ふたつ前の女性で視線が止まる。
あれ、知ってるぞ、誰だっけ?
ぐるぐる考える。
あっ…
駅近くに時々利用する高級スーパーがある。
で、冒頭のシーン。
件の女性は、斜向かいの奥さんであった。
パッと浮かんでこなかったのには理由がある。
なぜなら、周囲と交流のない、町内会で変わり者とされているファミリーだから。
引っ越しをして12年になるが、会った(一方的に見かけた)のはほんの数回。
しかもゴミ捨てに行った際の数秒。
そういえば、ゴミをまとめていたビニールが、確かにその店のモノだった。
違和感があって記憶に残っていた。
よく知らない相手をつかまえて、高級スーパーの袋を使っていたから違和感があっただなんて失礼な話。
だけど、これにも理由がある。
なぜなら、近隣一帯では最も古い家で、そんなに裕福じゃないと決めつけていたから。
失礼の上塗り。
どこにお金をかけるかなんて個人の自由。
住よりも食を豊かにしたいお宅なんだろう。
高級車・高学歴をちょいちょい自慢してくる逆サイド斜向かいのおばはんより、よっぽど好感が持てる。
お前んとこの旦那なんか、激安スーパーでしか会ったことねーよ。
初めてのメーカーでやや心配だったけど、インスピレーションを信じて購入。
帰宅後ホームページをチェック。
社長さんの理念が素敵。
自分の直感が当たり、小さくドヤ顔。
トゲトゲしていた気持ちが少し丸くなって、ほどけてゆるゆるする。
きちんと食事に気を使える人に、悪い人はいないと思う。
変わり者、大歓迎。
うっすらお互いを意識しながら、いつか目で挨拶できるくらいの仲になれたらいいな。
