11月1日、晴れ | 熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

モンチッチのようなヨメが、ツキノワグマのようなダンさまとのゆる~りとした日常を綴ります。
果たして熊と猿は仲がいいのか悪いのか…。
今日も中年夫婦はとことんマイペースに暮らします。

あたし、仕事ができるんです。
社会人になって約20年、異動しようが転職しようが、行く先々でそれなりの評価を得てきたので、たぶん間違いないでしょう。
ただし、それで幸せだったかと言うとそうでもありません。

あたしは自他共に認める、超合理主義者。
最善の効率を考えて、1日の流れを決めます。
だから、繁忙期でない限り残業はしません。
無駄な動きはないし、余計な出費もない。
会社にとっては貴重な人材だったでしょう。

内容を理解しないと進められない性質でもあるので、業務の意味はしっかり押さえます。
作業を把握しているのと、単純に上から言われたことを伝えるのとでは、指示される側の理解力に差が出ます。
受け取り手が説明に納得して業務にあたるので、変な衝突や愚痴・陰口なんかを避けることができます。
先輩・後輩問わず、皆が慕ってくれました。
人間関係が良くなれば、現場の士気も上がり、業績もプラスへ転じます。

ところが、最初は有り難がられていた能力も、在籍年数が増えると当たり前になってきます。
売り上げを作ること、チーム力をあげることはデフォルト。
プラスアルファを要求され、やがて部長クラスに、お前は上司の世話係だと宣言されます。
聞いたこともない役職です。
手当てもないのに、なぜ自分より高給な人間の面倒を見なければいけないのでしょう?

あたしを評価してくれた結果だということは分かります。
有り難いことだとも思います。
でも、そんなもの望んでいません。
厄介者を押し付けられたおかげで、どれだけ心と体を壊し、どれだけ治療にお金と時間がかかったことか。

自分をよく知る人が下した評価には信憑性があります。
適正を見極めるのに、これほど信頼できる情報はありません。
仲間に認められて配属された部署なら、気持ち良く・楽しく働けるかもしれません。

そう考えれば、きっとあたしの役割は適材適所だったのでしょう。
だけど、それを本人が望んでない場合、ただの重荷にしかなりません。

何も考えず、ただただ目の前の仕事をこなす。
そんな人に憧れます。
色々なことに気づくというのは、イコール、ストレスが多いとも言えるのです。


あたしが最も欲しいと願うスキルは、鈍感力なのです。