三菱電機「鉄道車両検査不正」日経エレクトロニクス 2021/6/30 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

先日こちらで三菱電機の設計不正について記事にしたが、それに劣らない不正が明るみになった。

同社長崎製作所で、鉄道車両向け空調装置の各検査データを捏造。
製品そのものの安全、機能、性能には問題ないと言っているが、それを証明するのが検査データなのだよ。

当然ただでは済まないだろうし、済ませてはならない。
関連会社でも続々と出ている不祥事。

 

7/1付 朝日新聞一面見出し
数値偽装に専用プログラム
三菱電機、組織的不正か

 

こんな会社は存在しなくていい。

このCMも自粛だな・・・



以下例によって「日経エレクトロニクス」の記事を添付する。
(日経さんご容赦を)

日経エレクトロニクス
三菱電機、絶えぬ品質不祥事 強い事業部に監視届かず
2021年6月30日 12:01 [有料会員限定]

三菱電機で製品検査の不祥事がまた発覚した。鉄道車両向け空調装置について30年以上にわたり架空の検査データを顧客に報告していた疑いがある。同社では近年、品質管理を巡る問題が相次ぐ。

工場や事業所など事業部の現場が強く、本社の監視の目が行き届かない背景がある。品質管理や品質保証を軽んじる過去のひずみもここにきて噴出している。

【関連記事】 最下段に掲載
・三菱電機、鉄道車両空調で「不適切」検査 30年以上か
・三菱電機の「不適切検査」 官房長官「大変遺憾」

「不祥事のデパートになっている。いかに企業価値を毀損しているか十分理解しているはずだ」

29日の定時株主総会では株主から厳しい指摘があがった。

取締役でつくる監査委員会の役割をただす質問だった。

委員を務める佐川雅彦取締役は「全社での品質点検が不十分であったと認識している。今後も再発防止策を監視していく」と答えた。

だが、新たな不祥事がその日のうちに発覚した。

不適切検査が分かったのは鉄道車両向け空調装置の一部機種だ。

出荷前に冷暖房や防水、耐電圧の性能など、顧客の指定する内容を検査することになっている。
ところが製造を担う長崎製作所(長崎県時津町)では、検査していないのに架空の数字を報告書に記入して、検査したかのように装うなどしていた。

6月中旬に社内調査で発覚し、該当する製品の出荷を停止。

顧客へ順次説明しているほか、経済産業省にも報告を済ませた。

「6月25日に三菱電機から報告があった。『発覚した』ということだけだった。現在は調査結果を待っている段階。三菱電機側にはなるべく早く調査結果を連絡するように伝えている」(経産省)

三菱電機は詳細を調査中だが、「製品そのものの安全、機能、性能には影響ないことを確認している」(広報)という。

同社の資料によると、空調装置や表示機器など鉄道車両向けの「電機品」で6割の国内シェアを持つ。

不適切検査の発覚で、鉄道会社は対応に追われている。

JR東日本は対象となる車両などの詳細は調査中だが、三菱電機製の空調機器が新幹線で約1700台、在来線で約8100台使われており、多数の車種に搭載されている。

三菱電機からは安全性には問題はないとの説明があり、JR東が行なっている定期的な検査でも異常などは確認されてないという。

現時点で運行への影響はなく、「詳細は確認中で三菱電機の報告を受けてから適切に対処していく」(JR東)という。

グループ全体で相次ぐ品質不祥事
問題は、不正が1980年代から30年以上続いていた疑いがあるという点だけではない。グループ全体で品質管理を巡る問題がここ数年、立て続けに起きていることだ。

発覚した品質問題は「氷山の一角ではないか」という疑念を顧客企業や最終消費者に抱かせかねない。

発端は子会社だった。

18年11月、子会社のトーカン(千葉県松戸市)が決められた品質検査を実施せず、顧客と取り決めた仕様を満たさないゴム部品を出荷していたことが発覚。

19年8月には子会社の菱三工業(神戸市)で顧客が求める検査を省いたり強度に達しない鋳鉄製品を出荷したりしていたことが明らかになった。
20年に入っても、パワーデバイス製作所(福岡市)で顧客と定めた検査規格と異なる検査を行っていたと2月に公表。

同年11月にも欧州向け車載オーディオの一部で法規制に適合しない製品を出荷していたと発表した。
直近では21年5月、安全認証を受けていない材料を使った電気制御部品を215万台出荷していたと発表している。




三菱電機は品質を巡る他社の不祥事を受け、16、17年度にグループで品質点検を実施した。

ただ対象が限定的だったため、問題が顕在化することはなかった。

その後、トーカンでの問題を受け、18年12月から19年3月にかけて全事業所と全子会社を対象に社内で一斉に再点検を実施した。

菱三工業の事例などはこの際に発覚した。

19年にまとめた再点検時の報告書は、原因について「根本的には品質教育不足による品質意識の欠如、品質管理の取り組みの甘さであって、市場不具合がないため現状で問題ないという誤った意識があった」とした。再発防止策もまとめている。

ただ、その後も事例が相次いでおり、調査や取り組みが十分だったのか疑問が残る。社内調査の限界を露呈した格好だ。

三菱電機の問題は品質だけではない。労務問題も頻発している。

14~19年、過労を原因とした自殺などでグループ全体で男性社員6人が相次いで労災認定を受けた。19年8月には教育主任から暴言を受けていたとみられる新入社員が自殺し、21年3月に労災と認められた。

同社は労務面でも再発防止に取り組んでいる最中だ。

1952年に社是で「品質奉仕の三菱電機」
エレクトロニクス産業の元トップアナリストで現在、東京理科大大学院で技術経営などを専門とする若林秀樹教授は、三菱電機で品質の不祥事が相次ぐ背景について、「総合電機メーカーのなかでも三菱電機は事業部が強い縦割り組織で、経営トップの目が行き届かない構造問題がある」と指摘する。

「事業部も本社の介入を避けるため、課せられた業績目標を達成するプレッシャーが強い。

営業成果偏重主義も影響したのではないか」と語る。

三菱電機の杉山武史社長も6月上旬の取材で、不祥事が相次ぐ背景の質問に対し、「事業部門ごとの独立性が強いというのが少し弱みになったという面がある」と述べた。

「それぞれが強い権限を持っており、業績を維持するためのいろいろなアクションが強かったということは認めざるを得ない」と話した。

株式市場では先行き懸念が広がっている。

30日午前の東京市場では一時、前日比43円(2.6%)安の1590円と、2月26日以来4カ月ぶりの安値をつけた

三菱電機は21年2月に創立100周年を迎えた。

1952年に制定した社是では「品質奉仕の三菱電機」を掲げている。

現在も「品質は第一であり、納期・価格などに優先する」などからなる「四つの品質基本理念」を示し、品質を企業文化の根幹と位置づけてきた。

それだけに品質への信頼が揺らげば、顧客離れも懸念され、再発防止に向けた抜本的な対応が求められる。
(福島悠太)


三菱電機、鉄道車両空調で「不適切」検査 30年以上か
2021年6月29日 23:49 (2021年6月30日 5:43更新)

三菱電機は29日、鉄道車両向け空調装置の一部機種で「不適切な検査」を行っていたと明らかにした。

製造を担う長崎製作所(長崎県時津町)で架空の検査データを顧客に報告するなどしており、不適切な検査は1980年代から30年以上続いていた疑いがある。該当する製品の出荷はすでに停止し、調査や顧客への説明を進めている。
同社は「安全性に問題はない」としている。
 

同社の資料によると空調装置や表示機器など鉄道車両用の「電機品」で約6割の国内シェアを持つ。
出荷前には冷暖房や防水、耐電圧の性能などを検査する。

検査内容は納入先の顧客からそれぞれ指定されるが、同社によると、検査していないのに架空の数字を示して検査していたかのように装うなどしていた。「製品そのものの安全、機能、性能には影響ないことを確認している」(広報)とした。
6月中旬に社内調査で発覚した。不適切検査を行った機種など詳細は調査中という。経済産業省にも報告した。

ただ、29日の株主総会では説明しなかった。

同社では品質管理を巡る問題が相次いでいる。5月には安全認証を受けていない材料を使った電気制御部品を、215万台出荷していたと発表した。2020年11月にも欧州向け車載オーディオの一部で法規制に適合しない製品を出荷していたことが明らかになった。


三菱電機の「不適切検査」 官房長官「大変遺憾」
2021年6月30日 13:00

加藤勝信官房長官は30日の記者会見で、三菱電機が「不適切な検査」をしていたと発表したことを受け「大変遺憾だ」と述べた。

「原因究明、再発防止へしっかり機動的に対応していく」と強調した。
同社は鉄道車両向け空調装置の一部機種で、架空の数字を示して検査していたように装っていたと説明している。

加藤氏は経済産業省が事実関係と原因の調査・報告をするよう指示したと語った。

「法令上の問題がなかったかを含め、詳細は調査中だ」と指摘した。