ヒューマニエンスQ「腸内細菌」NHK ①1/23、②1/30放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

①「“腸内細菌” 見えない支配者たち」1/23放送
②「“腸内細菌” ヒトを飛躍させる生命体」2/30放送

感想
腸内細菌の話は以前からもやっているので、重複しているかと思いつつもメモを取った。
過去レビュー 
NHKスペシャル「腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー」2015
サイエンスZERO「腸内細菌がもたらす驚異のパワー」2022
前半は、ヒトも含めた動物が、腸内細菌に影響を受けながら生活している様子が描かれる。
動物が、自身で消化出来ないものを腸内細菌が分解する事で利用可能になる。どっちが支配者か?って話(コワい)
後半では、その腸内細菌の特性を利用して人類がステップアップするためのヒントを模索。
啓発番組としては、まあまあだった。

内容
①「“腸内細菌” 見えない支配者たち」1/23放送
善玉菌、悪玉菌の区別は日本だけ(外国は区別なし)
 

腸内細菌が好きな人を決める?
ショウジョウバエ(人と類似の腸内細菌を持つ)の実験。
食事によって2つのグループに分ける。①糖蜜、②でんぷん
同じ細菌を持つ者同士がくっつく(確率76%)


腸内細菌が体内分泌に関わる?
同じ食事の好み→共に生き易い。
ショウジョウバエは遺伝子が60%程度ヒトと同じ。
神経疾患も起こす。

腸内細菌のために食べている?・・・
パプアニューギニアの高地人は、サツマイモしか食べない(デンプン主体:たんぱく質はほとんど含まず)が、男は筋肉質で、狩りもうまい。
辨野 義己(理化学研究所)がその便を分析して驚く。窒素固定菌をうまく使っていた→窒素を食べ、アミノ酸を作る。

窒素固定菌は通常土壌に棲む(人体に取り込んだ)
偏った食事でも健康を維持する。
他の動物も? コアラはユーカリしか食べない→シアン毒を持つが毒を消す腸内細菌を持っている。他の動物と競合しない。
好きなものを食べるのも腸内細菌のせい?
報酬系が神経を支配・・・・

腸内細菌大移動
最大の問題は出産。胎児はほぼ無菌状態なので腸内細菌は移れないが、出産で移動出来る。
驚くべき方法。妊婦の産道付近に乳酸菌が増える

→出産時に胎児に触れて乗り移る。


母乳はオリゴ糖を含む(難消化性)腸内細菌は消化出来る。
母乳が腸内細菌を育てている。腸内細菌は生後3年で定着。
母子12組のうち11組が同じビフィズス菌を持つ。
帝王切開では?(織田)
海外では帝王切開で生まれた時、便カプセルを飲ませる。

腸内細菌がヒトの免疫を操る
その瞬間を捕らえた画像。セグメント細菌。ひも状のものを持ち、腸の表面に突き刺さっている。

セグメント細菌が大腸菌を殺すとその情報が腸に伝わり、サイトカイン生産→免疫細胞活性化。

ウイルス、細菌への備え。腸内細菌に鍛えられる。
これらが分かって来たのはここ10年ほど。腸内細菌が病気をコントロールしている。医療は細分化し過ぎた。
免疫の考え方が大事。


②「“腸内細菌” ヒトを飛躍させる生命体」2/30放送
腸内細菌で金メダル?
腸内細菌と運動の関係
マラソン好タイム者の便を調べたら、ある細菌を多く検出。
ベイロネラ・アティピカ。

この菌を入れたマウスは、入れない者より持久力13%アップ。

長距離を走ると溜まる乳酸をエネルギーに変える。
メカニズム
乳酸は糖を使うと溜まる→腸に運ばれる(ベイロネラ・アティピカの好物)取り込んだ後プロピオン酸に変える→肝臓で糖に変換される。
ストレスや緊張を緩和するのにも腸内細菌が活躍。

腸内細菌で難病と戦う
潰瘍性大腸炎→患者は全国に20万人。

現時点で完治に繋がる治療がない。
症状 一般人では多様に存在する腸内細菌だが、患者の腸内には1種の腸内細菌しかいない(多様性が重要)

健康な人の便から抽出した便溶液を、抗生物質でリセットしてから内視鏡を経て腸内に入れる。7割の患者で効果あり。

2年後も効果持続。患者への負担も低い。

推進する医師 石川大(順天堂大学 教授)
ドナーの腸内細菌とそっくり(1回の投与だけで)

合わない人もいる。
他人よりは子、親、兄弟等がいいが、圧倒的にいいのは兄弟(姉妹)特に年齢差10歳以下が好ましい→理想的な腸内細菌叢を共有している。
臓器移植にも関係する?(織田)→その通り。
臓器移植で重症の下痢を起こす場合に便移植する。
危険性は?ウイルス、寄生虫、耐性菌等・・・
スクリーニングが大切。

腸内細菌で脳を育てる?
うつ病、自閉症、パーキンソン病等の予防。
腸の神経細胞は脳の神経細胞と同じ。脳腸相関。
腸内細菌を持たないマウスの実験。
他者を攻撃する(不安)多動。危険信号。
このマウスにビフィズス菌を入れるとセロトニンが分泌され、迷走神経刺激により、脳の状態が改善する。
腸内細菌のおかげで脳を正常に保つ。
お腹の調子が悪いとうつ病も悪化。
臓器に腸内細菌の受容体がある。
米国で開発したアルツハイマー病の薬の検査を、ビフィズス菌を使ってやったら効果が確認された。

腸内細菌のノアの方舟

今、世界的に都市化が進行。昔ながらの環境が減っているため、腸内細菌の多様性が失われている。
浄化された水道水、滅菌された食品・・・
大切な腸内細菌を未来に引き継げるか?
三代に亘って腸内細菌を調べると、どんどん減っている。
保存しないとなくなる・・・・
他の惑星に進出する時も必須になる。
未知の細菌を知るという「攻め」も重要。


今日の一曲
この疾走感がスキだなー
Fleetwood Mac - Big Love 1986