熱病ふたたび | 救急医の戯言

救急医の戯言

元呼吸器内科医であった救命医が、患者として2回手術を受けたこと、最近の医療について思うことを思いつくまま書いてみました。

 

コロナやインフルエンザも一段落ついたようだ。

で、高熱を訴える患者さんはコロナや、インフルエンザ以外の感染症や、その他の熱性疾患を第一に考えるべき時期になったと思っている(元通りに戻っただけの話だが)。

 

 先日、3月末頃だったと思うが、マダニに刺されて重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

で亡くなられた90台のお年寄りを診察していた若い医師がSFTSを発症した、という報道があった。SFTSはマダニが媒介するウイルス感染症で普通はマダニに噛まれなければ発症することがない、とされていた。どうやら、粘膜感染で感染ったらしい。本当に稀なケースだろうが、こういうこともあるのか、と考えさせられた。

 

 話は移り、先日アフリカからの旅行者が高熱を出して来院した。採血は大した所見なく、例によってコロナ、インフルエンザは陰性であったため、対症療法で後日内科受診となった。

たまたま、採血で異型リンパ球が多い(自動血球計算器)というデータがあったため(ウイルス感染症でこういうことはしばしばある)、検査技師が気を利かせて、血球を染色して目視で顕微鏡で見たのだそうだ。そうしたら、マラリアに感染した赤血球が見え、この方はマラリア持参でアフリカから日本に来たということが判明した。技師さんのクリーンヒットであった。考えてみれば、日本人でマラリアはアフリカにでも旅行しない限りまずお目にかからないが、アフリカではマラリアは当たり前の病気の一つだ。

 

一昨日、40℃の発熱と、頸部リンパ節を腫らせた10代の女性が受診したが、やはり異型リンパ球が極端に多い。まあ、何らかのウイルス感染症だが、どう診断つくか?いくつかウイルス抗体の検査を提出し、後日小児科受診としている。