新世紀エヴァンゲリオンTV版 1995年 再レビュー | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

TVも含めた全エヴァンゲリオンシリーズの最後を締めくくる「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」が公開された(2021/3/8~)
全てを回収するという意味で、TV版での「人類補完計画」が一体どうだったかのサルベージも必要になった。
旧レビューは、ざくっとしたもので終わっているので、今回もう少し詳しめに・・・

感想
「新劇」に上書きされてかなり記憶が薄れていたが、改めていい作品だと思う。監督の庵野秀明は「ガンダム」に強く影響された世代で、第一話の「つかみ」もそれを意識したという。
だがそのアイデアの新規性から言っても、ガンダムとは別ものと言っていいだろう。
ガンダムはアムロの成長物語だが、こちらのシンジは戦いを繰り返しても、さほどの成長は感じられない。

その枷になっているのが父親のゲンドウ。

ほとんど愛情を示さないまま、息子を道具として使い倒す。
徹底した不安、抑圧の中では成長どころではない。

この閉塞感は「ガンダム以後」世代として強く響いたのだろう。
制作放棄とまで言われた25、26話も、今になって振り返ると十分成立している。
15年前にやったレビューでは「この世界にいてもいいんだ」という程度の心の補完か、と少し失望したものだが、コロナに代表される人間同士の繋がりが制限された今の社会では、その事こそが重要命題になって来る。
ゲンドウにとっての補完が、亡き妻ユイと一緒になることだったというのもTVシリーズで既に語られている。

監督                  :庵野秀明
キャラクターデザイン   :貞本義行
メカニックデザイン     :山下いくと、庵野秀明
副監督                :摩砂雪、鶴巻和哉
音楽                 :鷺巣詩郎

キャスト
碇シンジ                   緒方恵美
綾波レイ                   林原めぐみ
惣流・アスカ・ラングレー 宮村優子
葛城ミサト                  三石琴乃
赤木リツコ                  山口由里子
碇ゲンドウ                 立木文彦
冬月コウゾウ               清川元夢
加持リョウジ                    山寺宏一
渚カヲル                        石田彰
伊吹マヤ                        長沢美樹
青葉シゲル                     子安武人
日向マコト                       優希比呂
鈴原トウジ                      関智一
相田ケンスケ                  岩永哲哉
洞木ヒカリ                       岩男潤子
キール・ローレンツ           麦人


第壱話    使徒、襲来  映像  映像

父、碇ゲンドウに呼ばれ、第3新東京市の特務機関NERVに赴いた碇シンジ。
迎えに来た葛城ミサトの前に現れる巨大な生物。


シンジは技術開発部の赤木リツコ博士に引き合わされ、地下の巨大な汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン初号機を見る。そこで会った父ゲンドウはシンジに、これに乗ってあの「使徒」と戦えと命じる。
「出来るわけないよ」と言うシンジを見放したゲンドウは、次いでストレッチャーで運ばれて来た包帯だらけの少女、レイに操縦させると言う。傍らに立つ冬月。
使徒の攻撃による衝撃で、落下物がシンジらに落ちるが、その時初号機の手が動いて守った。
抱き起こしたレイの体の出血を見て「逃げちゃダメだ」と繰り返し「やります!僕が乗ります」と叫ぶシンジ。
乗り込むシンジをサポートしながら、高いシンクロ率に驚くリツコ。
そして、第3使徒サキエルと戦うべく地上に射出された初号機。


第弐話    見知らぬ、天井   映像
使徒と対峙するも、歩くことさえ出来ない。一方的に攻撃される初号機は、腕を破壊され頭部も貫かれて沈黙した。

病院で目覚めるシンジ。知らない天井。
会議の席上で、今回の一件を責められるゲンドウ。

急務である「人類補完計画」への危惧も話される。
退院後、ミサトの家で暮らすことになったシンジ。帰路で「使徒迎撃戦用要塞都市」の全景を見せ「あなたが守った街」と言ったミサト。
生活者としてはボロボロのミサトに驚きながらも、その一日を終えて眠りにつこうとするシンジ。

沈黙した初号機を執拗に攻撃する使徒。

エントリープラグ射出も受け付けず、シンジの命が危ない。
その時、初号機が再起動。かつてなかった事態。

ゲンドウは勝利を確信。
目覚ましい反撃を開始する初号機。敵のA・Tフィールドを自らのA・Tフィールドで中和して侵食し、攻撃を浴びせる。
窮した使徒は初号機に巻き付いて自爆。だがそれにも耐えた初号機。
コックピットのシンジは、ただその状況を見ていただけ。エヴァの頭部が剥がれ、巨大な眼球がシンジを見据える。絶叫するシンジ。
呆然とするジンジに

「あなたは立派なことをしたのよ」と伝えるミサト。


第参話    鳴らない、電話  映像
訓練のためエヴァに乗るシンジだが消極的。「目標をセンターに入れてスイッチ」の繰返し。
学校。ビデオヲタクの相田ケンスケに、委員長の洞木ヒカル。
欠席していた鈴原トウジが登校。

エヴァの戦いで妹が怪我をしていた。
シンジが、あの時のエヴァパイロットと知って殴るトウジ。
レイに非常招集を知らされるシンジ。

第4使徒シャムシエルと戦うため初号機で出撃したシンジだが、シミュレーション通りには行かない。


アンビリカル・ケーブルが断線して活動限界が5分になる中、ケンスケとトウジがビデオ撮影に来ていて危険な状況。
ミサトの指示で二人をコックピットに入れるシンジ。
退却を命令するミサトを無視し攻撃するシンジは、活動限界寸前にナイフで使徒のコアを貫き沈黙させた。
戦闘の現場に驚愕するトウジとケンスケ。


第四話    雨、逃げ出した後  映像
第4使徒との戦いの後、学校を休み続けるシンジ。
家を出て電車に乗るシンジ。野宿で夜を明かした後、郊外に行く。
もう戻らないかも知れない、とリツコに話すミサト。
山中で、サバイバルキャンプをしていたケンスケに会い、一晩を過ごすシンジだが、翌日NERV要員に連れ戻された。
エヴァに乗る意思を示さないまま、ここを去ることになったシンジ。
駅まで見送りに来たトウジとケンスケ。借りを返すため、自分を殴れと言うトウジを殴ったシンジ。ミサトの車が見える。
走り去る電車。そこにシンジは残っていた。



第伍話    レイ、心のむこうに  映像
22日前。零号機の実験が失敗して制御不能となり、エントリープラグが強制射出された。

 

手の火傷も構わずレイを助け出そうとするゲンドウ。
初号機が撃破した、使徒の遺伝子を解析するリツコ。
それはヒトと99.89%一致する。
シンジは、父とレイが親しく話すのが気になっていた。
リツコに頼まれ、シンジはレイにIDカードを届けに行ったが、シャワー後のレイの裸体を見て取り乱す。
その後NERV本部で、エヴァの事について話す中「あんな父親なんて信じられない」と言うシンジを平手でたたいたレイ。
第5の使徒襲来の報を受け、初号機で出撃するシンジ。

だが出た直後に攻撃を受ける。


第六話    決戦、第3新東京市  映像  映像
第5使徒ラミエルの高エネルギー攻撃により、瞬間的に倒された初号機。意識を失ったシンジは病院に運ばれた。


使徒は攻守とも完璧。目的はジオフロント内NERV本部への侵入、攻撃。残された時間は10時間。
日本全国の電力を集中させ、陽電子砲による超長射程からの攻撃を提案するミサト。
「ヤシマ作戦」として準備が開始された。
病院へ作戦を伝えに行くレイ。怖気づくシンジに

「あなたは死なない。私が守るもの」
作戦決行前、シンジがレイにエヴァに乗る理由を聞いた。
「絆だから」と言うレイ。そして作戦開始の時「さよなら」と告げた。

発射までの間に使徒からの反撃があり、第1射は失敗。
第2射への充電の間に再度の攻撃。それをレイが乗る零号機が盾で防御。
盾の限界が来て、本機も危うくなった時に充電完了し第2射。
コアを貫かれ殲滅される使徒。
火傷も構わずレイの乗るエントリープラグを開けるシンジ。
「さよならなんて悲しいこというなよ」の言葉に「こんな時どうすればいいか分からない」と言うレイ。
「笑えばいいと思うよ」
シンジにゲンドウの顔を重ねるレイ。


第七話 人の造りしもの  映像
ミサトがシンジの進路相談で中学校に乗り付けると、男子生徒から大ウケ。実態との乖離を嘆くシンジ。
会議のため海外に発ったゲンドウ。
リツコはセカンドインパクトについての説明をシンジにする。

15年前発見された最初の使徒を巡る調査中に、大爆発が起きたのがセカンドインパクト。

NERVやエヴァはサードインパクトを防ぐために存在する。

ミサトとリツコは「JET ALONE」完成披露に招かれていた。

企業の共同体による自律型攻撃ロボット。


通称JAの起動テストは順調に進んだが、途中で制御不能になる。
緊急対応で初号機とシンジを派遣させるミサト。その内容は防護服に入ったミサトが機内に入りバスワードで止めるもの。
ミサトを手に乗せた初号機がJAに取り付き、ハッチからミサトが機内に入るが、ハスワードを受け付けない。
他の手段も尽きた中で緊急停止するJA。

全てが仕組まれていた事を知るミサト。


第八話   アスカ、来日  映像  映像
ミサトに連れられて輸送ヘリに乗るシンジ、ケンスケ、トウジ。

軍事ヲタクのケンスケは喜ぶ。
着いたところは旧型空母。そこで紹介された少女がエヴァ弐号機パイロットのセカンドチルドレン「惣流・アスカ・ラングレー」だった。
弐号機も同時に輸送されて来た。
サードチルドレンのシンジを「ださい」と斬り捨てる。
保護責任者として姿を現した加持リョウジに驚くミサト(元彼)

アスカが弐号機を皆に紹介している時に、第6使徒ガギエルの襲撃を受ける。アスカに無理やり同乗させられたシンジ。

 

弐号機が起動し船から船へ八艘飛び。水中戦となり苦戦するが、使徒が開けた口に戦艦を突っ込むゼロ距離射撃で殲滅。

ミサトらを置いてゲンドウを訪れた加持は、届け物として「アダム」を渡す。これが人類補完計画のかなめだという。


第九話 瞬間、心、重ねて  映像
学校で人気者になるアスカだが、ファーストチルドレンの綾波レイが気になる。常に温度が低い対応のレイ。
リツコに馴れ馴れしく接する加持にイラつくミサトだが、彼は辞令により当面NERVに留まる。
第7使徒イスラフェルが出現。出撃した初号機と弐号機。

弐号機がキックで切り裂くが、二つに分裂して反撃され敗北。


冬月は、協力して戦えと言うが、いがみ合うだけの二人。
ミサトは今度の二点同時攻撃のため、アスカも同居させての特訓を宣言。いがみ合いながらも特訓の成果は上がって来る。
決戦当日。防衛線を突破する使徒に対し、音楽に合わせて完璧なユニゾンを見せる二機。

最後に二つのコアを同時に破壊して殲滅に成功する。


第拾話 マグマダイバー  映像
浅間山火口に使徒がいるとの報告を受け、まだ完成体になっていない事から、弐号機による捕獲作戦が立てられ、アスカに命令が下った。
弐号機の耐熱スーツが不格好なのに激怒するアスカ。

だが代わりにレイが乗ると聞いて撤回。
ワイヤーで吊るされて降りる弐号機。安全深度を越えて降下し、何とか目標をキャッチャーに入れたが、第8使徒サンダルフォンが羽化を始めてしまう。捕獲は殲滅に切り替えられたが、武器はプログ・ナイフのみであり歯が立たない。


熱膨張を利用する事を思いついたアスカは、自らの冷却チューブを切断し使徒の口に冷却液をぶち込んだ。更にコアへのナイフ攻撃。
落ちて行く時、道連れにするため弐号機のワイヤーを切る使徒。
奈落に落ちる覚悟を決めたアスカだが、それをノーマルのままの初号機がつかんだ。「バカ、無理しちゃって・・・・」
作戦終了後の温泉旅行。露天風呂でミサトの体の大きな傷跡を見るアスカ。セカンドインパクトの時のものだという。
アスカの過去も含め、昔の事は気にしないと言うミサト。


第拾壱話 静止した闇の中で  映像
零号機の実験中に異常が発生し、リツコはNERV全体の停電を引き起こす。システムコンピュータMAGIとセントラルドグマ以外には電源が回せない。
そんな中で第9使徒マトリエルが接近する。

連絡がつかない中、NERVに向かうシンジ、レイ、アスカ。
ゲンドウも作業に加わり、手動でのエヴァエントリー作業を進める。
何とかパイロットが辿り着き、エヴァ三機が起動。

溶解液を出す使徒に対して三機が協調して攻撃し、殲滅した。



第拾弐話 奇跡の価値は  映像
西暦2000年。 セカンドインパクトが起こった年。
幼いミサトは父に助けられ窮地を脱した。その時に負った胸の傷。
軍事ヲタクのケンスケは、ミサトの制服襟章が一尉から三佐になったのを見て敬意を示す。
シンジはエヴァとのハーモニクステストでいい数値を出すが、アスカは不機嫌。
ミサトの家が昇進祝賀会場となり、大勢が集まる。
一方ゲンドウと冬月は、南極を進む艦の上にいた。セカンドインパクトによる真っ赤な海を「汚れなき浄化された世界」と言うゲンドウ。
衛星軌道上に第10使徒サハクィエル発見の報が入る。

自らが爆弾となってNERV本部を襲うもの。


着弾地点の予測が直前まで通じず、撤退を推奨するMAGI。
作戦をゲンドウから一任されたミサトは、エヴァ自身が使徒を受け止めると宣言。
エヴァ三機で待機し、目視で敵を捕らえると走り出した。

一番近いのは初号機で、A.Tフィールドを全開にして受け止める。

零号機が敵のA.Tフィールドを裂き、弐号機がコアにプログ・ナイフを突き刺し殲滅。
初めて父から「よくやったな、シンジ」との言葉を受け感動するシンジ。


第拾参話 使徒、侵入  映像
エヴァの新しいテストのため、コンピュータシステムMAGIのチェックが進む。シンジたち三人は直接ハーモニクステストのため無菌、全裸でエントリープラグに入る。
順調に進むテストだったが、壁の一部に侵食が見つかり、それが爆発的に増殖した。細菌サイズの第11使徒イロウル
パイロット三人を退避させたが、侵食は更に進み、三台あるシステムの「MELCHIOR(メルキオール)」が侵入された。

次の「BALTHASAR(バルタザール)」もハッキングされる。
リツコはロジックモード変更で時間を稼ぎ、進化を促進させて自滅に追い込む作戦を実行。最後の一台「CASPER(カスパー)」への侵入が始まり、自爆装置作動までの時間が迫る中、1秒前に止めたリツコ。


システム設計をしたリツコの母が、三台に個性を持たせ、最後の
「CASPER」には女の部分を仕込んでいた。


第拾四話 ゼーレ、魂の座  映像
西暦2015年
第3使徒サキエル、襲来。サードチルドレン碇シンジによるエヴァンゲリオン初号機、初出撃。頭部損傷、制御不能後の使徒殲滅。

多々の反省点を残す。
第4使徒、シャムシエル襲来。外部電源切断の中で使徒殲滅。
第5の使徒ラミエル、襲来。葛城一尉提案のヤシマ作戦決行。

ファーストチルドレン綾波レイの零号機と碇シンジの初号機による連係により殲滅。零号機大破するもパイロットは無事。
第6の使徒ガギエルに遭遇。セカンドチルドレン惣流・アスカ・ラングレーの弐号機初出撃。初の水中戦闘を制し、殲滅。
第7の使徒イスラフェル、襲来。分離、合体能力を有する相手に初号機、弐号機による二点同時過重攻撃にて殲滅。
第8使徒サンダルフォンを浅間火山口内にて発見。弐号機が耐熱スーツにより対応。捕獲途中で羽化したため作戦を変更し、殲滅。
第9の使徒マトリエル、襲来。NERV本部電源喪失の中、エヴァ三機による連係攻撃で殲滅。
第10の使徒サハクイエル、襲来。成層圏からの自爆攻撃にエヴァ三機が直接受け止める作戦で殲滅。
第11の使徒襲来の事実は、現在未確認。これを隠し通し、全てはゼーレのシナリオ通りに進んでいると主張するゲンドウ。

機体相互互換試験で初号機に乗るレイ。またシンジも同試験で零号機に乗ったが、違和感を覚える。その直後制御不能となり、暴走した後停止した零号機。リツコは、自分を殴りたかったのだと確信。


第拾伍話 嘘と沈黙  映像
エヴァパイロットの人選を行う「マルドゥック機関」の情報集めをする加持。
一方父と、母ユイの墓参りをするシンジ。

かけがえのないものを確認するため、ここに来るというゲンドウ。
帰宅したシンジはチェロを弾く。

弾き始めた動機にすら意思がないシンジに呆れるアスカ。
NERV本部の地下「セントラルドグマ」でL.C.L.に浮くレイを見るゲンドウ。それはダミープラグのための準備。
更に深い「ターミナルドグマ」でミサトに銃を向けられている加持。
加持はNERV以外に内務省にも通じていた。
加持の持ったIDカードでターミナルドグマの扉が開かれた。
槍を胸に突き立てられた白い巨体を「アダム」だという加持。

 


第拾六話 死に至る病、そして 映像
エヴァパイロットたちが行うハーモニクステストでトップになり、少し自信を持つシンジ。だが納得出来ないアスカ。
突如空中に現れた巨大な球状の物体。

使徒かどうかの判断をMAGIは保留。
初号機が攻撃し、他の二機がサポートする中、物体は第12使徒レリエルと認識された。

 

その直後、球体の下に広がる影に飲み込まれた初号機。
リツコの説明では直径680m、厚さ3ナノメートルをA・Tフィールドで支えている。その内部は「ディラックの海」という虚数空間。
濁りつつあるL.C.L.の中で母親のイメージに包まれるシンジ。
航空機からの爆雷投下寸前に、使徒の影に亀裂が走り、その直後空中の物体を突き破って初号機が出て来た。凄まじい光景。
改めてエヴァの持つ恐ろしさを実感するリツコ。


第拾七話 四人目の適格者  映像
人類補完委員会での議論。使徒は知恵をつけ始めている、とゲンドウ。残された時間は少ない。
米国の第二支部が、4号機実験中の事故で消滅した事を受け、本部が3号機を引き取る事になった。
ダミープラグ運用についてゲンドウに説明するリツコ。不完全を承知で初号機と弐号機へのデータ入れを指示するゲンドウ。
3号機運用のための、四人目のパイロットが選定される。
ゲンドウと冬月の会話。支部消滅の話題に、ジオフロントと初号機さえ残っていればいいと言うゲンドウ。
校長室に呼び出されたトウジ。そこにはリツコが待っていた。


第拾八話 命の選択を 映像
松代まで輸送機で運ばれつつある3号機。
シンジだけが3号機パイロットが誰かを知らなかった。
3号機の準備で不在のミサトに代わって、加持が泊まりに来た。
その夜、加持に父のことを聞くシンジ。他人を完全には理解出来ないが、知ろうとする努力が面白いと言った。
ミサトとの仲については「彼女」という言葉が彼方、つまり向こう岸だと言う。
着々と進む3号機の起動試験。

だが異常が発生し、暴走を始めた3号機。
エヴァ全機が招集されゲンドウが、3号機を第13使徒バルディエルとして撃破するよう指示。


弐号機が倒れ、零号機も腕を侵食される。ゲンドウは神経接続解除前にそれを切断。次いで初号機に迫る3号機。
戦おうとしないシンジ。

お前が死ぬと言っても、人を殺すよりはいいと言うシンジ。
ゲンドウはコントロールをシンジから取り上げ、ダミーシステムに切り替えた。
猛烈な反撃に出る初号機は、たちまち3号機を倒し、拘束具も剥がす。止めようとするシンジの見る前で、トウジが乗ったエントリープラグが握りつぶされた。

3号機パイロットの生存を知って安堵したシンジだが、病院へ見舞いに行き、トウジの寝ているベッドを見て絶叫する。

そこに左足のふくらみがなかった。


第拾九話 男の戰い  映像
3号機の一件でNERVに怒りをぶつけるシンジは、初号機に乗り立てこもった。だが高濃度L.C.L.に晒されて意識を失う。
回復後ゲンドウの訊問を受けるシンジは、エヴァを降りると宣言して立ち去った。サードチルドレンの登録も抹消された。
電車を待つ間に非常事態宣言が出され、避難を促されるシンジ。

「使徒だ」
第14使徒ゼルエル。初号機でレイが出撃しようとするが、神経接続が拒否される。不十分な零号機で出動するレイ。


一方先行したアスカの弐号機。

使徒は折り畳んだ腕を伸ばして弐号機の両腕を切断した。捨て身で突っ込むアスカだが、頭部も切断されて完全に沈黙。
シェルターに避難していたシンジの眼の前に弐号機の首が転がって来た。そこに居合わせた加持が、自分のスイカ畑にシンジを案内する。死ぬ時はここがいいと言って水を撒く。

地下に眠るアダムと使徒が接触すれば、人類は終わると話した。
その時、N2爆弾を抱えた零号機が使徒に突進。

だが爆発にも動じない使徒は零号機の首を刎ねた。

自分で考え、自分で決めろとの言葉に決心するシンジ。
初号機がダミープラグも拒絶する中、息を切らしたシンジが現れる。
「僕を初号機に乗せてください!」
メインシャフトを降下した使徒が発令所に達した時、初号機がそれを止める。ミサトとの連係で射出リフトから使徒を地上に出す初号機。
戦いで片腕を失うが、優勢な初号機。だが活動限界が来てしまい沈黙。体のコア部を執拗に攻撃する使徒。
「・・・・動け! 動け! 動け!」

その絶叫に呼応して鼓動を始める初号機。
ちぎった使徒の腕を、失った肩に当てると腕が再生した。

凄まじい反撃。マヤがシンクロ率400%!と叫ぶ。
瀕死の使徒を前に雄叫びを上げる初号機は、その顔に食らいつくと捕食を始めた。
「使徒を・・・食っている」とうめくミサト。

「自らS2機関を取り込んでいる」とリツコ。
「全てはこれからだ」とゲンドウ。


第弐拾話 心のかたち 人のかたち  映像
使徒との戦いの後、エントリープラグ内で姿を消したシンジ。

初号機に取り込まれてしまったと話すリツコに怒りをぶつけるミサト。
シンジのサルベージ計画を進めるリツコ。生命のスープとも言えるL.C.L.からシンジの肉体を再構成し、精神を定着させる。
プラグ内を漂うシンジの自我。強制と拒絶の中で、父と母から逃げていた事に気付くシンジ。
一ケ月でリツコが綱領を作成し、サルベージ作業が開始された。

途中までは順調だったが、エラーが発生して作業は中止。

シンジの自我による拒絶か?
事態は悪化を辿り、プラグ内圧力上昇によりハッチが開く。

シンジのプラグスーツを抱きしめて泣くミサト。
何かが落ちる音を聞いて目を開けるミサト。

そこにシンジが横たわっていた。


ベッドで重なり合うミサトと加持。秘密の共有。
人類補完計画の実態を知りたくて加持に付き合っている・・・・
「こっちが知りたいよ」と加持。


第弐拾壱話 ネルフ、誕生  映像  映像
首謀者加持と共に、拉致された冬月への関与を疑われ逮捕されたミサト。キール議長の前に出される冬月。

メンバーが委員会ではなくゼーレなのに驚く冬月。
冬月へ協力を求めるキール。
S2機関を取り込み絶対的存在となった初号機。

ゲンドウに「神」が渡る事を危惧するゼーレは、ゲンドウを信用出来るか?と冬月に問うた。
1999年 京都
会いたがっているとの伝え聞きで、冬月が六分儀ゲンドウに会った印象は悪かったが、門下生の碇ユイが彼と付き合っていると知って驚いた。ユイの背後にある「ゼーレ」に近づくための方便だったとの噂。
そして2000年に「セカンドインパクト」は起きた。
2002年
南極調査船によるツアーでゲンドウと会った冬月は、彼がユイと結婚して碇姓になった事を知る。ユイは子供が生まれ同行出来なかった。
葛城調査隊の生き残りの少女ミサトに会う冬月。セカンドインパクト時に出現した「白い巨人」を追う冬月。真実隠蔽に動くゼーレ。
2003年
箱根 人工進化研究所長になっていたゲンドウは、あの事故直前「葛城調査隊」の現場から立ち去っていた。次いで資料も消滅。
疑念を持つ冬月に、地下へ導くゲンドウ。

そこで会った赤木ナオコは生体コンピュータ研究者。MAGIを開発中。
ナオコに巨人・エヴァ零号機を見せられて驚く冬月。
「人類の新たな未来を作らないか」と持ちかけるゲンドウ。
2004年
箱根 地下実験場。幼い息子に未来を見せようとした母ユイは、不慮の事故で亡くなった。
その後キールに、人類補完計画推進を提唱するゲンドウ。
2008年
ゲヒルンへの入所が決まったナオコの娘リツコ。

施設見学の折りに、ゲンドウと母の関係を知る。
2010年
ジオフロント。ゲンドウは、知人の子だといってナオコ、リツコに綾波レイという少女を紹介した。ユイの面影を見るナオコ。
MAGIシステム完成。科学者、母親、女の三つの私のせめぎあい、とリツコに話すナオコ。
レイが「ばあさんは用済みだ」とのゲンドウの言葉を伝え、絶望したナオコはレイを扼殺。身投げして死んだ。
キール・ローレンツを議長とする「人類補完委員会」はゲヒルンを解体して特務機関NERVを設立。
2015年
冬月を解放する加持。それはゼーレに対する裏切り。
ミサトも解放された。そのまま消息を絶った加持。
帰宅したミサトに残された加持からの留守電。
「真実は君と共にある」泣き崩れるミサト。


第弐拾弐話 せめて、人間らしく  映像  映像
アスカの母、惣流・キョウコ・ツェッペリンは、ゲヒルンの科学者だったが、エヴァの実験中に精神崩壊を起こし、後に自殺した。
孤独な幼少期を過ごし、全て自分で決める事を強いられて来たアスカ。シンクロ率が安定しないアスカ。
日向マコトから情報を聞くミサト。世界7個所で、エヴァ13号機までの建造が開始されたという。
アスカに国際電話がかかって来た。流暢なドイツ語で応対するアスカ。母親だというが実の親ではない。

シンジからの同情を感じてイラ付くアスカ。
更にシンクロ率を落とすアスカ。このままだと弐号機パイロット変更もあり得る、とリツコ。レイにも八つ当たりするアスカ。
そこへ衛星軌道上の第15使徒アラエル発見の報が入る。巨大な羽根を広げた形。


零号機が出撃する前に、アスカが無断で出撃。だがライフルを向けた時、使徒から光が飛ぶ。攻撃ではなく精神汚染が観測された。
「心の中を覗かないで!」精神を蝕まれて行くアスカだが、ミサトの撤退命令を聞かない。

「使徒は人の心を知ろうとしている?」とリツコ。
「汚されちゃったよぉ・・・・」と泣いてうずくまるアスカ。
シンジが初号機で出ようとするが、侵蝕リスクからゲンドウは許可せず、レイに槍を使えと命じる。
ターミナルドグマまで降り、第一使徒「アダム」に刺さったロンギヌスの槍を抜いて再び地上に出た零号機。
投擲態勢から槍を放つ零号機。槍はA・Tフィールドごと使徒を貫き、消滅させた。槍はそのまま進み、月にまで到達。
レイに助けられたという屈辱で殻に閉じこもるアスカ。


第弐拾参話 涙  映像  映像  映像
加持の留守電を何度も聞き続けるミサト。家に寄り着かないアスカ。
ゼーレは、ロンギヌスの槍の件でゲンドウを訊問するが、冬月からの使徒接近の報を受けて席を立つ。
ミサトの命令で零号機が出撃。

二重螺旋の、光る第16使徒アルミサエル


使徒はひも状になって零号機に突き刺さる。そして侵蝕を始めた。生体融合を進める使徒。援護のため弐号機を出そうとするが、アスカのシンクロ率が低すぎて動かせない。
融合を迫られたレイは精神世界へ潜り、相手と対峙する。

それは使徒か自身か。
あなた自身の心は悲しみに満ちている、と言う使徒。
現実に返ったレイは自分の涙に気付く。
次の瞬間、侵蝕は臨界点を突破し、零号機の形状が変化を始める。
即座に初号機の出撃を命じるゲンドウ。
A・Tフィールドを展開する初号機だが、伸びた触手につかまれ侵蝕が始まる。プログ・ナイフの応戦に苦しむ使徒だが、レイの姿になって初号機に迫った。
「私が・・・碇くんと一緒になりたい・・・・?」
その気持ちを抑え込み、使徒を自分に引き寄せるレイ。
そして緊急レバーに手をかけた。

大爆発する零号機。それと共に使徒も消滅。

悲しいのに涙が出ない、とシンジ。慰めようとするミサトを避ける。
翌日連絡を受けて病院に行くシンジ。そこにいたレイ。
「多分、私は三人目だと思うから・・・」
ゲンドウに話す冬月。レイの生存が知られるとゼーレがうるさい。

別のものを差し出した、とゲンドウ。
ゼーレの前で訊問を受けるリツコ。辱めを受ける。
一方ミサトは、加持から受け取ったプレゼントの秘密に気付いた。
解放されたリツコはシンジを呼び出して本部の地下に連れて行った。
そこにいたのはミサト。
三人で更に下層へ行き、着いたのが「人口進化研究所・3号分室」
無数のエヴァの残骸がありシンジに、あなたのお母さんが消えたところでもあると言った。
次に、ダミープラグの大元だと言ってリツコがスイッチを押すと、水槽がせり上がり、そこにいくつもの少女が。「綾波・・レイ」
ダミーシステムのコアがこれ。本来魂のないエヴァに魂を宿らせる。
結局それが出来たのはレイだけ。量産したものはただの入れ物だから壊す、と別のスイッチを押すリツコ。
少女たちはバラバラになって行った。
「親子そろって大バカ者だわ」と泣き崩れるリツコ。


第弐拾四話 最後のシ者  映像  映像
母親に、エースパイロットになったことを知らせるために走るアスカ。

ドアを開けた先には、首を吊った母親がぶら下がっていた。
零号機自爆の後、七日のちに憔悴しきって発見されたアスカ。
それと同時に到着したフィフスチルドレン。
リツコはダミーシステム破壊の罪を問われる。

君には失望した、と言って去るゲンドウ。
零号機が作った湖に立つシンジは、そこで鼻歌を歌う少年、フィフスチルドレンの渚カヲルに出会う。「歌はいいねぇ」と言うカヲル。
カヲルのシンクロ率は不自然なほど高かった。

話しかけられても警戒するレイ。

何となくカヲルを待っていたシンジ。それを察して一緒にシャワーを浴びたカヲル。極端に接触を嫌うシンジに、人は寂しさを忘れることで生きて行ける、と手を重ねた。
「好意に値するよ」と言われマゴつくシンジ。
家に戻る気がせずカヲルの部屋に泊まる事にしたシンジは、とりとめもなく父のことを話す。目を合わせてカヲルは「僕は君に逢うために生まれて来たのかも知れない」と言った。
幽閉されているリツコに会いに行ったミサト。

フィフスチルドレンの正体を「おそらく、最後のシ者ね」と言うリツコ。

弐号機の前に立つカヲル。さあ行くよ、の声と共に起動する弐号機。
その信号を受けて混乱する発令所。

フィフスチルドレンは第15使徒タブリスと認定された。
冬月は全隔壁を閉鎖して時間を稼ぐ。「老人は予定を一つ繰り上げるつもりだ」と言うゲンドウは、初号機による追撃を指示。

カヲルが使徒だと受け入れられないシンジだったが、ミサトの説得で自分を裏切った者として追撃を始める。

弐号機と戦う初号機。互いに張られるA・Tフィールド。

それを、誰もが持っている「心の壁」だと言うカヲル。
アダムと使徒が接触したらサードインパクトが起こる・・・その前に本部ごと自爆させる覚悟のミサト。
最後の扉が開かれた時、レイが現われてカヲルを冷たく見る。
構わずアダムの前に立つカヲルだが、それを見て驚く。
「違う、これは・・・リリス。そういうことか!」
初号機がカヲルの体を掴んだ。
ありがとうと言うカヲルの意味が分からないシンジ。

だが今ここで自分を消さなければ、君たちが消えると続けるカヲル。
そして、君に逢えて嬉しかったと伝える。
長い沈黙のあと、使徒の首がL.C.L.の海へ落ちた。


シンジは、カヲル君が生き残るべきだったと言ったが、ミサトは

「生き残るのは、生きる意思を持った者だけよ」と言う。


第弐拾伍話 終わる世界  
存在理由《レゾンデートル》 ここにいても、よいりゆう。

碇シンジ、彼の場合。
カヲルは自ら死を願い、シンジはそれを叶えた。
「だから殺したの?」とレイが問う。
嫌われることが怖い。父さんに捨てられた。嫌われた時どうしたらいいか分からない。エヴァに乗ればみんなが褒めてくれる。
要するに、寂しいのよ。

そんなのただの依存、共生関係なだけ、とアスカ。

レイが背後に現れる。「それはあなたも同じでしょ」
第2のキャラクター。
惣流・アスカ・ラングレー、彼女の場合。
いつのまにか弐号機の中。

エヴァを動かせない自分を、誰も必要としない。
一人になるのが怖いんでしょ。「だからエヴァに乗ってる」
あんたみたいな人形に言われたくない!

第3のキャラクター。
綾波レイ、彼女の場合。
私は誰?目覚めるたびに自分を確かめる。別の「綾波レイ」
他の人との触れ合いによって今の私が形作られている。それが絆。
自分が消えるのよ、の問いに嬉しいと答えるレイ。
あの人が必要とするから生きられる。そこに現れるゲンドウ。
「さあ行こう、この日のためにお前はいたのだ、レイ」
そして、人類の補完が始まる。


再びシンジ。消えて行くような感覚。
気持ちいい。どこまでも広がる感じ。

全てを虚無へ返す、人々の補完が始まった。
違う、全てを始まりに戻すだけ。

全ての心が一つとなり、永遠の安らぎを得る。
リツコに人類補完計画の全容を聞かされるミサト。

人の心にある空白、喪失した部分。そのための補完。
勝手に人の心をまとめ、補完し合うのなんて、ただの馴れ合い。
だけど、あなたもそれを望んだ、とリツコ。

CASE1:葛城ミサトの場合
自身の中のシンジと対峙する。「ミサトさんは何を願うの?」
母のためにいい子でいたかった。父がいない時は泣いてばかりの母。
そうしているうちに父が嫌いになった。いい子にも疲れた。だから汚れたい。
「だから抱かれたの?あの男に」と聞くリツコ。
優しかった。ありのままの自分を受け入れてくれた。
本当は父親の前で見せたいくせに。 違うっ!
加持の中に父親を見つけた。それが嬉しかった。
一緒にいないと怖いんだ、とシンジ。
刹那的な逃避で心を癒したいだけ、とアスカ。

CASE2:惣流・アスカ・ラングレーの場合
自身の中のシンジが問う。「アスカは何を願うの?」
一人で生きる決意をしたアスカ。父は別の女性と再婚。

それを受け入れなかったが、本当は寂しかった。
ママが天井からぶら下がっていた。その顔が嫌だった。

パパもママもイヤ。でも一人は辛い。一人はイヤ!。

これらを見ながらシンジは「これは何?」と呟く。
あなたのお父さんが進めていた人間の補完計画よ、とミサト。
自分で感じているのが事実。あなたが望んだ結果。
閉鎖された、自分一人が心地いい世界を君は望んだ、と加持。
「あなた自身が導いた、この世の終わりなのよ」とミサト。
そして補完への道は続く・・・


第弐拾六話 世界の中心でアイを叫んだけもの  映像
西暦2016年。人々の心の補完は続いていたが、全てを記す時間がなく、碇シンジの心の補完を代表とする。

CASE3:碇シンジの場合
自分はいらない子なんだと言うシンジ。

「そんなの、ミサトさんも同じじゃないか!」
それに同意するミサト。

だからお互いに足りない部分を埋める。それが補完計画。
そうしなければ生きて行けないからだ、とゲンドウ。
本当に? 生きていて楽しい?とレイ。
わからない。寂しい、辛いのは好きじゃない。
でも逃げたら辛い。辛かったら逃げてもいいのよ。
だって逃げ出したら誰も相手にしてくれないんだ。
だからエヴァに乗る。それで僕でいられる。アスカも同じ。
「他には何もないもの」とレイ。

自分の存在に疑問を抱くシンジは、虚無に落ちて行く。
自分がないとうずくまる。不安なのよ、とミサト。
周りの人々、取り巻く環境、みなずっと永遠に続くものじゃない。

変化の連続。だからあなたの心次第でいつでも変わる。
でもどうしていいかわからない。
ゲンドウが「不自由をやろう」と言って一本の線を与えた。

これで天地が出来た。自由が一つ消え、そこに立たなければならない。少し不安が消えた。
また無の空間に戻る。自分の存在が消えて行く。

人は、他人を見ることで自分を知る。
一番最初の他人は母親、とレイは言う。

母親はあなたとは違う人間なのよ、とアスカ。
「そう、僕は僕だ。ただ、他の人たちが僕の心の形を作っているのも確かなんだ!」
「ようやくお目覚めね、バカシンジ!」

突然世界が明るくなり、目の前に制服姿のアスカ。

ベッドで寝起きのシンジ。
母親のユイが朝食を作っている。

父のゲンドウが新聞を読んでいる。夫婦の会話。
そして登校の途中で、パンを咥えた青髪の生徒にぶつかるシンジ。
教室でトウジとケンスケとバカ話をするシンジ。
ミサト先生が車で出勤。男子生徒が窓に群がる。
ミサトが早速転校生を紹介。「綾波レイです、よろしく」

そうだ、これもひとつの世界。僕の中の可能性。エヴァパイロットではない僕もあり得る。現実世界は悪くないかも知れない。
でも自分は嫌いだ、とまた後退するシンジ。
現実を悪く捉えているのは君の心だ、とマコト。

見る角度が少し違うだけで心の中は大きく変わる、とマヤ。
真実が人の数だけ存在するが、君の真実は一つだ、と加持。
「お前は、人に好かれることに慣れていないだけだ」とゲンドウ。
人の顔色をうかがう必要なんてない、とミサト。
僕は僕が嫌いだ・・・・でも、好きになれるかも知れない。
僕はここにいてもいいのかも知れない。
シンジの世界が変わろうとしていた。僕はここにいたい。
ようやくその世界を受け入れる事ができた。
「僕はここにいてもいいんだ!」
みんなの祝福。「おめでとう」「おめでとう」
「ありがとう」溢れる笑顔で答えるシンジ。
父に、ありがとう。 母に、さようなら。

そして、全ての子供たちに おめでとう。