ラ・ラ・ランド  2017年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

監督・脚本 デミアン・チャゼル

 

キャスト
ライアン・ゴズリング           セブ(セバスチャン・ワイルダー)
エマ・ストーン                ミア・ドーラン
ジョン・レジェンド           キース
ローズマリー・デウィット       セバスチャンの姉
フィン・ウィットロック            グレッグ
ジェシカ・ローゼンバーグ      アレクシス
ソノヤ・ミズノ                    ケイトリン
キャリー・ヘルナンデス         トレイシー
J・K・シモンズ                ビル   レストランの経営者
トム・エヴェレット・スコット     デヴィッド
ミーガン・フェイ                   ミアの母親

 

予告編

 

 

感想
ミュージカルは好きだが、ミュージカル映画のわざとらしさはちょっと苦手だった(あの「レ・ミゼラブル」とか)。
だが皆さんの評価を読み、また先日第一作の「セッション」も観て、俄然その気になって鑑賞。

なかなか上質な、いい時間を過ごさせてもらった。

 

正直言ってオープニングの、高速道路で皆が踊り出すシーン。

これがこの先延々と続くのか、と思ってゲンナリしたのは確か。
だがそれからすぐ普通の会話に戻り、ホッと一息。
物語のシーンと歌のシーンで、ある程度棲み分け出来ており、ミュージカル映画「初級」の者にも違和感がなかった。

 

物語として、それほど深いわけではない。カフェで働きながらもそんなに悲壮さのないミア。一応車も持っているし(プリウスの年式がそこそこの古さなのはイイ演出だが)。
一方のセブも、旧き良き時代のジャズに心酔しているとは言っても、生活のために折り合いをつける知恵もある。

そんな二人が出会い、偶然が重なることで互いを意識して行く過程がすごくオシャレで、本当に観ていて気持ちのいい時間が流れているなー、と素直に感じられた。耳馴染みのジャズも心地いいし。

 

何と言っても、この映画の一番の見せ場は、最後にセブが僅かに頷くところ。
ミアをパリに送り出してから、彼女の活躍は知っていただろうし、現在でも店のすぐ隣にミアの写真がデカデカと貼ってある。

ミアが必死で駆け上がったのを、一切邪魔せず見守ったセブの想いが、あの最後の頷きに込められている。

この映画観て、プラネタリウムに行きたくなった(あの場面も良かった)。

 

 

あらすじ

プロローグ・冬
高速道路の大渋滞。

オープニングナンバーと共に車から出て踊る若者たち。
同じ渋滞の中でセリフを覚えようとするミアだが、後続のオープンカーに乗ったセブにクラクションでせかされる。

 

ミアは、ハリウッドのワーナー・ブラザーズ撮影所内のカフェで働きながら女優を目指しているが、オーディションに落ち続ける毎日。
一方セブはジャズピアニスト。正統派ジャズを好み、ジャズの名門クラブ「Van Beek」がサンバとタパスの店になってしまった事を憂いている。最近も店を出す話で騙された様だ(姉との話)。

 

ある日ミアはルームメイトのアレクシス、ケイトリン、トレイシーらに誘われて映画関係者の主催するクリスマス・パーティに出席する。
特にいい事もないどころか、車がレッカーに持ち去られ、歩いて帰る途中、偶然聞こえて来たピアノに惹かれてレストランに入る。

そこで雇われのピアノ弾きをやっていたセブだが、レストラン経営者のビルから「フリー(ジャズ)」はダメだと言われながら、それを守らずクビを宣言された。
ちょうどそこに向かって行き、素敵な演奏だと褒めたミアだが、クビ直後のセブはそれどころではなく、ミアを押しのけて店を出た。

 


ミアは相変わらずオーディションを受けては落ち、の生活。あるパーティに参加したミアは、そこに出演しているバンドメンバーの中にセブを見つける(曲目はa-haのTake on me)。

ミアがリクエストしたのはI Ran(So Far Away)。その選曲にカチンと来たセブは演奏の合間、ミアに話しかけるが、意外に話の合う二人。
パーティ会場から去るセブに「私のキーも取って」。プリウスのキーがずらりと並んでいるが、ミアのには緑のリボン。

車を捜しながら公園にさしかかる二人。息の合ったタップダンス。たそがれ時の夕焼けの美しさ。

 

数日後、セブは撮影所に入り込んで、ミアのカフェを訪れる。スタジオ内を案内するミア。二人はお互いの話をして、次第に親しみを持つ。
ミアが「ジャズは嫌い」と言ったため、セブは彼女をジャズクラブに連れて行った。ミアが脚本も書いていると言う割に「理由なき反抗」を観ていない事を知って、セブがリバイバル上映に連れて行くと約束。

 

その約束当日、ボーイフレンドとの会食だった事を思い出し、止む無くそちらを優先。

だがセブの事も気になり、途中で抜け出して映画館に向かった。
一人で映画を観ていたセブは、喜んで迎え入れる。途中からお互いを意識して指を絡ませ、そしてキス。

だがその時アクシデントで映画が中断。
ミアの提案で、その映画のロケ地にもなったグリフィス天文台を訪れる。そこのプラネタリウムの中で楽しくワルツを踊る二人。

そして始まった交際。
セブは自分のジャズの店を持ちたいと言う夢を語り、チャーリー・パーカーにちなんで「チキン&スティック」という名の店にすると言うが、そんな名前では流行らないと、ミアは「seb's」という名前をロゴまで考えて提案。

 


セブの助言でミアは脚本を書き出した。二人は同棲を始める。
旧友のキースと再会するセブ。かつてバンドを一緒にやっていた。

現在キーボードが居ないキースは、週1000ドルになると誘ったが、セブは断った。
日を改めてキースを訪ねるセブ。バンドのメンバーと演奏をするが、求めているジャズと方向性が違い、そこを去った。

 

だがミアとの生活の中、彼女が実家に電話でセブの話をするのを聞いて、生活安定のためにキースのバンドに入る事を決めた。
そのバンドのコンサートに招待されて喜ぶミアだったが、ノリのいい音楽に反し、セブが全く楽しそうにしていない事に気付いてしまう。
バンドは成功し、セブは急に忙しくなる。

 


キースのバンドはツアーで全国を飛び回る生活。

ミアは一人芝居の準備をしていた。
ある日ミアがアパートに帰ると、セブがサプライズで食事の準備をしていた。だが明日の朝にはまたツアーに出なくてはならない。
一緒に居たいからと、セブはミアに、ツアーへの同行を頼むが、公演が二週間後に迫っており、ミアは断った。そして逆に、今の音楽をいつまで続けるつもりかと聞く。アルバムを出せば、またこの先二年はツアーが続く。セブ自身に止める気はなかった。
ミアは、セブが自分の信念を曲げている事を知っており、ジャズの店を開く夢はどうなったのかと問い詰める。黙って部屋を出て行くセブ。

 

ミアの一人芝居公演当日、雑誌の撮影でどうしても抜けられないセブ。
公演の観客は数名で、やり切ったものの、その後観客の酷評を聞いて自信喪失するミア。終演後駆け付けたセブに対し、夢は終わったと言って故郷のボウルダー・シティに帰る事を告げた。

 

数日後セブの許へ、ミアを探しているという電話。キャスティング担当者からであり、ミアの公演を観て興味を持ち、オーディションに参加するようにというもの。
セブは以前、彼女の実家が図書館の前だと聞いていたのを覚えていた。その前でクラクションを鳴らすセブ。
また落とされると決めつけているミアを励ますセブは、翌朝迎えに来た。
オーディションでは、自由に話す事を求められ、ミアは叔母とのエピソードを素直に話す。

オーディションが終わり、かつてのグリフィス天文台に行き、そこのベンチに座った二人。また落とされると思っているミアに、受かればパリでの仕事が待っている、この好機をつかんで突き進むんだ、と励ます。


エピローグ 5年後の冬
大女優になったミア。娘も居るが、パートナーはセブではなかった。

 

ある日、夫妻で高速を使って走っていると、あの日と同様の渋滞に巻き込まれた。高速を降りて食事にしようと提案するミア。
店を探していると、ジャズが聞こえて来た。

夫に見に行ってもらい、良さそうだという事で通りから中に入ると、そこには「Seb's」のネオンサインが。ハッとするミア。
店内は賑わっており、小編成のジャズバンドもいい演奏をしている。
曲が終わり、各演奏者の紹介をするオーナー。

セブだった。そして客席を見た時、ミアの姿に気付く。
来店を謝す一言、そしてゆっくりピアノの前に座り、静かにかつての曲を弾き始める。

ミアが初めてセブのピアノを聞いた場面からの巻き戻し。

ミアを抱きしめキスをするセブ。そこから先は、セブとミアのもう一つの物語。二人共に成功し、子供も生まれる。輝く日々。
だが、曲の終わりと共に現実に引き戻される。もう少し聴こうかという夫に、帰ると言って店を出るミア。

ドアの前で振り返るミアと視線を合わせたセブは、軽く頷いた。

 

 

サウンドトラック

#1. Another Day Of Sun
#2. Someone In The Crowd
#3. Mia & Sebastian's Theme
#4. A Lovely Night
#5. Summer Montage / Madeline
#6. City of Stars
#7. Planetarium
#8. Herman's Habit
#9. City Of Stars DUET
#10. Start A Fire
#11. Engagement Party
#12. Audition (The Fools Who Dream)
#13. Epilogue
#14. The End
#15. City Of Stars (humming)
#16. Mia And Sebastian's Theme (Celesta)