8 GB, Radeon RX 580 8GB
DirectX: Version 11
Storage: 30 GB available space
Sound Card: DirectX Compatible
Additional Notes: To run on default settings at 1080p
StorageではHDDを使用すると読込みにかなりの時間がかかります。SSDへのインストールが推奨されます。また、メモリは16GBでは少し不足することがあります、32GBあれば安心です。
また、rF2をベースとするLMUでは、挙動計算にかなりの負荷が予想されます。最高品質でのゲームプレイには、あらゆる面で上記スペック以上のPCが望まれます。
DISPLAY
- Window Mode、Resolution、Refresh Rate
Window Modeはゲーム画面の表示方法を変更します。通常はFullScreenで問題ありませんが、配信や外部オーバーレイ(simhubなど)を使用する際はBorderlessかWindowedを選択する必要があります。
Resolution(解像度)とリフレッシュレートは、使用しているモニターと同じに設定することをお勧めします。 - Post Effects
日本製のYEBISが採用されるLMUのポストエフェクトは、光の輝きやカメラの被写界深度(ぼやけなど)を演出します。設定を上げると素晴らしい描画を得られますが、PCへの負荷は一気に増えます。最初はLOWに設定し、余裕があれば徐々に上げることをお勧めします。 - FSAA / FXAA
FSAAやFXAAは描画のジャギー(ギザギザ)を軽減するアンチエイリアス機能となります。FSAAを上げると品質は向上しますがPC負荷が増えます。FXAAはジャギーの抑制効果は小さいですがPC負荷は軽減されます。FSAAをOnにしている場合、FXAAは動作しません。 - Multiview
3画面用設定です。これをOnにしてキーアサインをしておくと、ゲーム内のコクピット視点で画面サイズ、距離、角度などを入力/調整することが可能となり、左右画面の歪みが解消されます。PC負荷はかなり増えるので気にならない方はOffで問題ありません。 - HUD Scale
画面の四隅にあるHUDの表示方法を変更します。FullHD1画面環境では変化はありません。お気に入りの設定を見つけてください。
GRAPHICS
GRAPHICSでは車両やコースの詳細な描画設定を行います。全体的に設定を上げれば没入感が向上しますが、PCの負荷は大きくなります。
- Preset
描画設定にはプリセットが用意されており、PC性能に応じた簡易設定が可能です。描画の重さが気になる場合は、まずはプリセットをLowやMediumに下げてみることをお勧めします。
また、自身の環境に合わせた設定を保存することで、いつでもオリジナル設定を呼び出すことが可能です("Enter preset name"に名前を入れて"Save"をクリック)。 - Circuit/Player/Opponent Detail
サーキット、自車、他車の3Dモデルの表示数や詳細度を変更します。設定を上げれば再現度と忠実度が向上しますが、PC負荷はその分増えます。レース中にはあまり他車やコース街を見ることがないため、パフォーマンスを優先するなら設定を下げても良いかもしれません。 - Texture Filter
コース内外の質感を変更します。数値を上げるとリアルな描写を体感できますが、同時に描写は重くなります。様々な設定値があり環境によっては試行錯誤が必要です。 - Special Effects
ダスト、煙、水飛沫、火花など特殊効果の表示設定です。火花や煙が上がった際にFPSが下がる場合は設定をLowに下げてください。 - Shadows/Shadow Blur
車体や物体の影とそのぼかしを設定します。他シムと同様、影はパフォーマンスに大きく影響するため、よほど余裕があるスペックではない場合は、ShadowはMedium以下、BlurはLowかOffを推奨します。 - Soft Particles
ダスト、煙、水飛沫などの表示の細かさを設定します。設定を上げるとPC負荷は増えますが、自車の煙がミラーに映るなど迫力のシーンを味わえます。 - Rain Drops / Road Reflection / Enviroment Reflection
ウィンドスクリーンや水たまりなどの雨滴表示、路面の水たまり、その他の光の反射を設定します。通常はMedium以下で十二分な表現が得られます(トップ画像参照)。 - 各設定の"Ultra"設定は、スクショやTVカメラ視点配信用とされています。S397によれば走行時はHigh以下の設定が推奨されています。
VISUALS
- Visible Vehicles
レース中に自車周りに他車の表示台数です。台数が多いほど没入感が向上し走りやすくなりますが、他車の計算が増えるためPC負荷は増加します。レース中FPS低下が気になる方は、走りやすさとのバランスを取りながら台数を減らすことをお勧めします。TVカメラ視点、リプレイビューには影響しません。 - Live TV Displays
観客席用の大型モニターの表示設定です。描写面にはあまり影響しないはずですが、必要がない場合はoffやTrackside Onlyに設定しておくと、走行中に表示されなくなります。 - Kph / Mph
時速表示の変更設定です。kphはキロメートル、Mphはマイルです。 - Battery Units
LMDh車両に搭載されるMGUユニットのバッテリー残量表示設定です。デフォルトは%で表示されますが、kWh(kW)表示に変更することも可能です。 - Units
単位切替(メートル法、ヤードポンド法)です。 - Hud Enabled
Hudの表示切替です。キーアサインで走行中の切替えも可能です。 - Default View
デフォルトの視点切替です。ノーズ、ボンネット、コクピット、スイングマン(広報視点)の4種類から選択可能です。 - Mirrors
デフォルトのバーチャルミラー表示切替です。 - Steering Wheel
ステアリングの表示切替です。 - Vertical FOV
FOV(Field of View)は視界の広さを変更します。キーアサインをしておくと走行中の変更が可能となり、シート位置設定と組み合わせればより高い視認性を得ることができます。 - Lock Horizon
VR専用設定です。設定を変えることにより傾斜やバンクなどでの水平保持を変更し、いわゆる"VR酔い"を防ぐことができるようになります。 - Transparent Trainer / Lead Time
この機能をOnにすると自己ベストタイムのゴーストを表示させることができます。