57、消えた少女
五十嵐貴久
前々から気になっていた、吉祥寺探偵シリーズの第1弾。
背表紙の簡単なあらすじを読んで、お気楽ミステリーだと思っていたら…
なかなか重いラストのヤツだったりして。
主人公がバツイチ子持ちのくせにコンビニでバイトしてるとか、毎晩飲み歩いてる行きつけの店がおかまバーとか…
そんな軽妙なトーンで始まったりするから。
どんどん話が展開して、次々怪しい人物が現れて、じわじわ核心に迫っていく。
あっという間に夢中。
圧倒的な組織力をもつ警察と、自分の感覚のみで動き回る素人。
どちらが優秀か、どちらが正しいか。
そんなの分からない。
事件を強く解決しようと思う気持ちが、色んなモノやヒトを動かす。
一生懸命やっていることは必ず伝わるし、心が揺さぶられる。
誰もが匙を投げたくなるような事件を前にした時、こんな素人探偵がいてくれたら、心が救われるんじゃないかな。
ドラマ化・映画化された作品の原作。
どっちも観てないけど。
キャスト確認してみたら、どっちもイメージと違ってたけど。
ほのぼのしてるようで、ドロドロ。
上手くいっているようで、ぐちゃぐゃ。
簡単にはいかない人間関係。
一番近くにいたつもりが、他人を通して伝えられる、家族の知られざる顔。
確執のち愛情。
いかにも映像化されそうな、万人に好まれそうなテーマ。
あたし?
もちろんを、大好き。
家族ってなんだろう。
ブランド物買ってもらったとか、ハワイに連れて行ってもらったとか、そんな事はどーでもいいんだ。
大好きな家の味があるとか、話を聞いてくれる人がいるとか、そんな日常的な出来事が思い出になるんだ。
そういうことにこそ、愛を感じるんだ。
血のつながりだけじゃない。
家族は愛だ。

