file5、小説 | 熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

モンチッチのようなヨメが、ツキノワグマのようなダンさまとのゆる~りとした日常を綴ります。
果たして熊と猿は仲がいいのか悪いのか…。
今日も中年夫婦はとことんマイペースに暮らします。

どんなに親しく付き合っている相手でも、その人の全てを知ることはできません。

誰もがギャップと共に生きていて、こんな一面があったんだとがっかりしたり、驚いたり、嬉しくなったり…



我々は誰に対しても、勝手なイメージをつけがちです。
それを頼りに、相手を自分なりに印象づけているわけですが、そこにはいくつかのパターンがあります。
そして情報が上書きされることで、また新たな人物像を作っていくのです。


①好印象が悪印象に変わるパターン
実例1:第一線で活躍するモデルの私服が実はダサイことを、友人のスタイリストから知らされてしまう
実例2:強気発言の政治家が愛人の前では赤ちゃん言葉だと、知り合いの秘書から聞かされてしまう

これには、がっかりしてしまいますね。


②悪印象が好印象に変わるパターン
実例1:家事を一切しないと思われていたちゃんこーまい、食事を作っただけでみんなに褒められる
実例2:目力が強くて怖がられがちなちゃんこーまい、ほんの少し笑っただけでホントは良い人と言われる

これには、驚いてしまいますね。


③好印象に好印象がプラスされるパターン
実例1:好きな俳優(ケヴィン・ベーコン)が兄弟バンドで歌手活動もしていると知り、ますます好きになる
実例2:新鮮・安い・種類が多いと評判の肉屋さんが、洋食屋さんまで始めてくれてすこぶる有り難い

これには、嬉しくなってしまいますね。


あたしは一度好きになると、割りと一途なタイプ。
なので、③パターンがよく起こるのです。
幸せな性格です。

ロアルド・ダール…
この方も、そんな単純なあたしに幸せをもたらしてくれる素敵な人物のひとり。
小学生の時に出逢い、一瞬で大好きになり、全ての作品を手に取りました。
ワクワクとドキドキを与えてくれる、心優しいおじさん。

今度は大人になってから小説に出逢い、一瞬でハートを撃ち抜かれました。

ブラックユーモアとエロさを兼ね備えた、イタズラ心のあるおじさん。

どうやら脚本家としても素晴らしいと聞きますし…
ロアルドおじさん、あたしの好感度、うなぎ登りですよ。



それに引き換え、②パターンが定番化し、もはや誰も見向きもしてくれないちゃんこーまい。
生活は怠惰になる一方。
素敵なギャップを身につける、術を忘れて久しい暮らし…