【コトシロヌシ/恵比須と習合した神】
@art.mochida.daisuke
コトシロヌシ（事代主）は『古事記』によると、
オオクニヌシとカムヤタテヒメとの間に生まれた神であり、
国譲りの際に天津神の武神タケミカヅチと交渉した神様です。
中世以降は、「恵比寿信仰」とも結びついて
恵比寿様、戎さんとも呼ばれて親しまれています。
「恵比寿と大黒」と言うように恵比寿様と大黒様は
セットで呼ばれることが多く、この大黒様は父親である
オオクニヌシ（大国主）と大黒天の「大国」と「大黒」の読みが
同じなため同一視され習合したものです。
オオクニヌシは、息子であるこのコトシロヌシを大変信頼し、
コトシロヌシは父に対して献身的だったので、
国譲りの際に真っ先にオオクニヌシから大事を託されます。
本来オオクニヌシは慈愛に満ちた国造りを行いたかったのですが、
乱暴な兄八十神(やそがみ)たちから仕掛けられた
戦いに身を投じ、それによって国土を広げてきました。
戦いによって作った国は、戦いによって多くのものが傷つき、
やがて戦いにより国は失われることをオオクニヌシ自身も知っていました。
その時、アマテラスから「汝の所有する国を譲りなさい。」と言われたのです。
しかし、国を簡単に委ねては血と汗を流した者たちの心情は計り知れません。
そこで、全てを理解し、その事を一身に
請け負うことが出来るコトシロヌシに判断を委ねたのです。
当然コトシロヌシは父の心情を理解していたでしょう。
また、自分が決断することで父の体面や民を守れる事も知っていました。
そういった理由で「この国は天つ神の御子に奉ります」
とタケミカヅチに国譲りの了承を申し出たのです。
コトシロヌシは、父オオクニヌシの心情を理解し、
自分が決断する事で、全てが治るのであればそれで良しとしたのでした。
父のやる事を陰で支え、トップの判断が影響を
及ぼすような時は自らが背負う。
功績は父親のものになりますが、それは自分のやるべき事、
やらなければならない事だと思い、
ただひたすら国の為に人格と徳を高めていてこそ出来た事。
オオクニヌシから託された決断が後の日本建国に繋がったとして、
後世の人々はコトシロヌシに敬意と親しみを込めて大切に祀り、
宮中八神にも列する貴い神様となっていて、
古来から天皇守護の任につかれています。
皇居の中にある宮中三殿の神殿にコトシロヌシはお祀りされ、
この神殿にお祀りされているコトシロヌシは、
一般的な出雲系の神格ではなく、言葉を司る神として祀られているといわれ、
新嘗祭の前日の鎮魂祭にて篤くお祀りを受けます。
年号が変わる年には新嘗祭ではなく、
大嘗祭として執り行われますが、新嘗祭と共に
鎮魂祭は宮中でも重要な祭祀であります。
国譲りの後にコトシロヌシは、国譲りの責任を背負い、
出雲を離れ伊豆の地で新たな国造りを行ったとも伝わります。
また、コトシロヌシの娘イスズヒメが、
アマテラスの子孫である神武天皇と結ばれ、
天神地祇の和合によって日本建国がなったとも解釈されています。
その意味ではコトシロヌシの娘であるイスズヒメは、
まさに天地和合の神様。
コトシロヌシは自らは決して目立つ事をせず、
我を捨てて周りの為、国の為、世界の為に
尽力する姿を示し続ける神様と言えるでしょう。
【神格】
海の神、商業の神、託宣神
【コトシロヌシ和魂】
人望
絆が深まります
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【御利益】
商売繁盛、開運、厄除け、福徳円満、病気平癒
【別称】
事代主神(コトシロヌシノカミ)、八重事代主神(ツミハヤエコトシロヌシノカイ)、恵比寿大神
【系譜】
オオクニヌシの子
【祀られている神社】
美保神社（島根県松江市)
長田神社（兵庫県神戸市)
事代主神社（徳島県阿波市）
三嶋大社（静岡県三島市）
今宮戎神社（大阪市浪速区）
三嶋神社（新潟県長岡市）
富賀神社（東京都三宅村）
十三社神社（東京都新島村）
十日恵比須神社（福岡市博多区）
他、全国の神社
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