今週の読書 11th week | 熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

モンチッチのようなヨメが、ツキノワグマのようなダンさまとのゆる~りとした日常を綴ります。
果たして熊と猿は仲がいいのか悪いのか…。
今日も中年夫婦はとことんマイペースに暮らします。


21、このたびはとんだことで
桜庭一樹

短編集じゃなくて、奇譚集。
その名の通り、奇妙な話がいっぱい。
奇妙と言うよりは、気味が悪い。
登場人物はみんな、気味が悪いを通り越して、若干気持ち悪い。
気付いたら顔をしかめているのに、ページを繰る手が止まらない。
歯止めがきかなくなったら、何かがちょっと狂ったら、本能をむき出しにしたら…
自分だっておかしくなってしまう可能性を、どこかで感じているからかもしれない。
それにしてもこの人の書くモノは、どうしてこんなにも妖しげなんだろう。
色をつけたら、不思議な世界観になるんだろうなぁ。




22、とっぴんぱらりの風太郎 上
万城目学

出来が悪くて、伊賀を追い出されてしまった主人公。
それもそのはず、コイツは忍者のくせに全くもって人の心が読めない。
そのせいでワンテンポ動きが遅れるから、敵に襲われるわ味方に欺かれるわ。
その名を風太郎(ふうたろうと読むことなかれ。彼はぷうたろうなのだ。なんせ職ナシだからね)と言う。
バカは可愛いのか、放っておけない性格のおかげで、なぜか彼の周りには色んな人がやってくる。
ヤツの鈍さで頻繁にイライラさせられるも、正直な性格は憎みきれない。
個性豊かな登場人物の出現と、風太郎のオッチョコチョイと、何かが起こりそうな予感を存分に残して…
後編へ続く。