猿の惑星: 聖戦記(グレート・ウォー) 2017年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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監督 マット・リーヴス

 

キャスト

 

(エイプ)

シーザー       - アンディ・サーキス(小原雅人)
バッド・エイプ    - スティーヴ・ザーン(柳沢慎吾)
モーリス - カリン・コノヴァル(斉藤次郎)オランウータン(側近)
ロケット         - テリー・ノタリー
レッド・ドンキー    - タイ・オルソン(白熊寛嗣)
ルカ            - マイケル・アダムスウェイト
コバ            - トビー・ケベル(三宅健太) 
コーネリア       - ジュディ・グリア シーザーの妻
レイク        - サラ・カニング ブルーアイズの恋人
ブルーアイズ - マックス・ロイド=ジョーンズ シーザーの息子
コーネリウス    - デヴィン・ダルトン シーザーの息子
ウィンター  - アレクス・ポーノヴィッチ アルビノのゴリラ

 

人間
マカロック大佐   - ウディ・ハレルソン(大川透)
ノヴァ       - アミア・ミラー
プリーチャー    - ガブリエル・チャバリア(阪口周平)

 

 

 

感想
洋画の場合、字幕版を選ぶ事が多いが、今回は箱が大きい吹替え版を選択。
人類対猿の最終決戦、てな感じで予告編が表現されていたが、人類側の先鋭化した軍隊が、シーザーをターゲットとして集中的に狙う場面から始まる。
口のきけない少女、同じく喋れない瀕死の兵士、と重ねる事で、人類側に何かが起きているという表現が上手く行われている。

 

今回のシーザーは、優れたリーダーというより、怒りに任せた復讐者というところか。ただ、軍の基地でのカリスマ性を感じさせるエピソードもあり、それなりの見せ場があった。
バッドエイプ役の吹替えをやった柳沢慎吾。

そのまんまのキャラだったら嫌味だが、セリフ棒読み的な要素もあって、それが適度に薄められ、程良い感じにまとまった。

 

オリジナルの「猿の惑星」に対するオマージュも随所に見られた。まず猿たちを磔にする木がX状に組まれていたり、少女の名前のノヴァは、テイラーが助けた人間の女性の名前。

妻のコーネリアと、息子のコーネリウスの名前、とか。
内容的にもオリジナルでヒトが知能退行し、口がきけない事の説明にもなっていて、前日譚を意識している。

 

とにかく人物CGは以前「デス・ノート」のリュークを見てまず驚いたものだが、このシリーズではそれをはるかに上回る実物感で、ジュラシックパークとも違う表現力に脱帽。今回は心情を現す表現の自然さに、CGである事を半ば忘れていた。
ただ、大佐がシーザーに言った「目は本当に人と一緒だな」はネタバレもいいところで、これだけはCGではなく役者本人の目。

 

このシリーズも一段落、こういったCGを使ったテクスチャー表現が活かせる映画に、今後も期待したい。

 

 

 

あらすじ
前作から2年後の世界。国定公園で猿たちを襲う人間の軍隊(アルファ・オメガ)。人間に協力するゴリラの存在。
大きな被害を受けた猿たち。数名の捕虜と協力者のゴリラ:レッドがシーザーの前に引き出される。

レッドは元々コバの信奉者(コバは前作で粛清された)
シーザーは、平和的解決を望む印に、捕虜を無傷で返す。

また捕獲していたレッドは脱走。

 

そこへ新天地探しから戻って来た息子のブルーアイズとロケット。砂漠の向こうにいい土地があると報告。早い移動を進言するウィンターに対し、多くの仲間を抱えるシーザーは躊躇する。
その晩、軍隊の少数部隊が猿たちの集落を襲う。

シーザーは無事だったが、妻とブルーアイズが殺された。

ロープで脱出する大佐に掴みかかるが、逃げられる。

 

仲間が皆新天地に向かう中、復讐と、仲間の安全な移動のため、軍隊の襲撃を考えるシーザー。

モーリス、ルカ、ロケットが同行。
途中で人の気配がする民家を見つける。そこで男と対峙。

男が銃を出したためシーザーが射殺。その家には少女が居た。

モーリスが会話しようとするが喋れない。置いていけと言うシーザーを気遣いながらも、その少女を馬に乗せるモーリス。
なおも先に進み、軍隊のベースキャンプを見つける。

そこで雑用をしていたウィンター。レッドに利用されていた。

 

ウィンターの得た情報では、軍隊は国境を目指しているという。

翌朝軍隊が出発した後の現場に行くと、銃で撃たれた兵士が数名。まだ息のある者に、モーリスが事情を聞こうとしたが、少女同様喋れない。瀕死の男はとどめを撃ってくれと手振りで頼む。

 

鉄塔に昇って軍隊の行先を調べている時に、馬が一頭奪われた。急いで追いかけると、乗り捨てられた馬の先に大きな家。
出て来たのは小柄なチンパンジー。言葉が喋れたが、それを仕込まれたのは動物園。仲間は皆死んだという。

その時に付けられた「バッドエイプ」を名乗っていた。
バッドエイプの話から、軍隊の大きな基地がある事を知る。最初は怖くて案内を拒んだバッドエイプだが、結局案内する事に。

 

基地を前にして偵察を行っている時にシーザーが襲われ、それを助けるためにルカが死ぬ。

涙を流しながら、ルカからもらった花を手向ける少女。

 

 

復讐に捉われている姿に意見をしたモーリスに激怒して、単身基地に乗り込むシーザー。途中で磔にされている猿から、新天地に向かった仲間が軍に捕まっている事を知るが、突然現れたレッドに襲われ、捕まってしまう。

 

シーザーが目を覚ましたのは基地の中。大佐とレッド、そして最初襲われた時に釈放した兵士プリーチャーが居る。

妻と息子の命を奪った大佐は謝罪する。大佐の案内した先の檻。猿は大人と子供別々に入れられ、自分の息子、コーネリウス、ブルーアイズの恋人レイクも居た。
猿たちは、大佐の進める巨大な壁の建設のため、強制労働させられていた。過酷な労働のため、猿が施設の一部を壊し、レッドがその猿を折檻する。「やめろ」と声を上げるシーザー。

折檻はシーザーに移ったが、それにじっと耐える姿に感化されて、働いていた猿たちが作業を止める。
大佐がシーザーの頭に銃を突き付けると、レイクはシーザーを助けるため、皆に呼び掛けて作業を再開。

 

磔にされ、その晩大佐のもとに連れられたシーザー。

来る途中で殺された兵士の事を思い出して「自分の兵士も殺すのか」と聞いた。
猿インフルエンザの二次症状として言葉を失うという事があり、大佐はこれを退行と考え、感染予防のために兵士であっても殺して消毒する事を徹底して来た。それは自分の息子にも行った。
あの少女もそうして発症したが、兵士がその少女を助けて脱走していた。
大佐のそうした先鋭的な行動が、軍の中でも否定されており、他の軍隊からも狙われている大佐。

壁はそれに対抗するために作られているもの。

 

大佐は猿たちの統率を要請するが断られ、再びシーザーを磔にする。一方モーリスたちは基地の下に地下道を見つける。
弱り切ったシーザーは個室の檻に入れられて倒れている。

そんな姿を見て、少女が水と食料を届けに行く。向かいの檻でそれを見て、手振りで「がんばれ」と励ます仲間たち。
だがそこに兵士たちが戻って来て、少女を逃がすため、ロケットが囮となって捕まる。

檻に入れられたロケットが脱出の計画を皆に伝える。

 

朝になって、シーザーは望遠鏡で観察しているモーリスたちに、檻までの距離(何歩か)を伝える。モーリスらは地下道から檻の直下に繋がる部分に穴を開ける。

少女が手話でモーリスに「私はエイプ?」と聞くとモーリスは、彼女がバッドエイプからもらった飾り物に書いてある言葉を読んで「君はノヴァだ」と伝え、その勇気を称えた。

 

脱出が始められ、シーザーは息子のコーネリウスを抱きしめる。
脱出が軌道に乗り始めた頃、反対勢力の軍からミサイル攻撃が始まった。
シーザーは大佐の居る部屋に向かう。だが部屋は静か。

大佐を見つけた時、彼はほとんど動けなかった。

シーザーが近くにあった銃を手に取り、大佐に向けるが、彼は言葉も話せない。感染したようだ。
苦悩の末、銃をテーブルに置くシーザー。

大佐はやっと動く手でその銃をつかみ、自らにの頭に向けた。

 

猿たちの脱走を大佐の軍の者が見つけ、襲撃を開始する。レッドもその仲間。それを見て、巨大なガソリンタンクを爆発させるため、手榴弾を投げようとしたシーザーだが、プリーチャーにボウガンで撃たれてしまう。
絶体絶命の中、レッドがプリーチャーを射殺。レッドはそばの兵士に殺される。ガソリンタンクを爆破したシーザー。

 

 

爆破が基地全体に及び、軍は壊滅した。その後到着する敵対軍。一人残されたシーザーは、一斉に銃口を向けられるが、そこに大雪崩が襲いかかる。兵士が全て飲み込まれたが、猿たちは木に登って大部分が助かった。

新天地に向かう猿たちの長い行列。

目的地を間近にしての小休止。モーリスと話すシーザーだが、ボウガンに撃たれたのが深手だった。静かに目を閉じるシーザー。