英雄たちの選択「南北朝最強! 新時代の設計者 高師直」BSP 3/22放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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感想
今ちょうど新聞小説「人よ、花よ、」で高師直が出ているため、ちょっと興味があって視聴。
太平記ではエロ親父ぶりが強調されているが、戦の恩賞に対する新たな策を取り入れたりして、人心を掴むのに長けていた。
その不幸は足利の家臣だった事。もう少し時代が後になって「下剋上」の世だったらどうだったか・・・


内容
司会 磯田道史、杉浦友紀
出演 安田登(能楽師)
   中野信子(脳科学者)
   谷口雄太(青山学院大 准教授)

南北朝最強の武将、高師直(こうの もろなお)

人物評(磯田):面白い人物。戦がうまい。南北朝でも最強。
実務に強い。室町幕府の基礎設計をやった。

エロおやじのイメージとは違う・・・

戦での活躍。高階氏として足利に仕えて来た。
当時尊氏の弟直義と共に政権を支える。

有名なのは湊川の戦い。新田義貞と楠木正成を討ち、足利幕府を創設した。後醍醐天皇が吉野に行き南北朝時代が始まる。北畠顕家が攻略。それを高師直が迎撃。
従来にない戦法を編み出す→分捕切捨の法(敵の首を持参しなくとも戦功を認める)を採用。顕家を討ち取る。
石清水八幡宮の焼き払い。

四条畷の戦い
南朝 楠木正行の挙兵→幕府最大の危機。討伐軍の総大将は高師直。八万の大軍を率いる。もう一方に直義の軍勢。

正行は師直に向かった。何故か?
現大阪市大東市。右は山、左は沼地(軍勢が展開し難い)

師直七千騎、正行三千騎。街道を突き進む。混乱する師直軍だが、師直は山中に潜ませた軍勢で背後から迫る。
正行は矢を受け、弟正時と刺し違えて自害。
力押しではなく、相手の行動パターンを読んだ。
師直は吉野に進軍。

何でこんなに強いのか?→足利の直轄軍で精鋭の集まり。
最終的に鳥雲の陣を取った。

本来は少数の兵で取る戦法:いい意味で臆病。
(分捕切捨の法について)金のインゴットを電子マネーに替えた様なもの(中野)
「戦術的に強い」と「戦略的に強い」との違い。
北畠顕家も、楠木正行も美青年(宝塚で「桜嵐記が上演されている)この二人を倒したから嫌われる。魔術を打ち破る。
美しい戦いをリアルに引きずり下ろした。
幕府内で大きな力を持った師直。

人妻に横恋慕してその夫を謀叛で陥れる(太平記での記述)


武将に支持される仕組み作り。尊氏による、領地を与えるという下文は執行力なし(書類上)→自力で奪い取るしかない。
師直が解決案を生み出す→執事施行状(先方の守護に命じる)実効支配を行う元締めとして権力を支えた。
武将たちも師直と良好な関係を保とうとする。

それを良く思わぬ直義。四条畷の四年後、直義は師直の暗殺計画を実行するが失敗。
対立するもう一つの背景は尊氏の後継者問題。嫡男義詮(よしあきら)と、もう一人直冬(ただふゆ:直義の子)

後継者問題に家人が介入するのは不愉快。

 

師直は直義から執事を解任される。師直は尊氏に直談判。
元々尊氏は弱く、執務を師直と直儀に一任。その直義が力を付けた。家が大事→師直に対する嫉妬。
師直の本音。義詮は弱いため、ナンバー2が支配し易い→義詮の方が都合がいい。
実権を奪われた師直は武力行使して、五万の軍勢で直義の邸宅を包囲。直義は尊氏の屋敷に逃げ込んだ。
師直は奸臣の引き渡しを要求(御所巻
直義は出家。部下は流罪とされた→後に殺害される。
師直は執事に復帰。それも束の間、直冬が直義に味方し、兵を集めて上洛しようとしたが、敗北し九州へ敗走。

師直が直冬討伐に九州へ出陣する二日前、直義が京を脱出したとの報が入る。
師直は①直冬討伐か、②直義捕縛か?

英雄の選択(推理) 

谷口①:九州からの上洛は自らの成功体験(潰すべき)
安田②:まずは足場を固める
中野③:①、②両方やる


史実は直冬討伐に向かった(①)。一方直義は師直討伐を呼びかけて武士を集める。その最たるものが、南朝に降伏しての北朝成敗。背景としては南朝の権威が大きかったこと。
後醍醐天皇からの恩賞。

北朝は武士に擁立してもらったもの(権威の点で弱い)
直義軍が入京。師直軍は撤退(打出浜の戦い
師直、師泰は深手を負う。結局二人が出家する事で講和。
だが師直、師泰は護送途中で上杉能憲(師直に殺された者の親族)に殺された。高一族には再び活躍の場はなかった。
足利直義はその一年後に死に、義詮が二代目となった。
一連の動きが「観応の擾乱

なぜ師直は負けたか→師直に驕りがあった
なぜあっけなく負けたか→自分の事しか考えなくなった
反師直派(足利一門)の拡大。
師直は被官(家臣)被官が巨大な力を持つのが不快。
何でも出来る人は気をつけなくてはならない(人の場を奪う)

その後の日本に与えた影響
室町幕府の基盤を作った。
御所巻→師直が作ったシステム。
下剋上の世を開くドミノの基礎を作った(基礎設計)
その後の日本に絶大な影響を与えた。