狼よさらば     1974年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

監督 マイケル・ウィナー
脚本 ウェンデル・メイズ
原作 ブライアン・ガーフィールド

 

キャスト
ポール・カージー      チャールズ・ブロンソン
ジョアンナ・カージー    ホープ・ラング
フランク・オチョア警部   ヴィンセント・ガーディニア
ジャック・トビー        スティーヴン・キーツ   キャロルの夫
サム・クロイツェル     ウィリアム・レッドフィールド
キャロル・トビー       キャスリーン・トーラン   ポールの娘
エイムス・ジェインチル   スチュアート・マーゴリン  銃をくれた友人
ハンク               ジャック・ウォレス
ポリスコミッショナー    スティーヴン・エリオット 
常務               クリス・ガンペル
ブリッグス警部補      エドワード・グローバー 
チンピラの一人       ジェフ・ゴールドブラム

 

 

 

予告編


感想
チンピラに妻を殺されたサラリーマンが、その殺した男本人ではなく、世間の悪者どもを粛清して行く話。
要するに警察がホシを挙げられないため、代償行為としてそうなった訳だが、出張先で銃に接したのがきっかけで深みにはまる。
一人目の時は衝撃で嘔吐していたのに、次第に神経がマヒして手口も大胆になって行く。
無差別殺人として警察も問題にするが、犯罪が減って市民は支持。背景として具体的な警察内部の腐敗もあり、ヒーローを逮捕せずに追い払うという発想も出て来たのだろう。
この男を市民のヒーローとして見るか、連続殺人に酔う狂人と見るかで意味がガラっと変わるが、この監督の視点はそのどちらにも偏っておらず、なかなかうまい落しどころを押さえている。

町山智浩氏は、このポールは西部劇の世界にドップリ嵌り込んでしまったのだと解説している。

 

ここで最初に出て来たチンピラの一人が、あの「ザ・フライ」でハエ男をやったジェフ・ゴールドブラム。あれほど濃い顔はなかなか忘れない。

 


あらすじ
ハワイで熟年旅行を楽しんだポール・カージーとジョアンナの夫婦。ポールはニューヨークにある大手の建築会社で都市計画を担当する技術者。

ある日ジョアンナは娘のキャロルとスーパーで買い物をして、荷物を配送に依頼した。その宛先を盗み見る男。

 

男らは三人組で、母娘を尾行。部屋に押し込みキャロルを強姦。電話を掛けようとしたジョアンナは殴打される。


連絡を受けて駆け付けるポールと、キャロルの夫ジャック。

だがジョアンナは死亡。
警察に掛け合うも、犯人が捕まる可能性は低いとの事。

 

ポールは気分転換も兼ねて南部への出張を提案され、それを受ける。
アリゾナ州のツーソン。そこで知り合う顧客の不動産業者エイムズ。土地を提供し、そこに住宅街を建設する。立地を生かしてのびのびした環境を維持したいという要望。それに応えて設計を進めるポール。
親しくなったところでエイムズがポールをガンクラブに誘う。気乗りのしないポールだったが、試し撃ちで的の中央に当て、驚くエイムズ。

ポールは朝鮮戦争経験者だが、反戦主義者だという。

 

出張から帰る日、エイムズはポールに「お土産だ」と言って箱をトランクに入れた。

ポールが帰宅してその箱を開けるとリボルバー式の銃と弾。

 

娘のキャロルは精神を患い、病院生活。ジャックともぎくしゃくするポール。
警察に行っても、ありきたりの事件として扱われ、進展は見込めない。
そんな時に妻の旅行の時の写真が届く。

大切なのは自己防衛、開拓精神だと呟くポール。

 

そんな時、銃をポケットに入れて深夜外出するポール。そこで銃を持った強盗に遭遇し、相手を撃ち殺す。慌てて帰宅し嘔吐するポール。
翌日の夜、老人から金を取ろうとしていた三人組の若者を見つけたポールは、彼らを撃ち殺す。
数日後、地下鉄の先頭車両で座っているポール。襲って来た二人組の男を射殺して、電車の到着と同時に脱出。駅員の追跡をかわす。

 

連続殺人事件として警察も動き出す。厄介な事件。使用された銃は32口径。
動機は復讐。この2~3ケ月で家族を殺された者。戦争体験者・・・
常識では考えられない。動機が何であれ許せない。
だがこの自警行為に市民は「幻の狩人」と称して喝采。犯罪件数も落ちているため、地方検事は逮捕に消極的。

 

街に行き、店でこれ見よがしに財布の札束を見せ、それを見ていた三人組を誘い出す。だが二人殺したところで一人に逃げられ、自分も重傷を負う。
警察は、ポールの自宅をガサ入れするが、銃は会社にあり検挙は出来ない。だが血に汚れた布があり、ポールの犯行を確信する警部。

そしてポールに警告するオチョア警部。

 

最後の処刑を考えるポールは、警察の監視を撒いて会社へ行き銃を持って人通りの少ない道を歩く。

ポールの不在に気付き手配を始める警察。
ポールを狙う二人組に出会い、殺すがもう一人いた。撃ち合いになり、足に銃弾を受けるポール。迫るパトカーの音。
お互い向き合い、ポールが「狼よ、さらば」と言う。何の事か判らない相手。そして「構えろ」と言って倒れるポール。男は逃げて行った。

マスコミが騒ぐ中、ポールを発見した警官から事情を聴くオチョア警部。そして押収した銃を受け取ると「全て忘れろ」と言った。マスコミには「民間人が巻き込まれた」と公表。
病室でポールと対峙するオチョア警部。今までの事は目をつぶるから、この街から出て行けと宣言。

そして「我々も言いたい、狼よさらば、とな」

 

シカゴの駅に降り立つポール。若い女性が男たちに囲まれて嫌がらせを受けていた。男たちが去って女性を介抱しながら、男の方向に向けて指で銃の形を作り、ニヤリと笑うポール。