15時17分、パリ行き  2018年 アメリカ | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

監督 クリント・イーストウッド
脚本 ドロシー・ブライスカル
音楽 クリスチャン・ジェイコブ
     トーマス・ニューマン


キャスト
スペンサー・ストーン       - 本人
アンソニー・サドラー       - 本人
アレク・スカラトス          - 本人
ジョイス・エスケル         - ジュディ・グリア: スペンサーの母
ハイディ・スカラトス        - ジェナ・フィッシャー: アレクの母
アヨブ・エルカザニ         - レイ・コラサーニ: 銃乱射事件の犯人
マーク・ムーガリアン       - 本人: 列車の乗客
イザベラ・R・ムーガリアン   - 本人: 列車の乗客。マークの妻
クリス・ノーマン          - 本人: 列車の乗客

 

 

予告編

 

あらすじ
導入部(Movie Walkerより抜粋)
2015年8月21日。

アムステルダムからパリに向けて高速列車タリスが発車。
列車は順調に走行を続け、やがてフランス国内へ。
ところが、そこで事件が発生する。
乗客に紛れ込んでいたイスラム過激派の男が、自動小銃を発砲したのだ。突然の事態に怯え、混乱をきたす500名以上の乗客たち。
その時、犯人に立ち向かったのは、ヨーロッパ旅行中のアメリカ人の若者3人組だった。
なぜ彼らは、死の恐怖に直面しながらも、困難な事態に立ち向かうことができたのか……?


キーマン三人の少年時代から始まる。
学校のロッカーで話をするスペンサーとアレク。スペンサーは生徒会長に立候補したが落選。廊下でウロウロしている所を教師に見つかり校長室に行かされる。
そこで校長室から出て来る黒人の少年とすれ違う二人。

あいつとは付き合うな、と校長。
二人の母親同士も親しく、学校に呼び出された母親たち。アレクの母親に女教師が、アレクを多動性障害だから、と言って薬の服用を勧める。憤慨して帰る母親。スペンサーの母親も別の日に、シングルマザーである事について苦言されていた。

 

黒人の少年はアンソニー。
体育の授業で、教師がバスケのチーム分けをアルファベットで行い、この三人が同じグループとなる。
次第に気の合う仲間となる三人は、サバイバルゲームにハマる戦争ヲタクのスペンサーに引っ張られて一緒に遊ぶ。


話の判る教師から第二次大戦の資料をもらって興奮。

だが、アンソニーは別の学校へ転校。

アレクもオレゴン州へと引っ越した。
落胆するスペンサーを母親が励ます。
その後も連絡を取り合い、三人の友情は続く。

 

青年になった三人。
アレクはオレゴン州兵として軍人になり、アンソニーは大学生。

スペンサーは、軍施設前のスムージー店でバイトをしているうちに空軍に憧れる様になり、パラレスキュー隊を目指す。

 

元々肥満傾向だったスペンサーは、ダイエットとトレーニングで、兵役に対して合格となるが、奥行視覚のテストが通らず、パラレスキューには入隊出来ない。気落ちするスペンサーを母親が励ます。
スペンサーが配属されたのはサバイバル関係の部署。だが寝坊で訓練に遅れ、裁縫の腕も劣るため、落第となる。
最終的に、後方支援関係の部署に落ち着く。

ダミー人形を使っての救命訓練。
そこでの柔術の訓練で、自分の特性を見出して行くスペンサー。

 

夏休暇をどうするかについて、アレクにパソコンのスカイプで話すスペンサー。退屈な毎日を過ごすアレクは、ドイツに居るガールフレンドを訪ねた後で合流する事にした。
次いでアンソニーに連絡するが、彼は金がないとボヤく。

 

結局イタリアまで来たアンソニーは、スペンサーと落ち合う。

ローマのバチカンで観光し、その後ベネツィアに下って、船で知り合った女性と三人で食事をする。
その晩立ち寄ったバーで、カウンターの隣に座った老人からアムステルダムの素晴らしさを吹き込まれ、予定を変更。

 

ベルリンで合流したアレクと共に、アムステルダムのクラブ(STAAT?)で夜通し酒を飲んで踊る。

翌朝は二日酔いで、昼近くに起き出す三人。

レストランで出されたビールに「下げてくれ~」
人から聞いた話でも、パリ行きはあまり推奨されなかったが、結局パリ行きのタリス号に乗る事を決める三人。


オープニングの、武装した男の場面に戻る。
銃声と共に男性が倒れる。男がドアを開けて、落ちているマシンガンを拾おうとする。三人の中で一番近い所に居たのがスペンサー。

「行け!」というアレクの言葉で、シートから跳ね起きて通路を走り出すスペンサー。銃を構えた男が引鉄を引くが、弾が出ない。

 

体当たりしたスペンサーは、男を羽交い絞めにしてシートに倒れ込む。
アレクが銃を取り上げて確認すると、薬莢が詰まっていた。メカトラブルが幸いした。持っていた袋には多量の弾倉と銃弾。
男はナイフを取り出して後ろを突いた。傷を負うスペンサー。

アンソニーも加勢に来て、男が取り押さえられる。

男に撃たれた男性、マークは首元から多量の出血。スペンサーが血の吹き出ている所に指を当てて必死に止血。

意識を失わないよう、常に声をかける。

 

次の駅で列車は停止。警察と医療関係者が乗り込み、容疑者の確保と負傷者の処置。手当てを受け、ホームのベンチに座るスペンサー。

後日、フランス大統領からレジオン・ドヌール勲章を授与される三人。


感想
公開日から出遅れて、月末の入れ替えを前に「何観ようか」と悩んだ末にコレを選定。先日「グラン・トリノ」を観たせいか。

事件発生当時は、実はあまり強く認識していなかった。テロはしょっちゅうあるし、学校での銃乱射で十人以上の死者が出る事件もザラにある(アメリカでの話)。

 

そういう意味では、今回一歩間違えばとんでもない事になっていた、という再認識を迫る上で、いい映画を作ったと言える。

 

事件発生から一人撃たれるところまで、事実をなぞるように展開され、その後キーマンたちの少年時代に飛ぶ。
三人とも、言ってみれば「落ちこぼれ」の部類に入る。

しょっちゅう校長室に呼び出され、遊びはサバゲー。
離ればなれになっても友情が繋がっていたのは、お互いが満たされない環境にあったから。この辺りの気持ちは良く判る。

中でもそれを必死で繋ぎ止めていたのがスペンサー。

 

兵士になったアレク、大学生のアンソニー、と二人がそこそこのポジションを得ていたのに対し、スペンサーはスムージーの店でバイト。空軍に入る事を目指して精進するも、結局思い通りには進めていない。
だが、それにもめげずに、与えられた環境で身に付けたスキルが、ここ一番の危機で実を結んだ。
問題ありそうだと思っていたスペンサーが一番活躍したという事が、心に迫る。

 

映画化にあたって、本人を使うというすごい事をやった、監督のクリント・イーストウッド。元々は俳優を使う予定だったらしいが、本人を使った事が、この映画の価値を高めている。
「ハドソン川の奇跡」でもエンディングで、あの事故の当事者たちが実際に集まった様子に、一番感動したし。
ただし、いつの場合にも通用するとは思わない。今回は三人の持つ素の姿に感じるものがあったから、監督も、そう決めたのだろう。

 

音楽が控えめで良かった。特にエンディングは、最初ピアノソロ、次いでベース、そしてドラムが入り、静かなストリングスが最後に加わる。

音楽担当のクリスチャン・ジェイコブ(ピアノ)は「ハドソン川の奇跡」でも起用されており、イーストウッドのお気に入り。

 

エンドロールでざわざわと出て行く連中が居たのが減点・・・・何とかならんか。

 

テーマ曲

 

Christian Jacob - I'm Old Fashioned