空飛ぶタイヤ   2018年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

監督 本木克英
脚本 林民夫
原作 池井戸潤「空飛ぶタイヤ」

 

キャスト

赤松運送
赤松徳郎    - 長瀬智也   社長
宮代直吉    - 笹野高史   専務
谷山耕次    - 六角精児   整備課長   
門田駿一    - 阿部顕嵐(Love-tune) 整備士
赤松史絵    - 深田恭子   赤松徳郎の妻
赤松拓郎       - 高村佳偉人    赤松徳郎の息子
高嶋靖志    - 大倉孝二   営業担当
安友研介    - 毎熊克哉   運転手
門田の恋人   - 池上紗理依

 

ホープ自動車
狩野威      - 岸部一徳   常務取締役
沢田悠太       - ディーン・フジオカ 販売部カスタマー戦略課課長
小牧重道    - ムロツヨシ  車両製造部 
杉本元      - 中村蒼    品質保証部
柏原博章    - 木下ほうか  品質保証部部長
室井秀夫    - 和田聰宏   品質保証部課長
益田順吉    - 木下隆行   販売ディーラー
野坂康樹    - 村杉蝉之介  販売部部長代理
長岡隆光    - 近藤公園   販売部カスタマー戦略課
北村信彦    - 矢野聖人   販売部カスタマー戦略課
浜崎紀之    - 斎藤歩    人事部
加藤宏芳    - 岡山天音   研究所所員
真鍋敏彰    - 矢島健一   商品開発部部長代理
岡田俊樹    - 中林大樹   商品開発部
三浦成夫    - 井上肇    財務部

 

ホープ銀行
頭取        - 津嘉山正種
井崎一亮    - 高橋一生    本店営業部
濱中譲二    - 津田寛治   本店営業部部長
巻田三郎    - 升毅        本店専務取締役
紀本孝道    - 小久保丈二  本店営業部次長
小茂田鎮    - 渡辺大      自由が丘支店課長代理

 

その他
高幡真治    - 寺脇康文   港北中央署刑事
多鹿路雄    - 高川裕也   港北中央署刑事
柚木雅史    - 浅利陽介   被害者の夫
柚木妙子    - 谷村美月   被害者
柚木貴史    -                    被害者の息子

榎本優子    - 小池栄子   週刊潮流記者
嶋本義裕    - 木本武宏   嶋本運送
野村征治    - 柄本明     野村陸運社長
相沢寛久    - 佐々木蔵之介 富山ロジスティック元整備課長
高森将仁    - 加藤満     高森運送
進藤治男    - 筒井巧     はるな銀行蒲田支店
平本克幸    - 田口浩正   相模精密加工課長

 

 

 

a 柄本明            佐々木蔵之介    和田聰宏 
 大倉孝二         津田寛治         升毅

 

b 木下ほうか       浅利陽介           六角精児 
 谷村美月        近藤公園           村杉蝉之介

 

c 渡辺大        矢野聖人     田口浩正     斎藤歩 
 加藤満       筒井巧      中林大樹     井上肇


d 岡山天音  矢島健一   津嘉山正種    毎熊克哉 
 小久保丈二 高川裕也   TKO木本,木下 池上紗理依

 

感想
池井戸潤お得意の、企業小説を原作にした映画。
原作は、三菱自動車が行っていた一連のリコール隠しにインスパイアされて、企業の闇を告発したものだが、小説は未読。

 

さて本編。父親の跡を継いだ二代目の運送会社社長、赤松徳郎。

自社のトレーラーが走行中に脱輪して主婦を即死させた。

物語は、事故を起こした赤松運送、トラック製造メーカのホープ自動車の両面から語られる。

 

ユーザからの苦情に舌打ちする沢田の姿は、大企業の営業の、偽らざる姿だろう。
だがちょっと小耳に挟んだ疑念から、自社が隠している情報を掴む。

沢田の曲者ぶりがこの映画のポイント。途中までは企業倫理に目覚めた「イイ奴」だと思っていたのが、社長に直訴した後の対応であ然。

人事部からちょっとコナかけられたら、あっさり赤松社長を慰謝料で抱き込む行動に出てしまう。
社長の徳郎は、専務からの突き上げで一度は迷うが、後に毅然として断る。

 

一度は盛り上がりかけた週刊誌ネタも、記事がボツになり進展のないまま沢田はちゃっかり転籍。
だが移動先での厳しい扱いに意気消沈。

考えてみれば、そんなのは当たり前。
結局沢田は最後に目覚めて、証拠となるPCを当局に提出するが、あくまでも匿名前提。

この辺りがいかにも大企業のサラリーマンの限界を感じさせた。

 

最初徳郎が回ったユーザ「野村陸運」での事故はハブだったが、それ以後記者の優子から得たリストで回ったのは、みな「クラッチハウジング」周辺が絡むトラブル。

だが話の展開で、ハブも含めてクラッチハウジングを原因とする事故の様に括られた様で、ちょっと違和感があった。

 

ハブの不良は単独なので、クラッチハウジングを入れるのなら、途中から内容を一連の「リコール隠し」という方向性にシフトする持って行き方が大事。こうやってあらすじの書き起こしをやったから納得出来るが、映画だと前述の誤解を招き易い。

 

原作を読んだ人は判っていたかも知れないが、この事件の後、ホープ自動車がライバル会社のセントレア自動車に吸収合併された話が、週刊誌の見開きページ一瞬だけだったので、映画の情報だけでは把握しづらい。
社会からのバッシングで会社として立ちいかなくなったという事や、常務取締役が犯罪者として裁かれたというのも事実としてあるので、もう少し丁寧に描くべき。この辺は駆け足過ぎる。


映画の中でちょっと違和感があったのが、刑事の高幡。寺脇康文という時点で「”相棒”の亀山」そのまんま。もうちょっと知的な「杉下右京」系にするべきだったのでは?とも思う。

最後のセリフ「名門の名を汚すのはリコールではなく不正」という言葉は、あのキャラでは辛い。

 

ちょっとツッコミ
四十九日の、子供の書いたメッセージ。いかにも大人が考えた文で、相当シラけた。

原作の引用だろうが、作家ならもう少ししっかりして欲しい・・・・

 

それから、私もそこそこの企業の技術部に居たが、PC差し替えの管理はもっとまとも。故障でも何でも、もらうためには必ず旧品は差し出さなくてはならない。この辺りは企業の実情をもっと調べる必要あり。

 

「心打たれる」という所までは行かないが「働く男たち」の人生ドラマとして、そこそこ楽しめるものだった。

 

 

以下は実際の三菱自動車が行った不正に対する記述のあれこれ。元々三菱マークは信頼の証し、の筈。三菱系の他企業は「三菱の面汚し」と思っている事だろう。

 

三菱リコール隠し ウィキペディア
トレーラーのハブ破損 (失敗事例)
センスメーキングする組織 —三菱ふそうハブ欠陥事件から何を学ぶか—(PDF)
ハブ破損に関する上告棄却の判決文
◇ 判例研究◇

刑事判例研究10 三菱自工車両車輪脱落事件最高裁決定
判例研究にある「ハブは破損することが基本的に想定されていない重要保安部品・・・」という言葉が重い。

 

これらをざっと斜め読みしてみると、三菱自工のダメ振り、闇の深さが本当に実感されるが、これはどんな企業にも起こり得る「落とし穴」でもある。経営に近い者は、他山の石として強く認識すべきだろう。

 


あらすじ
赤松運送。専務の宮代が、社長の赤松徳郎にリストラの相談を持ち掛ける。対象は整備士の門田。金髪ピアスで外見が芳しくない。

だが切る事は出来ない、と徳郎。従業員80名とその家族を守る・・・思えばまだあの頃は普通の日々だった・・・

 

赤松運送のトラック。走行中に左前輪のタイヤが突然外れ、主婦を直撃し、即死。子供は軽症。
昼休み。門田とキャッチボールをしている徳郎に宮代が電話の知らせ。警察に出向く徳郎。

運転手の話ではゆるいカーブでブレーキを掛けた時ガクッと・・・・
気付いたらあの人が倒れていた。

時速は40キロ程度。整備を行ったのは門田。

 

通夜の場に顔を出す徳郎、宮代らだが追い返される。
運輸局の監査が入れば明日にでも営業停止。
「お前のいいかげんな整備のせい。クビだ!」と言われてそこから走り去る門田。

 

翌日運輸局の特別監査が入る。門田のロッカーから整備記録が出て来る。法定より格別に厳しいチェックを行っていた(自作のチェックリスト)。やる事はやっていた。
門田の住まいまで行って頭を下げる徳郎。

同居の女性の腹には子供。結婚するという。

 

警察での事情聴取。刑事の高幡。運輸局のチェックも通った、じゃあ何でタイヤが飛ぶんだよ?
このヤマ注目度高いよ。事故原因の調査はホープ自動車が行っている。話はそれから。

 

トラックの販売ディーラーに問い合わせる徳郎。販売カスタマー戦略課長の沢田は、ディーラーからの電話を不在と言って黙殺。
赤松運送の重要顧客「相模精密」からの発注打ち切り通告。新聞沙汰を嫌った。
繋ぎ資金の融資を受けるため、メイン・バンクのホープ銀行を訪れた徳郎。三千万の要望に対し断る担当。問題はコンプライアンス(犯罪に加担した企業に協力していると思われる)。

 

被害者宅を訪れる徳郎だが門前払い。
帰宅した所へ息子の拓郎。「パパは人殺しじゃないよね?」。

妻の史絵が励ます。

赤松運送に警察の捜索が入った。令状を持つ高幡刑事。ホープ自動車から出た分析結果の見解では、事故原因は整備不良。

 

ホープ自動車。赤松からの強硬な再調査依頼に閉口する沢田。埒があかないのでホープ自動車の担当をディーラーから聞き出す徳郎。
宮代が、ウチと同じ様な事故が他でも起きていると知らせて来る。場所は群馬。この時の結論も運送会社の整備不良。ホープ自動車の調査結果。
ウチが家宅捜索されてから1週間経つのに社長が逮捕されていない。証拠が揃わないから・・・

 

事故のあった会社「野村陸運」へ話を聞きに行く徳郎。

対応してくれた社長の野村が現場へ案内する。
調査結果は、ハブの摩耗に気付かず交換しなかったのが原因とされた。
疑念を抱きつつも、生き残るのに精いっぱい、と諦めた野村。だが同じ会社の同じトレーラーが同種の事故をを起こした。

構造上の欠陥? ホープは三年前にも問題を起こした。

ホープ自動車の本社を訪れる徳郎だが、沢田不在を理由に代理で北村が対応。沢田本人でないとダメだと帰る徳郎。

 

品質保証課長の室井が、沢田のところへ赤松運送の件を聞いて来る。不審を感じる沢田。

門田は、独自のチェックリストでハブの摩耗も点検していた。

逮捕されないのはそれが理由、と皆が褒める。
徳郎は独自調査を決心するが、問題のハブがホープから返却されていない。
それを手に入れるという徳郎に「相手は財閥グループ」と尻込みする宮代。
「それがどうした。まず沢田を引きずりだす」と徳郎。

 

沢田は品証部の同期、小牧とその部下の杉本に話を聞く。品証部が仕切っているT会議というものがある(タイヤのT?)。
会議中のところへ乗り込んで、室井からT会議の事を聞く沢田。
三年前に品証部がやった不正。S1級のクレームをS3としていた「リコール隠し」。
「お前らは車だけ売ってりゃいい」と室井。
部長代理からこの件について「忘れろ」と言われる沢田。

部長指示でもある。

 

徳郎の電話に初めて出る沢田。ハブ返却の要求。部品が返せない事の言い訳をするが「部品を返せないのは他に理由があるからじゃないのか。中小企業なめんな」と徳郎。

 

赤松運送の事を小牧に話す沢田。誰かが言わなければならないが、小牧は尻込み(子供が居る)。
その夜、上司のPCから侵入してT会議の情報を引き出す小牧と沢田。常務の狩野の出席も確認。

 

ホープ銀行での会議。狩野も出席しての融資の依頼(200億)。

横浜の事故を心配する専務の巻田に「心配ない」と狩野。
担当の井崎は、前回の融資からの経営状況の悪さから、今回資料を信用していない。このままでは稟議を出せない。

 

喫茶店で井崎と話す週刊「潮流」の記者榎本優子。井崎とは学生時代にに多少関係があった。ホープ社からの内部告発の情報を持っている。三年前にあったホープのリコール隠し事件。その後ホープの業績は低迷。内部は一新されたの?と訊ねる優子。
これが公表されればホープはかつてない窮地に陥る(何しろ人が死んでる)。

 

はるな銀行の進藤につなぎ融資を申し出る徳郎。進藤は、銀行の仕組みを説明し、全ての状況を見て判断する、と一応要望を受け取った。

 

再度ホープ銀行を訪れる狩野。だが井崎は巻田も前にした打ち合わせで、今回提出の計画は鵜呑みに出来ないと反論。

狩野は立腹して巻田に苦情。
部長の濱中が訊いて来る。あいつらプライドだけは高い。

稟議は納得するまでやれ、と井崎に指示。

 

徳郎に接触する優子。三年前のリコール隠しと同じ事が起きていると確信している・・・・
期待を持つ徳郎。

 

沢田、小牧、杉本のミーティング。杉本の集めた三年前の情報。リコールの処理で狩野は常務取締役に昇進。だからこそ今回の事を認められない。

本件につき、社長への訴状提出を上司に申し出る沢田。いざという時、この書類があればカスタマー戦略課の責任が回避出来る。お前らしいな、と上司。花畑部長に相談。

 

社長から内々に狩野へ届いた訴状。花畑部長から入手(花畑は武器なしの永世中立国・・・)
情報が洩れている事を追及する狩野。室井の補佐をしている杉本・・・居たなぁ。
雑誌社への電話の発信記録が三件見つかったが、まだ状況証拠。
「本人確認はするな」と狩野。内部告発者を解雇出来たのは過去の話。沢田についても刺激するなとの指示。
沢田が外部へのリークをしないのは、まだホープでの出世の見込みを考えているから。こういう者なりの対処法がある・・・

 

沢田に人事部の浜崎からコンタクト。宴席に呼ばれる。君にとってベストな職場とは?と聞かれ「商品開発」。自動車メーカに入社した者の理想。
もし君がそれを望むなら条件がある。問題を全て後任に任せること。
翌日、花森部長に、赤松運送の件を終わらせると宣言する沢田。

 

徳郎に申し出をする沢田。ハブの返却には時間がかかる。その代わりとして補償金を出したい。宮代が金額を聞くと「一億円」。一旦その話を持ち帰る徳郎。
被害者の四十九日に再び出掛ける徳郎だが、例によって追い返される。だがその時、被害者の息子が追って来て、参列者へのお礼の文を渡した。子供の描いた母親の絵とメッセージ。
・・・もし神様に一つだけお願いするとしたら、もう一度ママとお話ししてみたいです。

 

補償金の件を断る徳郎。ではいくらなら?・・・と言う沢田に対し、金の問題ではない、と子供の描いたメッセージを渡す。
宮代の言葉。今あの金を受け取らないと会社は潰れる。

 

週刊「潮流」の発売日が迫る。

変節した沢田を「見損なった」と軽蔑する小牧。
結局週刊誌に事故の記事は掲載されなかった。優子に連絡を入れる徳郎。延期ではなくボツ。上の判断。
スポンサーから莫大な金が流れている。市場原理だ、と小牧。

ホープ銀行から、現在融資している金の全額返金を要求される徳郎。預金と融資との相殺。万事休す。
そこに遺族、柚木雅史からの訴状が届く。
家への帰り道で事故を起こしそうになる徳郎。
子供へのイジメを史絵から聞く徳郎。まだ全て終わったわけじゃないでしょ、と史絵。

沢田が商品開発部への転属となった(栄転)。

 

せめて記事のゲラを見せて欲しいという徳郎に、それは見せられない、と優子。だが今まで調査したトラック事故を起こした会社のリストを渡す。敵は巨大。ホープ自動車と戦っているのはあなただけ。

 

沢田、小牧、杉本の密会。

沢田は実名だったから栄転で、杉本は匿名だったから大阪へ左遷。
週刊誌に告発したのは杉本。
主席で部下に話す狩野。・・・・改善すると思わせる。思わせるだけ。世の中そんなに甘くない。

 

商品開発部でアンケートのまとめをやらされる沢田。期限は明日まで。
分析結果を持って上司の居る会議室へ行くと、既にまとめ資料が並んでいる。同じデータの分析を外部の業者に委託していた。

 

リストに基いて全国各地を回る徳郎。だがどこを回っても、諦めた、やっても無駄、そんなヒマはないと相手にされない。
高森運送を訪ねた時「あの会社が入っていない」と言われ、このリストが事故として報道されたものだけのものであると気付く徳郎。
「富山ロジスティック」という会社が調べていたとの話。構造欠陥を疑っていた。

富山ロジスティックを訪ねる徳郎。対応した相沢。事故はプロペラシャフトの脱落。
徳郎は車検証のコピーを見て「これなら反論出来たのに・・・・」
だが社長は若い頃あの会社で修行をしており、告発する気がない。相沢の今の肩書は総務課長。事故当時は整備課長。20年以上整備でやって来た者にとって屈辱。
徳郎の事故はハブの破損。富山はプロペラシャフト、高森は変速装置。同じ要因で事故か起きている。それはクラッチハウジング。クラッチハウジングの破損によって多くの事故が誘発されている。完全なる構造上の欠陥。
だが相沢は自分で動けないという。社内調査の結果とホープの報告書を徳郎に託す。

 

警察へ高幡を訪ねる徳郎。醒めた対応の高幡に、富山ロジスティックの社内、ホープ側双方の調査報告書を見せる。隠蔽工作の証拠。そこに何が書かれているか良く考えて下さい。

 

次いでホープ自動車を訪ねる徳郎。沢田は既に転属しており、新任の長岡が対応。沢田のようには行かない、と威圧。
富山の事故について説明を始める徳郎。ホープの報告書ではプロペラシャフトの事故はまれ、多発の恐れはないと報告しているが、例の会社のリストを見せ「他の事故でもプロペラシャフトは脱落している」。
報告書は虚偽そのもの。
長岡は「原因は整備不良だ」と言い張り、整備していたかちゃんと調べたのか?と反論。調べてはいない、と言う徳郎に喜ぶ。
「その必要がなかった」。車は新車(車検証のコピー)。
購入後1ケ月。走行距離320km。それでも整備不良が原因と言うのか?
この虚偽報告の目的は一つ。国交省からリコール隠しを指摘されないため。この報告書によってホープは何百億のコストを下げた。人の命を犠牲にして!

 

ホープ自動車内。長岡始めその上司を責める狩野。無自覚に徳郎を突っぱねた事を叱る。

どうしてどこから洩れたか等の情報を引き出さなかった。
沢田の方がよほど優秀だった。赤松運送は今後一切無視しろ。

 

沢田の出した企画書が落選した。多少は善戦したんだろう?と訊く沢田に、どんないい企画でもダメ、政治的判断だと、シンパ社員が言う。

 

警察内の高幡他メンバー。被疑者から出された資料を信じるのか?と言う言葉に「国交省には確認取った、本物」と高幡。
問題は俺たちのヤマについてどうかという事。ホープ自動車の言う整備不良を信用していた。
ホープをホシに診立てるという事だぞ、赤松の家宅捜索までしておいて。プライドないのか?

 

沢田、小牧、杉本の密会。沢田にPCを預ける杉本。3ケ月前に処分した事になっている。実はソフト不良だったため回復した。渡す相手は沢田しか思いつかなかった。

事故現場で会う徳郎と沢田。富山の情報だけでは、ホープは握り潰すでしょう、と徳郎。それでも信じているんだ。この状況の中で精一杯やった事が誰かに届いて奇跡が起きるという事を。
どうしてそこまで、と沢田。すごい天気のいい日に突然命が奪われた。せめてそれだけは覚えておこう・・・

 

稟議拒否を続ける井崎。上司がしびれを切らしているが、スマホを見ながら「ああ、やっとか。待ってたんですわ」
赤松運送でも騒ぎ。宮代が慌ててTVを点ける。道路運送車両法違反でホープ自動車に家宅捜索、のニュース。

 

取調室の狩野。報告書はミス。訂正する予定だった。あなた達も赤松に家宅捜索に入ったでしょ、あれもミス。
「俺はプライドは捨てた」と高幡。T会議の話を始めて、ノートPCを見せる。
構造的欠陥の認知、隠蔽の証拠が揃っている。欠陥を隠蔽し、ヤミ改修を指示していた。役員間では周知の事実。
前回リコール騒ぎで社長が変わった時から、申し送り事項として極秘裏に処理されて来た事。

「それはどういうPCなのかな?」と居直る狩野。

出所の判らないPC内の資料、と言う狩野に、PC裏のホープ自動車の備品銘板を見せる高幡。
ホープ自動車と言えば名門。その名を汚すのはリコールではなく不正なんだ!それが判らないか。
俺は被害者の遺体を見た。アンタが殺したんだ!

 

その後の報道。ホープ自動車はライバル会社のセントレア自動車に吸収合併された。
優子と井崎の話。ホープ銀行は元から支援する気なかった。「俺にそんな事まで判るかよ」
ホープ銀行はホープ自動車の財布じゃない。G企業でも隠蔽を続ける会社だけは支えたくない、そう思った人がホープ銀行の中に居た・・・・・ 「さあーーーな」

 

ホープ銀行の会議室。徳郎と同席するはるな銀行の進藤。はるな銀行が肩代わりしてくれるので、赤松の借金は一括返済。あなたは銀行の信用を落とした、と進藤。
「わが社にもコンプライアンスがある」と徳郎。

 

被害者の柚木を訪ねる徳郎。訴訟は取り下げる、と柚木が土下座して謝るのを止める徳郎。
柚木の「ホープ自動車は何をして来たのですか?」の問いに、長くなると前置きして話を始める徳郎。

 

一年後。
事故現場に花を手向ける徳郎、そこに同じく花を持った沢田。
一つだけ判らない事がある、と徳郎。国交省の文書だけではリコール隠しまで暴かれなかった。

ホープ自動車の誰かが内部告発したんじゃないか?
「私にはさっぱり」とトボける沢田。
「どこまで行っても組織の人間だな」「私にはそれしか生きる道がない」
「正直アンタの顔は二度と見たくない」「俺もだ」
「今日もいい天気だ」との徳郎の言葉で別れて行く二人。