TED「スティング」 10/22放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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毎週ではないが、気になったものは観る様にしている。
今回は「スティング」。

現在63歳。グラミー賞を16回も受賞している大歌手だが、ここ10年スランプに陥って、全く曲が書けなくなっていた。

そのスランプから脱出して、ミュージカルの作曲を行った。今回はその経緯を本人が語る。

 

彼の生い立ちが語られる。イングランド北西部(ウォールセンド)の造船所。造船の町で、男たちの多くがそこで働いており、祖父も造船工だった。彼は8歳の時もらったギターに夢中になり、すぐに上達した。そしてこのギターと共にこの町から逃げ出そうと思った。この町には戻らない

と決心して世の中に出て、豪邸、グラミー賞、富、みな叶った。だがある日書けなくなった。それは慢性化し数ケ月、数年と続いた。罪を犯したのか、才能は借り物だったのか。自分は内面をさらけ出して作曲して来た。それを出し切ってしまったのか。
自分の一番の傑作は他人をテーマにしたものであり、自分を封印して来た。誰の事なら書けるのか。捨てた筈の故郷に帰るのがスランプから抜け出すために必要だった。

 

故郷を思った時、曲がどんどん湧いて来た。長年溜めて来たものが出て来る。ジャッキー・ホワイト(造船の親方)。他人の事を作曲しても自分が出て来る。

幼い頃の記憶:進水式の時には王室の者が来る慣わしであり、彼らには子供の病を治す力があると信じられていた。皇太后が来た時(ロールスロイスに乗っていた)、彼女と目が合った気がした。ここを出たいという思いに取り付かれた。自分にもその権利がある。
物語と地域とは切っても切れない。地域を軽んじるのは近視眼的で支持されない。結局私たちは同じ運命にある。

 

WebでTEDのサイトから再放送を観ることが出来る。
http://www.ted.com/talks/sting_how_i_started_writing_songs_again/transcript?language=ja

 

感想
「POLICE」の頃から知っており、ソロになってからの「Englishman in Newyork」「Fragile」などがイイ。
思索的な印象だが「砂の惑星」ではキれまくりの演技を見せたり、普通のロック歌手(というのもヘンだが)とはちょっと違うという印象。
成功した自分をサラリと気負いなく表現出来るのは大物ゆえの余裕か。その彼が素直に10年あまりのスランプを語る。根底にあった故郷の造船所の暗い記憶。切り捨てた筈なのに、結局それ自身が自分の成功を支えていた。
いい番組だった。