NHKスペシャル 「新アレルギー治療」 4/5放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

番組概要
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2015/0405/


番組詳細
http://tvtopic.goo.ne.jp/program/info/845216/index.html


アレルギー患者は1960年代から急増し、日本人の3人に1人はアレルギーだという。


アメリカ オハイオ州のアーミッシュという集落民(数百人)。欧州からの移民で200年以上前の生活様式を守っている。明りはガス灯。自給自足のため牧畜が盛んで、幼い時から家畜の面倒を見ている。
この集落民にはアレルギーが少ない。一般に対し花粉は1/20、アトピーは1/10。
ドイツ ミュンヘンのエリカ・フォン・ムディウスは調査を行った。最初は遺伝子の作用を予想して分析したが見つからなかった。


その後の血液検査によりTレグ細胞(制御性T細胞)が一般より35%多い事が判明。Tレグはアレルギー物質に対して免疫細胞が攻撃するのを抑制する働きをする。


どうやって増やすか。
家畜が出す細菌を吸い込む事によって増える→3歳ぐらいまでに経験する必要がある。
我々の生活そのものがきれいすぎる→免疫系の刺激が少ない(免疫は体を守るためのシステム)。


アレルギーにならないためには。
オハイオ州のクローザー一家。父親がピーナッツと大豆のアレルギー。子供について妊娠時から因子となる物質を避けて来たが父以上にひどいアレルギーになった。
アレルギー予防の指針としてアレルギー物質を避ける様に言われて来たが、最近では予防の効果はないと評価されている。


ロンドン大 ギデオン・ラックによる実験。600人の赤ん坊のうち300人にはアレルギー物質を徹底的に避け、あとの300人には与える事として4年追跡。避けた方には17.3%にアレルギー発生、与えた方は3.2%発生。
ネズミの実験でもピーナッツを与えるとTレグ細胞が増える結果が得られた。それぞれのアレルゲン専用のTレグが作られる。

イギリスでのアレルギー患者追跡。スキンクリーム中のピーナッツオイルの影響。アレルギー発症の子の91%でピーナッツオイルの使用があった。皮膚からアレルゲンが入るとアレルギーの原因になる。なぜか?
湿疹になると皮膚のバリヤが壊れる。そのすぐ下には免疫細胞がおり、皮膚表面に触手を出している。異物を引張り込み攻撃。
腸は元々異物を取り込むのが前提だが、皮膚はそうなってはいない。バリヤで保護しているので、それが壊れると過剰に反応。
花粉症の花粉→気道の粘膜から入る(炎症のあるところから入る)。


既にアレルギーになってしまった人は?
千葉大医学部。完治への挑戦。舌下免疫治療。2年治療のうち7割で改善。3割には全く効果なし。効果なし群にはTレグが増えていない。
Tレグをどうやって増やすかが課題。
特別な米を食べる(毎日1回)。花粉成分を大量に含む米。免疫と関わるたん白質から危険なものを除いて米に入れる。
50人が参加し、2ケ月の継続でTレグが増えた者が半数。
実用は5年後。


感想
いわゆる「減感作療法」については知っていたが、何か慣れさせて解決するという「根性論」みたいな感じがしてイマイチ賛同出来なかったが、今回のTレグ細胞の存在なら非常にナットクし易い。
清潔な生活そのものがアレルギー社会を生み出しているとは、何とも皮肉な話。
子供は自然の中で育てるのが一番、か。