読書感想6 | 預言者のコラム2

預言者のコラム2

俗言ではなく、預言者の視点から哲学、
人生、宇宙、宗教、
時事問題などを語って行きます。

7月で1年を折り返します。
そこで以前書いた読書感想のつづきを。
つまり、2020年1月から7月までに読んだ本を紹介します。偏ってますが。

私は本は、基本、小説を「読書」とします。その他のものは「情報」と私は捉えています。
そして小説は娯楽であり、気楽に面白がるものであると。

(またコロナ感染が拡大している今、また巣篭りして読書というのも悪くないかも知れませんよ)



「二十四時間の侵入者」

再読:
これは眉村卓のジュブナイル。少年少女向けのSFです。
人間の意識を謎の生命体が支配するというものです。ジャックフィニーの「盗まれた街」が同じシチュエーションで、恩田陸もフィニーへのオマージュとして書いています。~「月の裏側」というタイトルだったと思います。
こちらは、もっと子供向けに書かれたものです。

人間が意思を奪われ、操られるわけですが、必死に支配から脱したところで、では操られていない人間の本当の意識は、そんなに立派なものなのか、と作者は問いかけているわけです。



「血みどろ砂絵」
「暗やみ砂絵」
「からくり砂絵」
「あやかし砂絵」

再読:
砂絵シリーズは言ってみれば、推理小説です。ただこの作者の場合、セクシャルな描写もあります。江戸時代の売春婦が描かれたり。
主人公は砂絵師。道端で路上に絵を描いて、投げ銭で生計を立てる人物。しかし推理の才があり、事件解決の裏で、加害者側に利害を説明し、小遣い銭をいただく、ということをするわけです。

このような時代推理は捕り物帳として濫作されましたが、元となったのは「半七捕り物帳」。作者の岡本綺堂はシャーロックホームズを参考にしています。
つまり、本来の捕り物帳とは純然たる推理小説というわけです。

この手の作品、私は謎解きのために読むのではなく、主人公のキャラクターに魅かれる部分があります。
ホックのサイモンアークやドイルのホームズも。



「花束に謎のリボン」

再読:
松尾由美の連作推理小説。推理といっても、日常生活の何気ない疑問を謎解きする話です。
物語の登場人物は花屋に勤める女性と、売れない作家で、彼らは同棲しています。作家の方は有名ではなく、何とか書き続けているという感じで、著者自らが自分を投影しているような表現をしています。

~このような日常を題材とした、殺人などの起こらないミステリーというが近年増えたように感じます。
同作者のものに、小学生の女の子が、キツツキに謎を解いてもらうものまであります。

ちなみにこの作者は必ず、SF要素を作品に含ませますが、この作品は唯一と言っていいのではないでしょうか。彼女の作品の中では珍しくスーパーナチュラルな要素がないものとなっています。

ほとんど日常の謎なので読みやすいですし、結末はどうなるのか忘れたので、読み返しました。
この同棲カップルはどうなるのか。