NHK 木曜時代劇「ちかえもん」2016/1/14~3/3 全8回 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

番組紹介
http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/chikaemon/index.html

 

脚本  藤本有紀

 

キャスト
近松門左衛門  - 松尾スズキ
万吉        - 青木崇高   不孝糖売り
お袖        - 優香     遊郭「天満屋」の年増の遊女
徳兵衛      - 小池徹平   平野屋の放蕩息子
お初        - 早見あかり  「天満屋」の新入り遊女
久平次      - 山崎銀之丞  油問屋「黒田屋」の主人  
喜助        - 徳井優    「平野屋」の番頭
天満屋吉兵衛  - 佐川満男   「天満屋」の主人
竹本義太夫   - 北村有起哉  道頓堀の「竹本座」座元
お玉        - 高岡早紀   「天満屋」の女将
忠右衛門     - 岸部一徳   「平野屋」の大旦那
喜里        - 富司純子   近松の母
結城格之進   - 国広富之   お初の父親

 

感想
木曜時代劇は「陽炎の辻」「吉原裏同心」など、好んで観ている。
今回、松尾スズキが主演という事で、ちょっと不安要素もあったが、どうにもツボにハマってしまった。
元々本職(?)の俳優じゃないのが却って面白さを滲み出している。また万吉役の青木崇高との掛け合いがこれまたバカバカしくて楽しい。
そんなちゃらんぽらんの中に、時々ドキっとする心情の吐露もあったり。一筋縄では行かない。
毎回出て来る昭和歌謡の替え歌(松尾が自分で唄っている)にも笑ってしまう。第5回では「赤穂浪士の場合は~~」と来てズッコケた。
時代劇にあるまじき、横文字連発。でも回が進むにつれ、随所に光るものが。
特に最終回。単なるエピソードだと思っていた、幼い頃に遊んだ人形が、近松にいい芝居を書かせるための助っ人になって出て来たなんて。これには全くの脱帽。
脚本の藤本有紀さん。「平清盛」ではイマイチ視聴率取れなかった様だが、こっちは実にイイ。キワモノと言えばそれまでだけど、さすがに大河を手掛けた構築力はダテじゃない。

 

それから「お初」役の早見あかり。鶴瓶の「Aスタジオ」でアシスタントをやっているのは知っていたが、役者とは思っていなかった。なかなかの出来で、ちょっとファンになりそう・・・

 

 

あらすじ
人形浄瑠璃作家の近松門左衛門が、極度のスランプを経ながら、周りで起きる事件に振り回されていくうちに、有名な「曾根崎心中」をものにして行く。

 

第1回 1月14日   替え歌:大阪で生まれた女
近松優柔不断極(ちかまつゆうじゅうふだんのきわみ)
浄瑠璃小屋の竹本座で台本を任されている近松門左衛門。平野屋の忠右衛門がスポンサー。義太夫とのコンビで大入りだった事もあったが、近松が全くのスランプで、最近は不入りが続いている。
金もないのに遊郭「平野屋」に通ってお袖と付き合っている。
世は「お犬様」の綱吉の時代だが、同時に親孝行も奨励されていた。そんな時に「不孝糖」を売るという万吉を知る。
黒田屋久平次が、歌舞伎小屋を作りたいと言って近松に言い寄って来た、座付きで台本を書いてくれと言う。軽いノリで引き受けかけるが、浄瑠璃から離れられず、それを断ると久平次豹変。危ないところを万吉に助けられる。万吉がつけたあだ名が「ちかえもん」。
万吉は近松の家にまで押しかけ、母親に鯖を食べさせたりしてすっかり気に入られる。
http://elife-coffeebreak.com/chikaemon-1wame-1789

 

第2回 1月21日   替え歌:悲しくてやりきれない

厄介者初、井守黒焼(やっかいものおはつといもりのくろやき)
近松の周りをうろつく様になった万吉。平野屋に出入りするうちに美人の割に不愛想な「お初」に一目惚れ。たまたま知り合った徳兵衛に相談するが、相手にもされない。近松に相談すると、惚れ薬には「イモリの黒焼き」と言い、食べさせてから最初に見た相手に惚れるのだと教えられる。
万吉が冬眠中のイモリを捕まえ、黒焼きにした粉末。使うつもりはなかったが、手違いで不孝糖に練り込まれてしまった。
客に対して愛想が悪いと、お初は庭の木に縛られる。そこへ万吉。不孝糖の話をするうちに、お初が舐めたいと言う。イモリ黒焼き入りの飴をお初の口に。だがその視線の先には徳兵衛が。
http://blog.goo.ne.jp/yuzu0905_85/e/77916d13eafa269bc55fc9abb8dcb7ab

 

第3回 1月28日  替え歌:学生街の喫茶店 
放蕩息子徳兵衛(あほぼんとくべえ)
徳兵衛とお初は相思相愛でラブラブ状態。その上「平野屋」の息子の立場で好き放題。
徳兵衛のあほぼんぶりにあきれる万吉。だがそこに才能を見出し、不孝糖売りをやらせると、女受けが良く、どんどん売れる。
スランプながらも「赤穂義士」のスジ作りをボチボチ始める近松。
忠右衛門に近づく久平次。忠右衛門がオモテの商売以外で何かをやっている事を知っている。
不孝糖売りの事を聞いて徳兵衛に説教をする忠右衛門。徳兵衛は家を継ぐという重圧のため、わざと放蕩をしていた。
お初の唄う浄瑠璃の一節。
http://blog.goo.ne.jp/yuzu0905_85/e/df938a80cd1b6e89c6ce581e3db76eee

 

第4回 2月4日   替え歌:傘がない
善悪不明九平次(ぜんかあくかくへいじ)
前回に続き「赤穂義士」のネタ仕込みに苦しむ近松。だが万吉との漫才崩れの掛け合いでボロボロに・・・。
そのうち四十七士の中で討ち入りしなかった者が一名居るという話に。万吉のとんでもない空耳から「寺坂吉右衛門や!」と叫ぶ近松。そして何の繋がりか、黒田屋久平次がその寺坂ではないかと妄想を膨らませる。
徳兵衛は忠右衛門の指示で手代として下働きをやらされていた。それなりに生き生きとしている徳兵衛。
そんな所へ町方が押しかけて来て、不孝糖を売った不届き者として徳兵衛を引っ立てて行った。売ったのは俺だと万吉が言っても取り合わない。
だが徳兵衛はすぐに釈放。久平次が嘆願書を出して事なきを得たとのこと。恩義を感じる徳兵衛に「あいつには近づくな」と言う忠右衛門。
脈絡もなく久平次を訪れる近松と万吉。近松が暴走して寺坂の推理を押し付けると、久平次はその通りだと言った。ただし吉良も大石も憎かったから、皆殺しにして自分だけが助かった、と解説。驚く近松。そのあとで「・・・といった筋が私には好みです」とはぐらかす久平次。ただ、平野屋に何かを抱いているのは確か。
天満屋でひっそりと話し合っているお初と久平次。徳兵衛を救ったのはお初のためなどではなかった。平野屋が朝鮮人参の商売を闇で行っている事を知っていた。その話をなぜ私にしたのかと尋ねるお初。久平次は、お初の狙いが徳兵衛ではなく、父親の忠右衛門だと判っていた。
http://blog.goo.ne.jp/yuzu0905_85/e/d0a55c7096cf0296062e2a50abf87093

 

第5回 2月11日   替え歌:フランシーヌの場合
標的、忠右衛門(ターゲットはちゅうえもん)
お初が近松の「出世景清」の一節を諳んじていた事を万吉から聞いて喜ぶ近松。一方徳兵衛はお初に、きっとお前を外に出したる、と誓う。
具合の悪かったお初を介抱したお袖。だがたまたまお袖と入れ違いで部屋に入ってしまった近松へ、背中越しに自分の過去を話し始めるお初。
お初の父親、結城格之進は忠右衛門の友人だった。闇取引の事を知って止めるよう忠告したが、却って罪を着せられ切腹となっていた。忠右衛門は親の仇。
結局この話は万吉にも知られてしまい、万吉はお初の前に匕首を突き刺して「仇を討ってやれ」とそそのかす。
赤穂義士もお初も、親から見たら親不孝、と言う近松。
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第6回 2月18日   替え歌:知りたくないの

義太夫些少活躍(ぎだゆうわりとかつやく)
万吉の手引きで忠右衛門とお初が対面。そんなところへ徳兵衛が。対決の部屋へは行かせられず、足止めのため「お袖の身請けの金貸して」と泣きつく。お初の事もあり、その話に食いつく徳兵衛。
一方対決の部屋。忠右衛門はお初の顔から、結城格之進の娘であることを知る。お初に金を差し出し、店には話を付けるからどこへでも行けと言った。
その修羅場にとうとう徳兵衛が。親父がお初を身請け?との勘違いでドタバタ。匕首を持ったお初と忠右衛門が揉み合ううちに、その匕首が近松の尻にプスリ。オーバーにわめく近松。
番頭の喜助が事の真相を話し始める。幼い頃亡くなった徳兵衛の母親は労咳で、それを救えるのが朝鮮人参だったが、忠右衛門には手が出なかった。
失意の忠右衛門が観たのが近松の「出世景清」その復讐話に自分を重ね、侍をひれ伏させる豪商になると誓った。そこで扱ったのが因縁の朝鮮人参。
忠右衛門が格之進に意見されたのは確かだが、陥れたのは別の役人。だが忠右衛門が格之進を救えなかったのは事実。その上でお初は忠右衛門の金を突き返す。この定めを受け入れ、生きて行くのが忠右衛門に対する仇討ちであり、父への孝行だと言った。
近松の母喜里と義太夫との会話。心配する喜里に義太夫は、当代きっての浄瑠璃作者だから大丈夫、と励ます。
http://blog.goo.ne.jp/yuzu0905_85/e/f47137f3672ffe9b414b2212359024e8

 

第7回 2月25日   替え歌:かあさんの歌 よこはま・たそがれ

賢母喜里潔決断(ははうえきっぱりけつだん)
母の元に、近松の弟伊恒からの手紙が届いた。医者で成功した弟、母に郷里の福井(鯖江)に帰る様にという。ちょっと拗ねる近松。
徳兵衛は喜助に連れられて秘密の蔵にある朝鮮人参を見せられた。重い秘密を知る。蔵に一人で居るところへ万吉が。お初を久平次が三百両で身請けするという。だが久平次に助けられたと思っている徳兵衛はそれを納得。
久平次と与力・鬼塚との密談。忠右衛門を失脚させて利権を乗っ取る計画。
母親が気がかりだが、逆にそれをスランプのせいにしてしまう近松の情けなさ。「弟のところへ行ったらよろし」などと口ばしってしまう。
楽屋で義太夫と飲んでグチる近松。それなりに励ます義太夫。
喜里が家で倒れ、居合わせた万吉が医者を呼ぶ。大したことはなく、基本は栄養不良。万吉は喜里に、ちかえもんの事は任してください、と請け合う。
久平次が徳兵衛に近づく。お初を身請けするが、彼女が労咳で、どうしても朝鮮人参が必要だと泣きつく。徳兵衛は蔵から一箱の朝鮮人参を持ち出して久平次に渡す。律儀に証文を書いて渡す久平次。だがそれはワナ。
そして数日後、いつのまにか徳兵衛が、久平次の印を盗んで証文を偽造したという筋書きに。
一方喜里は弟の居る福井に戻ることを近松に宣言し、身なりには気を付けよと、新しい羽織を渡す。
袋叩きに会った徳兵衛が近松と万吉の元に来る。平野屋はもうしまいや、と悲観する徳兵衛。ただ、最期にお初に逢いたいと訴える。
万吉が徳兵衛を背負い、お初の花嫁衣裳にくるんで天満屋にたどり着く。桜吹雪の下で抱き合うお初と徳兵衛。
思い残すことはない、とそこを去ろうとする徳兵衛に万吉「今生があかなんだら、あの世で一緒にならんかい!」。
徳兵衛から巻き上げた朝鮮人参の箱を、西町奉行所へ手土産に持って行く久平次。だがその箱の中身は石ころで、そこに不孝糖の袋が。万吉が、不孝糖に混ぜ込むため、朝鮮人参をちょろまかしてスリ替えていた。徳兵衛はそれを持って行った。
http://blog.goo.ne.jp/yuzu0905_85/e/1a4748bbb0e9dcd2dae90b35918782d4?fm=entry_awp

 

第8回(最終回) 3月3日   替え歌:我が良き友よ
曽根崎心中万吉心中(そねざきしんじゅうとまんきちのおもい)
徳兵衛とお初は手に手を取って逃避行。そして天神の森で二人の遺体が発見された。突っ立っている万吉を見つめる近松。忠右衛門はむしろをめくった後戻し、泣き崩れる。
町では瓦版が発行された。黒田屋は取り潰しになったという。
二人は本当に死んだのか。何でそこまで思い詰めた。打ちのめされる近松。そのまま徹夜でこの心中を浄瑠璃に仕上げた。
それを義太夫に見せる。心意気を感じた義太夫は、5月7日に幕を開けると宣言。
お袖に会いに行った近松。義太夫から前借りした金を渡して、浄瑠璃の初日を見に来て欲しいと頼む。「行くに決まってる、クソジジイ」と涙ぐむお袖。
その後近松が家に居るところを襲われた。
そして新作浄瑠璃「曾根崎心中」の初日。客の入りは上々。忠右衛門、天満屋も来ていた。そしてお袖も。
目が覚めた場所は近松は天満屋の座敷。久平次が抜き身の刀を持っている。この浄瑠璃、悪くないと言いながら、自分が愚かな負け犬として描かれている事に激怒している。話はこれで終わりではない。くされ戯作者が叩き殺される、意外な結末だと。近松反発。儂が書かなんだら誰が書くぅ・・・。
襲い掛かる久平次。すんでのところで万吉が助けに入り、初日だから早く行けと促す。後は万吉が久平次の相手。激しい攻防の末に、向かいの堀へ二人とも落ちる。
小屋にようやく辿り着いた近松。演目は終わりかけだったが、お袖と視線を交わして安堵する。話が終わり、受けたのかスベったのか気になる。皆の泣き声が沸き上がって、ようやく安心。喜里も観に来ており、日本一の孝行者だと褒める。
捕まった久平次。近松が万吉を知らないかと聞き回るが、一緒に落ちた事だけしか判らない。探すうちに堀に落ちてしまう。
何とか助けられると、袖口に人形がぶら下がっていた。それは近松が小さい頃から一人遊びをしていたものだった。いつもこれに話し掛けては寂しさを紛らわせていた。「お前やったんか・・・・・」。思い返せば、万吉が言っていた「にんじょうぎょうるり」は近松が幼い頃言い間違えていた言葉。
ずぶぬれになって戻ると、平野屋が、浄瑠璃の成功を祝って酒席を設けてくれると言う。
そこで忠右衛門から衝撃の事実。徳兵衛とお初は、実は生きてる。
二人が心中を決心した直後に万吉が来た。そして天満屋の主人夫婦に知らせ「アホになってくれ」と。天満屋のお玉が「生きるのは綺麗ごとじゃない。小奇麗な終わりは許さない」と説得。
近松が見ていた時、死体の役をやったのはこの夫婦。忠右衛門に、何でもいいから芝居しろと指図した(近松騙された)。
二人は越前に居る。近松の弟の口利きで、漁師の見習いになって鯖を取っている。忠右衛門は、無理に継いで身上を潰すより、生きているだけでいいと達観。
「いいことおまへん!」怒る近松。二人が死んだと思って書いた話。みんなウソやったなんて~~~~。
そこに万吉の声が。ウソの何が悪い。ウソとホンマの境が一番面白いんやないか。それを書くのがあんさんの仕事や。
エンディングに替え歌・・・・