ゆるゆる温活便り 20通目 | 熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

モンチッチのようなヨメが、ツキノワグマのようなダンさまとのゆる~りとした日常を綴ります。
果たして熊と猿は仲がいいのか悪いのか…。
今日も中年夫婦はとことんマイペースに暮らします。

すごく気に入っていた手帳。
サイズ感もデザインも中身も全てがジャストで、永らくリピートしていた。
何も考えずに買い替えていたのに、いくら売り場を探しても見つけられない年があった。
店員さんに訊ねてみれば、製造が中止されてしまったと言う。
あまりのショックに、翌年は手帳ナシで過ごした記憶がある。

すごく愛されていた中華料理屋。
リーズナブルで居心地が好くて美味しくて、おまけにマスター夫婦の人柄が最高。
実家に近く、たまに訪ねていたが、しばらくご無沙汰していたらシャッターが降りている。
驚いて情報通のおばあちゃんに聞いてみれば、とっくに閉店したと言う。
人も店も老朽化に伴い、引退・建て替えて、マンションにすると判明。

すごく重宝していたカツオブシ。
出汁にしてヨシそのままでヨシの、風味がたまらない万能選手だった。
築地へ出かける友人に買ってもらっていたが、もう行く機会がなくなってしまったと言う。
突然の展開に対応できず、今までの感謝よりも困惑と少しの怒りに支配されてしまった。
そもそも、我が家より遠方に住んでいる彼女に任せきりだったくせに。

手帳は、何冊もの失敗を経て、現在使っている新たな相棒に出合えた。
中華料理屋は、結婚を機に場所を変え、近所にお馴染みを見出だした。
そして、カツオブシだけが止まったまま動けずにいた。

値段も品質も、これまでのモノに勝てるはずがないと半ばヤケクソになり、次を迎える努力を放棄し続けてきた。
そんな生活は、ただただ自分の首を絞めるだけなのに。
いよいよヤセ我慢も限界。
スーパー・デパート・食品雑貨店をアチコチ探しまわるも、なかなかピンとこない。
そんな折、良くも悪くも家に閉じ籠ることになり、仕方なくネットでポチポチ検索。
すると、魅力的なパッケージが出るわ出るわ。
歩き回って落胆した4ヶ月を返してほしい。

ふわふわの見た目に反して、かなり頼りがいのある1.5㎏入り。

ひと度袋を開ければ、鼻腔をくすぐる香り、じんわり染み渡る旨味。
鰹には冷えやダルさを取る作用があるらしい。
体が芯から緩んでくるのがわかる。

諦めずに頑張って良かった。
止まってしまったら、笑顔は取り戻せない。
ありがとう鰹節、ありがとう小さな幸せ。