NHKスペシャル「タモリ×山中伸弥 人体VSウイルス」7/4放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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感想
2018年に、このコンビで放送された「シリーズ 人体」の特別版。
世界中で未だに猛威をふるい、日本でも、抑え込んだかに見えたが、再拡大しつつある「新型コロナウイルス」。
今回は感染のメカニズム、人類とウイルスの関わりの歴史、今後の展望、と主に三つの流れでレクチャーされた。
免疫の、ウイルスとの攻防は、実際の顕微鏡映像の動画が非常に良く撮れており、驚いた。
現在急がれているのは、罹患後治癒した人の免疫細胞を培養した治療・予防薬の実用化(今年中を目指す)
人体の精緻なメカニズムに驚くと共に、その裏をかくウイルスの恐ろしさにも驚いた。
「抗体」という言葉も、画像と共に学ぶと頭に入る。
最後に言われた「隠し球があるかも知れない」というタモリの言葉。
再放送は7月12日。観ておいた方がいいだろう。

番組内容
司会・進行 タモリ、山中伸弥 
ゲスト:石原さとみ、福岡堅樹(ラグビーを引退して医学を目指す)

新型コロナウイルス。奪った命50万以上。未知なる強敵。
鍵は免疫(ミクロの戦士)。その数2兆。
ウイルスによる免疫突破能力。ミクロの攻防。
何を信じていいか分からない(石原)
医者によって言うことが違う(タモリ)
コロナは専門外だが、勉強して発信している(山中)

感染 体の中で何が起きるのか
感染者の飛沫(直径1mm)に700万個のウイルス。
第一の関門は「気道」線毛により異物を外に排出。
だがウイルスはそれをすり抜ける。
肺に到達して感染。
人体が物質を取り込む時の識別→細胞表面の突起(鍵穴)

 


ウイルス表面のニセの鍵で結合→細胞にもぐり込む(狡猾な手口)
以降増殖して外に飛び出す→二次感染

それを防ぐのが免疫細胞。
感染を知ると、伝令の警報物質(インターフェロン)が血液に乗って知らせる。


食細胞(好中球)が現場に駆け付けて、ウイルスを丸飲みにして分解する。この間は無症状(免疫が活躍)

だがウイルスの内部遺伝子(ORF3B)が警報物質の生成を1/10に抑え込む。
その結果食細胞が働かず、2日でウイルスは一万倍に増殖。
重症者には警報物質が少ない、との検査結果がある。
最近、警報物質生成を抑える能力が強化されている事例が見つかった。
エクアドルの感染者に4月頃から発生。

二人の兄弟患者の症状に違い→重症の方は警報物質が1/20。
これが拡散すると、免疫が効かない。
狡猾な仕組み
無症状の裏でウイルスが増殖→他人にうつす危険
マスクをしていれば防げる→人を守る発想
見せかけの無症状でも、ウイルスが増えると肺炎が進行する。

第二の防衛隊
伝令が免疫細胞に取り付くと、敵の情報を受け取って「キラーT細胞」となりウイルス排除に向かう。


だがウイルス側でも対策→接続する手を出さない。このためウイルスが見つけられない。
更なる免疫 B細胞 抗体による攻撃(飛び道具)
Yの字をしており、ウイルスのニセのカギに取り付く。

感染・増殖出来なくさせる。それを食細胞が捕食→感染者は回復。

獲得免疫 第二の防御システム
ヒトの免疫細胞は40種以上(免疫ネットワーク)
どうやって生まれたか(こんな複雑な・・・)

人類進化とウイルス進化の歴史
40億年前。人類の祖先は単細胞生物。既にウイルスは存在しており、自由に出入り出来た。
20億年前。地球が全球凍結になった時、海底の酸素量は増え、多細胞生物が発生。
各細胞の役割り分担が決まった結果、自然免疫の獲得→食細胞とウイルスの戦いが始まった。
5.5億年前。カンブリア紀大爆発 。

人類の祖先は魚。一生の間に何度もウイルスに襲われる。
それが進化して獲得免疫を得た。その後は進化の競争。
何のために? 脳ないですよね(タモリ)

今はいわば進化の上の頂上決戦。今のところ人類が劣勢(山中)
1000万人感染して50万人が亡くなった。
このままだと負ける(今ハーフタイム)

亡くなった人の体内で何が起きたか?
150例の病理解剖を実施。不思議な症状。
「肺血栓塞栓症」 なぜ血栓が出来たか。
血の固まりに食細胞の粒がある。サイトカインストーム(免疫暴走)
免疫細胞の自爆攻撃。通常は血栓出来ない。


サイトカインストームが大量自爆を誘発する。
破壊されたDNAの網が血液成分を固める。未知のウイルス。
どうすれば自爆を防げるのか→分かっていない。
皆に起きる訳ではなく、10%ぐらいで起きる。
確認したほとんどの人に血栓があったが、それが原因で死んだのは3割。
血栓を防ぐ薬:ラクテムラ、ステロイド剤、フサン等

ウイルスの目的は、増えるのが唯一の目的。
相手を殺すかどうかは「どうでもいい」
人が死ねばウイルスも終わり。人が居ないと増えない。
持ちつ持たれつならそこまでやらないのに・・・

ヒトも感染されっ放しではない。
ウイルスが持っている遺伝子を人間が取り込む(受け継がれている)
ヒトDNAの8%がウイルスからもらったもの。
人の体にとって重要な役割。
その一例→受精。精子が卵子に入る時、特別なカギで入る。
卵とニワトリの関係。ウイルスが盗んだかも知れない。
胎盤に必要な遺伝子はウイルス由来。
脳内の長期記憶に関わる部分も。
健常な人にも多くのウイルスが存在(常在細菌:いいことしている)
生物の進化は「したたか」

スーパー免疫力
免疫を利用した治療
マイケル・ケビン。コロナで8週間昏睡状態(打つ手なし)
特別な治療で生還。ある人物からもらった特別な血液。
自ら感染して回復した人の「抗体」を使って撃退。
抗体生成の量は人によってばらつきがある(最大10倍以上)


仮説
伝令役から伝えられ、B細胞になる時に伝える手の形が、人によって違う(掴み易さ)


地域、民族によって異なる。
手の形を決めるもの→HLA
20万年前、アフリカを起点にして全世界に広がった人類。
コレラ、ペスト等新たな敵に出会うたびHLA遺伝子に反映される。
うまく適合出来る先祖が生き残った。


強い人の免疫の力を皆に分ける。
免疫細胞を培養して治療・予防薬を開発。今年中の実用化を目指す。

日本人が重症化し難い「ファクターX」について。
アジア人の遺伝的な特徴である可能性はある。

マスク使用が習慣になっている事も要因。
BCG接種も、他の菌に対する対策・訓練効果という可能性はある。
ファクターXはまだ分からない。

どうしたらいいか
運動のやりすぎは格段に免疫力が落ちる。
十分な睡眠、バランスの良い食べ物、適度な運動が大事。

コロナウイルスが注目され始めて、僅か数ケ月。手立てが見えつつある。その努力には目を瞠るものがある。競争ではなく「協力」が重要。
これから後半戦。このままでは終わらない。作戦見えて来た。

むこうにも隠し球があるかも知れない(タモリ)