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SC神戸中国語スクール 京都校

全くのゼロから、ビジネス会話、通訳レベルまでしっかりと学べる中国語スクール、SC神戸中国語スクールの京都校のブログです。

最近学んでいる今井むつみ先生の講義動画を見つけたのでご紹介します。


赤ちゃんはことばの意味をどう覚えるのか?


仮説をたて、実験を行い検証するという科学的手法で研究されている今井むつみ先生の特別講義動画です。


1時間半ほどありますが、音声だけではなく、文字や図形情報も使っての講義ですからわかりやすいと思います。




 

中国語に限らず英語もそうだと思うのですが、「伝える」ことを重視したことばだと感じています。

中国語や英語は屋外、特に厳しい自然条件の大陸で大切な情報や自分の思い、主張をはっきりと伝えるためのことばで、日本語は屋内で、はっきりとことばで伝えると言うよりできるだけ少ないことばで思いを伝えることばだと感じています。

 

それは例えば中国語の有気音。

日本語よりも多くの息を使い、破裂音と言ってもいいほどインパクトのある「音」です。

これは英語でも/p/や/t/の「音(子音)」もそうですが、日本語が母語の方にとって日本語にはない「音」なので気づきにくいと思います。

 

また同じ「音」でも「母音」も日本語とは違います。

 

以前、ブログでもご紹介しましたが、友人のお子さんで一人は中国生まれ中国育ち(しかも北方)、もう一人は中国生まれですが日本で育ったお子さんがおられました。

そのふたりのお子さんの発声には大きな違いがありました。

 

日本で育ったお子さんは、日本語として普通の発声。

でも、中国で生まれ育ったお子さんは「太く、響く」発声。

 

また、最近、タクシー乗務で外国の観光客を案内していて感じたのは、後部座席に座っているお客さん同士で会話しているのを聴いているとやっぱり「太く、響く」発声。

女性はそうでもないのですが、西洋人で体格の大きい男性はそれこそお腹の底から体全体を響かせるような発声です。

このような発声だと、「音」だけではなく、「(空気の)振動」も感じることもできます。

 

これはライブというか臨場感があるというか、電話やオンラインでは伝わらないことだと思います。

 

ここまではっきりとはしなくても、今、NHK英会話を学んでいると、秋乃ローザさんの英語と日本語を聴いていると女性なのですが、やはり発声方法が違います。

 

日本語で話している時には日本語らしい「のど声?」で、英語を話している時は腹式呼吸でお腹の底から多くの息を使い、体全体を共鳴させるような響く声。

 

そんなことを感じている今日この頃ですが、須磨みのりさんのフェイスブックの記事を拝読しました。

 

通訳をするときの「伝わり方」についての記事で、通訳は聞き手にはっきりと伝わって初めて意味があります。

須磨さんは通訳学校で学ばれたのかもしれませんが、長年通訳を経験され、また、中国語教育もされている中で感じられた重要ポイントだと思います。

 

語学。特に発声を含めた会話や通訳というのは、自分と他者を比較してわずかな違いに気づいて自分を修正していくことができるし、また、それができないと進歩することができないと感じています。

 

人は一生学び。

昨日より今日、今日よりも明日と少しでも自分を良い状態にすることを実感することができるのも語学。

その上、母語以外のことばを使うことができると世界が広がります。

多くの人が須磨みのりさんのような優秀な方に中国語を学ばれ、中国語ができる喜びを感じ、人生を豊かにしていただきたいと思います。

 

今、認知科学、言語心理学、発達心理学の今井むつみ先生の著書を読んでいます。

今井先生は乳幼児がどのように言語を習得していくかについて研究されていて、『英語独習法』という著書もあるので中国語をどのように学習するかについてとても参考になります。


その学びの中で、少し前になりますが、SC神戸中国語スクールのSCセンセの動画を改めて見て、SCセンセはさすがに中国語教授の経験が長く、また、人に教えることに傲慢になることなく謙虚に学び続けていることがよくわかる内容だと思ったのでご紹介します。


対象となる動画は:




「数をこなす」


この表現から、ただやみくもに多聴することがリスニング学習のポイントのように誤解されるかもしれません。

実際、この動画のコメントでリスニング力を向上させる学習方法は基本的に「数をこなす」ことではありません。とありますが、

SCセンセの言う「数をこなす」にはかなり深い意味が含まれています。

SCセンセは動画の中で次のように言っています。


リスニングに強くなるためにはリスニングをする。


これだと実際にどのようにリスニングを学習すればよいのかの説明がなく、ただ多聴するだけで(深く考えることなく)リスニング力がつくように思われるかもしれませんが、もちろんそんなことを言っているのではありません。

動画を視聴するとリスニングで大切なこととして以下があると言っています。


状況把握、文脈把握、誰がどこで何を(5W1H)が重要。


また、


論旨の理解(話し手が何を言いたいのか?伝えたいのか?)が重要。


つまり、単に単語や文、文章を音として聴き取るだけではなく、リスニング対象の内容を聴き取ることが重要だと言っています。

さらに、次のようにも言っています。


(リスニングで意味を聴き取るには)推理力、推測力(雑学)が大切で単語力、文法力その他諸々は(リスニングの)下支え。


会話でもそうですが、通訳でも、そして文章を読み進める(リーディング)においてもこの「推理力、推測力(雑学)」がとても大切だと思います。


今井先生の『英語独習法』でも、第7章 多聴では伸びないリスニングの力 があり、


リスニングにはスキーマが必要


耳を慣らすよりスキーマ


というこ見出しがあるのですが、このスキーマ。

今井先生の一連の著書の中で出てくる重要な言葉です。

認知心理学では;


「さまざまな事物・事象を認知するとき、既存の知識の枠組みに照らして解釈する、定型的な認知の仕方」

出典:鹿取 廣人、杉本 敏夫、鳥居 修晃、河内十郎(編)、2020年7月、東京大学出版会、『心理学(第5版補訂版)』


これではわかりにくいと思います。

おおざっぱに言うと、SCセンセの言う「雑学」のこと。

今井先生によると、「知識のシステム」とも言うべきもの。


私なりに解釈すると:


例えば、あなたのお母さんがあなたに「スーパーマーケットに行ってリンゴを買ってきて」と言われた時、どこのスーパーマーケットに行くか、リンゴはどんな種類のものなのかと言う知識や経験がすでにあり、このことばを聞いたときに瞬間にわかる(節約)。

このこれまでに得た知識や経験がちょうど節約システムのように、少ない情報から多くの情報をを推理し推測することができる。


このリスニングで、耳で聞いた音の情報(単語)からすでに身につけた文法知識や単語の使われ方、使われる場面・状況についての知識から音情報以外の情報を理解し、話し手の言いたいこと、伝えたいことを推理・推測し、そしてさらには次を予測する。そのためのシステムがスキーマのようです。


今井先生はスキーマについてさらに次のようにも説明しています。


 人は入ってくる情報を、まったく何も考えず受動的に受け取っているわけではない。常にスキーマを使って、次の展開を予測しながら聴いている。次にどのような意味の内容を話し手が言うかを予測し、そこから単語も予測する。(中略)「聴く」ときも同じである。どんなに優れた音素の聴き分け能力を持っていても、どのような内容のことばが耳に入ってくるかが予測できないと、知っていることばでも聴こえない。子どもと違って大人は豊かな概念と理解力を持っている。細かい音の聴き分けができなくても、相手が話している内容についてのスキーマを使うことによって、だいたい何を言っているのかがわかり、次に現れる単語も予測することができる。その逆に、予測ができないと、熟知している単語でも、聴き取れないことがある。

(『英語独習法』第7章 多聴では伸びないリスニングの力 P135)


これが今井先生の言うスキーマです。

SCセンセの言う「雑学」。

聴き取る単語の知識だけではなく、すでに身につけた知識や経験、それらを単語を聴いた瞬間にスキーマ(「知識のシステム」)を使ってリスニングしている内容を推理・推測し、次の展開を予想し、出てくる単語も予想する。


実はこれ、母語でも同じです。

自分がまったく知らない分野の話を聞き取るのと、自分が興味があり、よく知っている内容についての話を聴き取るのとでは情報がまったく違う。

興味があり知っている内容なら少々わからない単語があっても内容を理解することができるし、その反対にわからない内容なら、仮に一つ一つの単語を正確に聴き取ったとしても意味を理解することはできないでしょう。


このことをSCセンセは言っているのです。


その上で、適切な単語・文法やその他の知識(「雑学」)の下支えがある状況で、リスニングをするときに、無意識に使っているスキーマ(「雑学」)を使って意味や背景、話の流れを推理・推測、予想するトレーニングとして数多くのリスニング素材をリスニングすることは多いに役に立つし、また、必要なことでしょう。


話が長くなって申し訳ありません。

ですが、さらにもう少し、説明させてください。


通訳をする時にもこのSCセンセが言うところの「雑学(関連知識)」や今井先生の言うスキーマはとても大切です。


自分の知っている分野を通訳するのは話し手の話す内容を推測しやすいし、話し手の考え方もわかっていれば話の内容も予測することができる。

それはちょうど、「他者の靴を履く」ように、相手の立場を考慮し、相手の身になることで通訳することができます。

リスニングも同じだと思います。


最後に、今井むつみ先生のリスニングの力を向上させるポイントは:


(『英語学習法』第7章 多聴では伸びないリスニングの力 P141)

※マルチモーダルな情報:

音声以外に視覚情報やその他内容についてのヒントを与えてくれる情報。


皆様の参考になれば幸いです。