読書記 高木彬光「悪魔の口笛」 あなたは占いを信じる? | 預言者のコラム2

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俗言ではなく、預言者の視点から哲学、
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私は高木彬光の本は随分前に「一、二、三、死」という本を読んだきりで、全くその他は関知していなかったのですが。
ある時、易占いの本を読むとその中に、相談者が作家の高木彬光で、彼はスランプに陥っていたので、アドバイスしたところ新作を書いた。それが「チンギスハンの秘密」だった。
とありました。

それは記憶にとどめていたのですが、
先ごろ、読んでいた本の裏に出版社の出版リストがたまに載っていることがありますが、高木彬光の名があり、随分、時代物を書いていると知って驚いたのです。
あるいはこの中に面白いものがあるのでは、と。そして図書館で適当に見繕うとすると、目についたのが子供向けのポプラ文庫。
探偵、神津恭介の「悪魔の口笛」でした。

解説を読むと、
彼は作家になる以前、戦後のことですが、戦闘機工場が閉鎖になり職を求めていたところ、二人の占い師に「作家になれ」と言われ、原稿を書いた。しかし出版社から断られ途方にくれていたところ、彼はまた占い師に相談すると「有名な作家に送れ」と言われ、江戸川乱歩に送ったところ絶賛され、出版され、作家になったというのです。

そして「刺青殺人事件」の解説にはもう少し詳しく書かれており、
当時、彼は本当に貧乏で切羽詰まっており、決死の思いで占いに頼り、骨相学的にある作家に似ているから作家が向いていると言われたとのこと。しかも彼は占いを信じる人であり、小説など書いたこともないのに、3週間で書き上げたというのです。
この時は取りつかれたように書き、運命がかっていたようです。

再び相談に行ったときも、彼は今後15年は小説で喰ってゆけると言われたそうです。


さて、ここで面白いのは彼が占いを信じる人であったという所です。
男性では占いを信じない人の方が多いでしょう。むしろ警戒し、嫌悪する人が。
私が思うに、彼が相談した占い師というのは、おそらく有名な人たちであり、霊感か、霊能力を持っている人たちだったのでは、ということです。

そして占いジプシーのようになってはいけないが、最高でも3人くらいは梯子してでも、もし人が窮地に陥っているなら、活路を見い出すツールにするのは悪くないのでは?
ということです。

そして後は、努力です。
この作家は、小説などを書いて時間を潰すのは当時、大変なリスクがあったと言います。
現代以上に、当時は小説家になるのは難しかったそうです。戦後で、紙が不足しており、おいそれと書かせてもえなかったと。
しかし、彼はそれ以降、こんなに情熱を傾けることはもう不可能だろうというくらい念を込めたようです。

つまり、
占いやアドバイスがあったら、あとは徹底的に努力が必要ということです。
これは皆さんへのアドバイスであり、私へのアドバイスなのかも知れません。

現代、パワーストーンとか、神社巡りとかパワースポットとか言いますが、ただ単にそれに頼るだけではなく、情熱を持って努力する、ということもとても大事なのでしょう。


しかし、
これも申しておきます。どんなに努力しても箸にも棒にもかからない場合があります。
彼の場合、偶然にも二人の占い師のアドバイスが一致していたり、彼の霊感もあってのことでしょう。
努力の方向を間違えないことも大事です。

単なる名声やエゴ、地位、権力が欲しいからという理由ではいけません。
そして成功した時の慢心も用心しなければなりません。