パッセンジャー  2017年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

「備忘録」なので、ネタバレすいません・・・・・

 

監督   モルテン・ティルドゥム

 

キャスト
オーロラ・レーン     ジェニファー・ローレンス
ジム・プレストン     クリス・プラット
アーサー         マイケル・シーン
ガス・マンキューゾ   ローレンス・フィッシュバーン
ノリス船長        アンディ・ガルシア


予告編

 

 

航行中の巨大宇宙船。小隕石をバリヤーで破壊しながら進むが、巨大隕石に遭遇して船体に被弾する。

多数の人が人工冬眠ポッドに入っている中で、一人だけ目覚める男、ジム・プレストン。目覚めをサポートする女性のホログラム映像。
船内を巡るが、他に人が居ない。様子がおかしいと案内表示に、出航してからの年数を聞くと30年だという。本来の航行期間は120年。この船はアヴァロン号。ホームステッド社が「ホームステッドⅡコロニー」と名付けた惑星への入植のため航行している。乗客は5000名、乗務員258名。

 

だがジムは90年も早く目覚めてしまった。何かの手違いだろうと、再び冬眠モードに入ろうとするが出来ない。船内をくまなく探しても彼以外に目覚めた者はいない。計画では到着の4ケ月前から覚醒して入植準備。

食事エリアに行くが、飲み物を選ぼうにも乗客のランクによって飲めるものが決まり、ジムは最も下のランクのレギュラーコーヒー。
異常事態であると地球に連絡を取ろうとしても、この事態そのものが想定外で、通信に数千ドルを要求される。構わずメッセージを送るジムだが、そのメッセージが届くのが十数年後だと伝えられ絶句。

 

バーに入ると唯一人の形の動く者。カウンターに居たのはバーテンのアーサーだった。
ようやく人に会えたと喜ぶジム。だがウィスキーを注文すると極めてスムーズな動きで移動。下半身がレールに繋がれたアンドロイドだった。落胆を隠せないジム。
だが接客のために作られたアーサーの的確な受け答えで、それなりに癒される。

乗務員室を開けようとするが、専用IDがないと入れない。あらゆる工具を使ってこじ開けようとするも無理。アーサーの「ここの生活を楽しみなさい」という言葉で、各種レクリエーション施設を試すが、全く楽しくない。
娯楽の一環としての宇宙遊泳もやれるのを知ってトライしてみるが、広大な宇宙の中に降り立って絶望感を味わっただけだった。宇宙服を着ずにエアロックを開けようとしたが、その決心も出来ずに頭を抱え込む。

 

延々と続く孤独。そんな折りに、人工冬眠をしている中の美しい女性を見つけ興味を持つジム。
乗客名簿によればオーロラ・レーン。小説家だという。彼女のプロフィールをつぶさに読み、食事の時には必ず彼女のポッド脇に座った。
そして冬眠ポッドの説明書を徹底的に読み、冬眠解除の方法を知る。
その気持ちをアーサーに打ち明けると、倫理判断まではしないため「良いアイデアですね」と返す。

 

その後もジムは悩み続け、一時はアーサーに彼女を起こす事はしないと宣言。だが結局孤独には耐えられず、装置に手を加える。
ポッドが開き、オーロラが覚醒を始めると、その場から身を隠すジム。
後は彼女が自分を見つけるのを待てばいい。ジムはアーサーに、この話は彼女に言うな、秘密は守れるか、と尋ねると「秘密は守ります」とアーサー。

 

 

目覚めたオーロラはジムを見つける。一人で一年間暮らしたと聞いて驚くオーロラ。だがこの事態に納得出来ず、ジムのやった事を同じ様に繰り返す。そして絶望。
だが、ジムが一人でも暮らして来たのを見て、気力を取り戻すオーロラ。

食事の時、上級クラスのオーロラは貧弱なジムのトレイを見て驚く。ジムは会社側が客集めのためにセットした「搭乗優待券」の乗客であり、惑星に着いてからも生涯渡航費用の不足分を支払わなくてはならない。自分のIDで食事を分け与えるオーロラ。

 

ジムになぜ入植を決めたのかを聞くと、元々モノ作りが好きで、そのためにエンジニアになった、新天地で自分の建てた家に住むのが夢だと話した。
オーロラは、同じく作家だった父親の影響で作家になった。彼女が十代の時に亡くなり、何事も経験、という教えを残した父親。新たな入植地で一年暮らした後、地球に戻り、それを伝えるのが夢だと言った。

その後急速に打ち解ける二人。ジムに次第に惹かれて行くオーロラ。そしてついに結ばれる。思いがけない出会いだったが、むしろこの状況に感謝し、この先も助け合って行こうと誓う。

 

その日はオーロラの誕生日。ジムはこの日のため、婚約指輪を作っていた。アーサーの前で談笑する二人。オーロラがアーサーに「二人の間に秘密はないの」と言い、それに頷くジム。「そうでしたか」とアーサー。
ジムが指輪を取りに中座した時アーサーは、ジムが貴女を起こすべきか悩んでいた、と言う。そこで初めて自分がジムに強制的に目覚めさせられた事を知るオーロラ。
戻って来たジムに怒りをぶつけるオーロラ。
全てを悟ったジムはアーサーに目を向けるが「秘密がない」と解釈したアンドロイドを責めても仕方がない。

 

ジムは会う度に許しを乞うが、オーロラの憎しみは増して行く。寝ているジムのベッドに上がり込み、顔面を殴打、腹を蹴り、最後は鉄棒で止めを刺そうとするが、全くの無抵抗で打たれる覚悟のジムを見て我に返る。

 

その後も船内に小トラブルが続く。ジムが目覚めてから二年ほど経った時にエレベータが止まる等の異常が発生。そんな時、知らない男の声を聞いて駆けつけるジムとオーロラ。黒人の大きな男が居た。服装は乗務員。名前はガスと言った。
彼は航行のクルーではないが、自身のIDで船内の全エリアに入る事が出来る。

 

船の状態を調べるガス。二年前の隕石衝突でシステム障害を起こしている事が判明。三人のポッドもそれが原因で開いたのだろうと言うガス。オーロラがジムを睨む。

だがその後も異常が拡大傾向にあり、操縦エリアでガスが調査を行った結果、船の動力源である核融合炉の制御部が隕石で破損している事が判明した。
これを直さないと船自体が爆発してしまう。だがこの重大な時にガスが倒れてしまう。

医療ポッドで検査の結果、ガスの体は末期の多臓器不全の状態であり、余命の判断も出来ない。冬眠ポッドの故障が原因だと推定するガス。
結局ガスは亡くなるが、お互いを大切に、と言い残した。

 

核融合炉の修復を決意するジムは、オーロラにも協力を求め、彼女もそれを受ける。
核融合炉のエリアでは重要な部品が破損し、警報が鳴り響いている。予備の部品交換で修理が出来たかに見えたが、エネルギーを放出するための扉が故障して開かず、このままでは爆発してしまう。

手動で外から扉を開けるため、宇宙服を着て船外に出るジム。既にジムを許していたオーロラは「必ず帰って来て」と叫ぶ。

 


核融合炉の扉まで辿り着いたジムだが、その手動の扉用レバーは、手を離すと戻ってしまい、最後までそこに留まっていなくてはならない。
排出のレバーを下げろと指示するジムだが、それをすればジムが死ぬ。躊躇するオーロラに警告メッセージは爆発が近い事を知らせる。
ジムの叫びで意を決してレバーを下げるオーロラ。過大圧力が炎となってジムを焦がす。そしてジムは宇宙空間に放出された。

 

船は爆発を免れた。また、死んだと思われたジムが生きていた。喜ぶオーロラだが、命綱が切れて、もう戻る事が出来ない。別れを告げて気を失うジム。
オーロラは船外活動エリアに走り、モニターでジムの居場所を特定すると宇宙服を着て船から出た。だがもう少しという所で命綱の限界。そこにジムの切れた命綱が。それをたぐってジムを引き寄せる。

動かないジムを医療ポッドに入れ、診断させると「死亡」のメッセージ。ガスのIDで、全ての蘇生プログラムを同時に走らせるオーロラ。その結果、息を吹き返すジム。

 

回復したジム。医療ポッドのオプション機能で一人分だけ冬眠させる事が出来る事をオーロラに伝え、彼女に入るように言った。ほほ笑むローロラ。

 

惑星への到着を前に、次々と覚醒を始める乗客とクルーたち。
船長を筆頭に中央ホールへ行くと、そこはジャングルの様に木々が生い茂っていた。ジムが作った光合成のシステムで発生したもの。
オーロラの残した手紙で二人のドラマを知った船長たち。


感想
「目覚めたのには理由がある」なんて言葉にほだされて・・・・
元々SFが好きな方。だからこんな予告編観ると、つい行ってしまう。

 

だけど開始早々から船体への隕石衝突で、理由も何もバレバレではないかー。
ジムが一人だけ覚醒して孤独な状況に陥るのは予告編通りだがら、まあさほどの新鮮味はない。だがオーロラを自分で起こしてしまうとは。一気にボルテージが下がり、逆にオーロラの方へ感情移入(狙いはこれか)。

二人の険悪な関係に割って入った乗務員。「モーフィアスぅ~~っ!」と思わず叫ぶ(心で)。まあ、好きな役者だからいいのだが、どこでも入れるIDをゲットするためだけに設定されたキャラみたいで、ちょっと切ない。

 

「重力ロス」が意味不明。基本船内の重力は、回転による遠心力により与えているのは、この船の形態からも明らか。それが制御のトラブルで重力が失われるという表現が、どうも納得し辛い。ただ、オーロラがプールに居て、重力のなくなった巨大な水塊の中でもがくシーンにはちょっと萌えたが・・・・

 

一番ナットク出来ないのは、核融合炉のくだり。まず動力部に、あんなでかい窓いらんだろう(映画だから見せないとアカンのはワカるけど)。
それから核融合炉からのガス放出受けたら、放射能汚染で即死んでしまう。当然船に連れ帰るのも不可能。架空の話と言いながらも、この辺りは気になる。

 

あと笑ったのはアンディ・ガルシア。超大物ではあるが、まともなセリフもなく最終部でちょっと出ただけ。却ってかわいそうだったか。

いつも思うのは、せっかく設定はいいのだから、もう少しシナリオを練って、確からしさとか意外性とかを上手に演出してもらいたいものだ。


最後に、宇宙船の構造が気になったので、予告編からピックアップ。
最外周に細長い居住区が螺旋状に3個あり、それが各二箇所の通路で繋がれている。先にも言った様に、旋回する事で重力を発生させている(のだろう)。