
9、探偵ザンティピーの休暇
小路幸也
日本の小さな町にある、老舗旅館に嫁いだアメリカ人女性。
しばらく音信不通だった兄の元へ連絡があり、久しぶりの再会を果たす兄妹。
お気楽な主人公のおかげで、ミステリ感が強すぎない軽やかなストーリー。
北海道の田舎でありながら、外国人若女将を快く受け入れる地元民の寛容さ。
一方で、古い言い伝えやしきたりは絶対に守るという頑なさ。
誰もがそうではないだろうけど、伝統や歴史に縛られないアメリカ人はとても自由に見える。
長い過去を持つ我々には、簡単に越えられないモノが色々ある。
時にそれは窮屈だけど、先人達が作ってきた大事な何かだったりもする。
あたしは、日本人で良かったと思う。

10、木皿食堂
木皿泉
夫婦脚本家の日々を綴ったエッセイや、創作風景・裏話なんかを詰め合わせた、お得な1冊。
ほぼドラマを見ないあたしですら、聞いたことのあるような作品名がたくさん出てきて、情報通になった気分。
文章を書くのは嫌いではないし、むしろ自分では得意な方だと思っている。
でも、何かを生み出すというのはそんな軽いもんじゃないんだ。
伝えたい想いが大きくて強いほど、作り手が真剣であればあるほど、その作業はツライものになるんだ。
あたしに、そこまでの重いモノを背負う覚悟はないな。
そんな心配するような才能は持ち合わせていないけど。