【ナキサワメ/涙から生まれた井戸の女神】 | 八百万の神の浮世絵師 持田大輔

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日本最古の歴史書『古事記』を題材に絵を描き活動しています。
八百万の神々が織りなす天地創造、天岩戸伝説など神様の喜怒哀楽が記された神話を少しでも多くの方に知って頂きたいと思います。

【ナキサワメ/涙から生まれた井戸の女神】

 


@art.mochida.daisuke

ナキサワメ(泣沢女神)は、イザナギの涙から生まれたとされています。

 

『古事記』において多くの国土や島々を産んだ「国産み」と

 

多くの神々を産んだ「神産み」を成し遂げたイザナギとイザナミ。

 

しかし、イザナミが火の神ヒノカグツチ(ヒノヤギハヤオ)を

 

産んだ際に大やけどを負ってしまいます。

 

それが原因で妻が黄泉の国に旅立ってしまったので、

 

悲しみに暮れたイザナギが泣き伏した時に、

 

香具山(かぐやま)の畝尾(うねお)の木本(このもと)に

 

落ちた涙から生まれたのがナキサワメです。


 

畝尾都多本神社(奈良県橿原市)に泣沢という井戸があり、

 

その井戸が御神体として祀られていて、

 

井戸や水の守り神とされています。

 

この事から、ナキサワメは大和三山の一つである香具山の

 

麓の畝傍から湧き出る井戸の神様で、井戸の中には

 

ナキサワメが流した涙があるといわれています。

 

その井戸には『万葉集』にも和歌が残っています。


哭沢の 神社に神酒すゑ 祷折れども わご大君は高日知らしぬ


(泣沢神社の女神に神酒を捧げて、薨じられた皇子の延命を

 

祈っているのに、皇子はついに天を治めになってしまわれた。)



これは、41代持統天皇(じとうてんのう)の御代10年(696年)に、

 

ヒノクマオオキミ(桧隈女王)が再生の神に神酒を捧げ

 

タケチノミコ(高市皇子)の延命を祈ったのに、

 

願いが叶わずナキサワメを恨む和歌として残っています。



神名は「泣くように響き渡る沢」から来ているという説と、

 

「ナキ」は「泣き」で、「サワ」は沢山泣くという意味があり、

 

前述のとおりナキサワメ自身の涙で井戸が産まれたという伝承もあります。



再生の神、出産、延命長寿、井戸の神様、

 

水神などの信仰を集める水との関係が深い女神様です。


古代日本には、巫女が涙を流し死者を弔う儀式が存在したとされていて、

 

そのような巫女の事を「泣き女(なきめ)」といい、

 

『古事記』においても「国譲り」でアメノワカヒコの

 

葬儀に関わる伝承に登場します。



この「泣き女」の儀式は、死者を弔うだけではなく

 

魂振り(たまふり)の呪術でもあったようです。

 

つまり復活の儀式に深く関わるのが「ナキメ」であり

 

「ナキサワメ」であると考えられ、水と復活の象徴が

 

ナキサワメであったために、和歌にあるように

 

タケチノミコの復活祈願の対象として祈り謡われたのでしょう。



新元号になって行われた「大嘗祭(だいじょうさい)」の前日に

 

とり行われる鎮魂祭、あるいは鎮魂の儀においても

 

魂振りは重要なキーワードとされます。


鎮魂というのは、魂が体から離れて抜け出すのを防ぎ、

 

体の中にしっかりと落ち着かせる儀礼であり、

 

魂振りは、体の中の魂が勢いを失った状態から

 

再び活発にさせる儀礼です。

 


アマテラスの天の石屋戸伝承も魂振りであろう、という説があります。

 

日照時間が一年でもっとも短くなる冬至は、

 

太陽のパワー(威霊)がもっとも弱くなった状態だと考えられ、

 

そのパワーを復活させる目的で魂振りが行われ、

 

それを神話化したものが天の石屋戸だというわけです。



「泣き女」は神と人間との間を繋ぐ巫女であり、

 

ナキサワメは「泣き女」の役割が神格化したものとも言われており、

 

現在も出産、延命長寿など生命の再生に関わる信仰を集めていて、

 

雨は天地の涙とする説があり、降雨の神様としても知られています。



【お祀りする神社】
賀茂神社 (徳島県阿波市)
赤國神社(京都府綾部市)
行田八幡神社 (埼玉県行田市)
熊野神社 (東京都多摩市)
多伎藝神社(島根県出雲市)
新治神社(富山県黒部市)
桃島神社(兵庫県豊岡市)
桃太郎神社 (愛知県犬山市)

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