コズミックフロント「人類初 火星サンプルリターン」NHK 2/16放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

感想
惑星からのサンプルリターンは「はやぶさ」「はやぶさ2」で日本のお家芸になっているが、アメリカでは火星からのそれを計画している。その目的は生命の痕跡を見つけること。
しかしそういった事に惜しげもなく投資出来るというのが「人類」という生き物の性なのだろう。
日本でも日本なりの規模で、火星の衛星からのサンプルリターンを計画。だがそのためには、ロケットがまともに飛んでくれなければ・・・・


内容
地球の兄弟星とも言われる火星。
次のステップ、サンプルリターンに進もうとしている。

 

CHAPTER1 生命探査の決め手 サンプルリターン

2020/7月、火星に向けてロケットが発射された。
探査車「パーシビアランス」着いたのはジェゼロ・クレーター。
かつて湖だったところ。川の跡のそばに降りた。三角州。

岩石成分に水の証拠を発見。表面の化学変化(炭酸塩)
問題はどの程度の期間水があったか。その分析は現場では困難。
分析装置も送り込めない→サンプルリターンが必要。

表面にマンガンの層がある岩。なぜこの層が出来るかが長年不明だった。2021年、この層がシアノバクテリアによって作られた事が判明。

砂漠から海まで幅広く生息し、光合成する。27億年前から生息。
火星の石の黒い表面の分析→マンガンを含む事が判明。

観測装置「シャーロック」に期待が集まる。
レーザー光で鉱石を照射し、その反射で成分を確かめる。
だが傍証では生命発見の決め手にはならない。
パーシビアランスによるサンプルリターンに重要な役割。

CHAPTER2 火星からのサンプルリターン
パーシビアランスではサンプル採取も行っている。容器43本分を装置内に保管している。どうやって持ち帰るか。
案:カプセルを火星に送り込む→パーシビアランスが移し替えてロケットが発射→周回機が回収して地球に向かう。

課題→回収ミッションは10年後。

それまでパーシビアランスが作動を続けてくれるのか?
バックアップ案→パーシビアランスが試料を火星表面にバラ撒いておく。別のマシンで回収。
ヘリコプター「インジェニュイティ」

開発の壁は大気の低密度(地球の1/100)
大気が薄くなるとうまく飛ばない。ポイントは高速回転と軽量化。カーボン樹脂製のプロペラを使用し重量1.8キロ。
2021/4/19、火星大気中で初飛行。正式バックアップに採用。


もう一つの課題
サンプルを乗せたロケットをどうやって発射するか。
地上からの発射では固いコンクリートがある

→軽量の着陸機からでは不安定。
案:まずロケットを空中に放り出してから着火→飛行

大胆なミッション。サンプルが地球に届くのは2030年代。

CHAPTER3 日本のサンプルリターン
計画推進中。
火星衛星探査計画(MMX : Martian Moons eXploration)
行先は衛星フォボス。なぜ選んだか→小さいから生まれた当時の情報を持っている。火星がどう出来たか、なぜ地球が水に溢れているか等を明らかにする。
大気中のガス、チリが集まって惑星に成長。その材料はスノーラインの内側と外側では違う。

地球や火星はスノーラインの内側であり、本来水が存在しない。
天体が落ちて水をもたらした。フォボスが水を含むかが重要。
 

衛星の成り立ち
①捕獲説:火星の重力に捕らえられて衛星になる。
証拠になるのが反射率評価 D型:水を含む小惑星(似ている)
フォボス、ダイモスは火星の赤道面を回っている。捕獲説なら同じ面で回る確率は低い(1/1000万)
②衝突説:天体がぶつかり散らばって出来た。いったん高温になるため水分は殆どない筈。サンプルで明らかにする。

 

MMXを行う理由
フォボスでも火星表面のサンプルがあるはず(100~1,000粒)
2024年打上げを目指して準備中。はやぶさ2の約3倍の規模。
1年かけて接近。1年かけて観測。着陸地点検討。
探査機送り込み→採取→離陸→モジュール分離→地球へ。


目標は10グラム以上。着陸しての採取が必要。
サンプル採取に最適な場所の検討。

仕様面ではタイヤのパターン、脚の「めり込み」等も考慮。



技術は将来の火星移住にもつながる。どんな世界が待つのか?