赤色灯をつけた白いワゴンが、 | 救急医の戯言

救急医の戯言

元呼吸器内科医であった救命医が、患者として2回手術を受けたこと、最近の医療について思うことを思いつくまま書いてみました。

 

 夜勤明けの朝、高速道路を走らせていると走行車線も追い越し車線も少し渋滞気味になっている。走行車線にはトラックの群れ。追い越し車線の2台ほど先には赤色灯をつけた白いワゴン(無地だ)が80km/hの制限速度で走っている。これが行く手を阻んでいるが誰も何もできない。制限速度の大名行列で3分ぐらいジリジリとした時間が過ぎ、ようやく白いワゴンは走行車線に戻ってくれた。後を走っていた僕の直前の車、と僕はとにかくゆっくりとそのワゴンの脇をパス。90km/hは結局でたかなあ。

 追い越しざま横目で見たら、ドライバーは一人。風体までは分からなかった。ボンネットの前には多分、警察車両のバッジがついていたような気がする。すぐに走行車線に戻った。僕の直前の車も走行車線に戻っている。10秒後、急に大きなサイレンの音をさせながら、件のワゴンはスピードをあげて接近してきた。

 窓をあけて、聞いてみると何やら拡声器で叫んでいる。

 「おい、携帯電話使いながら運転してただろ、お前、携帯電話だよ、、、」というラフな口調だ。少なくとも僕じゃあない。僕の直前を走っていた白いハリアーが猛然とスピードを上げるのにあわせ白いワゴンも追走を始めた。

 ワゴンを追い越したときのちょっとしたスピードオーバーを咎められたのかと思ったらそういうことか?とちょっとホッとしたが。

 それにしても、高速道路で検挙するときには普通、サイレンを鳴らして対象車の直前に回り込み、バックウインドウに電光掲示板を出して、〇〇の車、左に寄りなさい、とか、後に続きなさいとか指示するのが通常で、違反内容を叫びながら(僕には叫んでいるように聞こえた)追走するのは見たことがない。

 仮に何かの違反で検挙されるにしてもこういう形で捕まるのは嫌だな、と思いながら家路を急いだ。