ヒューマニエンス 40億年のたくらみ
「“死の迎え方” ヒトの穏やかな死とは」 BSP 11/20放送
感想
死の前兆としてのBMI減少は、十分納得出来る情報。
幹細胞の生成が減少するんだから、そらー理にかなっている。
数年前、義父を緩和ケアの病院に転院させた時も、延命のための点滴は患者を苦しめると言われた。
特に心に残ったのは、緩和ケアを実践している医師。最期はこんな医師の世話になり、自宅で息を引き取りたいものだ。
ただ子供たちには迷惑かけるから、やっぱ施設に行くんだろうな・・・
つい先日趣味の友人が74歳で亡くなり、心が弱っている。
内容
【司会】 織田裕二、藤井彩子
【出演】 いとうせいこう
【解説】 小林武彦 東京大学 生命科学研究所 教授
川上嘉明 東京有明医科大学 教授
清水研 有明病院腫瘍精神科 部長
萬田緑平 在宅緩和ケア医
織田の望む死 誰にも訪れる→ピンピンポックリが理想・・・
85歳以上の死因順位 ①がん ②心疾患 ③老衰
60年前 100歳以上の日本人は60名だけ。
それが2022年では9万人を超えている。
現在の高齢者の8割は延命治療を希望しない。
どう生きたいかが重要。
死にソフトランディングさせる(川上)
埼玉の特養ホームで寝たきりの女性(85歳)
終末期を迎え、点滴をしたくないと希望。代謝が落ちて来ると水分摂取が出来ない。点滴を止めた後息を引き取った(老衰)
何を判断材料にするか
入居者データを6年間集めた(106名)
死を前にしてBMIが急激に減少する(体が栄養を利用出来ない)
BMIが12を下回ると生命維持が困難になる。
水分を摂るのも辛い。腎機能低下→水分が体内に溜まる→肺に溜まって肺水腫を起こす。
胃ろう(PEG)をしてもBMIは落ちて行く。
本人、家族が情報を共有する事が大切。
その人らしく最後の一滴まで使い果たして死ぬ
→ソフトランディング
僧が亡くなる時断食をするのは自然なこと。
ヒトは成長するのに20年かかる。死ぬのにも数年かけていい。
多くの人は85~95歳で生理的な死を迎える。どう全うするか。
どう準備するかのきっかけだと理解する。
時間を与えられる(周りに対しても)自身の意思表示も大切、
老化はヒトだけが手に入れた期間
老化の原因は幹細胞の老化
幹細胞が分裂して入れ替わり、細胞量を一定に保つ。
紫外線、活性酸素に弱くなる。
壊れ易い。たんぱく質合成に変異が入り易い
→合成出来なくなる。
マウスによる検証
酵母菌に高齢マウスの遺伝子を組み込む→生存率低下
ヒトの体に置き換える→臓器萎縮(老化細胞が居座る)
臓器も軽くなって行く(幹細胞による入れ替わりが減って行く)
リボソームRNAが変なものを作る。エラーで傷付くと老化スイッチをONさせる→細胞を老化させる。
世界最長寿命の人はフランス人女性(122歳)
26年間更新されていない。ここに寿命の壁がある。
なぜヒトだけに長い寿命があるか。
老いた人が必要だった。技術の継承(シニアの使命)
死の過程は苦しいのか
末期の人は下顎呼吸をする(苦しそうに見える)
だがこれは穏やかな状態だという(エンドルフィンが出る)
苦痛の緩和。血中酸素が減った時エンドルフィンが分泌される。
息を吸って終わる(息をひきとる)対語:息を吐いて生まれる
死に向き合った者の心の成長
日本人の中で2人に1人はがんにかかる時代。死の恐怖に直面。
人生にもたらす意味。PTG(心的外傷後成長:Posttraumatic Growth)
その一方がん告知されて5人に1人はうつになる→心のケアが必要
そういう感情が収まった後に変わる。苦しみの裏返し。
がん患者が最も苦しむのが「痛み」→各種の医療用麻薬を適切に使って患者が最期まで「生ききる」のをサポートする。
麻薬は怖くも何ともない。
痛みをこらえて最期を台無しにしない。
萬田氏は外科医を17年やった後今の仕事を15年やっている。
手術で直す医者はたくさんいるが、治療したくないという人を支える医者はほとんどいないから始めた・・・
亡くなる人の方が手術する人より多いから、今の方が喜ばれる。
いとうせいこうの言葉
死は孤独ではなく、コミュニケーションの手段になる