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SC神戸中国語スクール 京都校

全くのゼロから、ビジネス会話、通訳レベルまでしっかりと学べる中国語スクール、SC神戸中国語スクールの京都校のブログです。

NHK英会話。

昨年4月からはじめ、2025年を越して2026年になりました。

そのNHK出版のデジタルマガジンで次の記事を見ました。


https://mag.nhk-book.co.jp/article/81494



「知っている」より「使える」を増やす!


とても大切だと思います。

でも、日本ではテストのための学習、受験のための学習が主になっているので、語学の学習も「知っている」ことを増やし、テストでその知識を解答することが学習だと思われているのではないでしょうか?


例えば理科の実験。


初めから答えがわかっていることを手順通りに行い、その結果を確認する。

そしてその状況を覚えて、試験でその知識を書くことで優秀とされる。

これでは「知っていること」=「知識」が重要で、多くを知っていることが優秀ということになるのではないでしょうか?


でも、語学は「知識」だけでは不十分です。

その「知識」を使うことが大切です。

そして「知識」を使うためには、「道具」である知識を使う訓練が大切。

どんなに立派で多くの「知識」を持っていてもそれを「使う」ことができなければ宝の持ち腐れ。

だから、これまでお会いした外国語使いの人たちを見ると、「使う」ことのできる外国語を日々使っている人は発音が少々悪くてもコミュニケーションをとることができていました。


例えば、彼氏や彼女が外国人の場合、毎日必死で外国語を使うことになります。


何かを伝えたいとなれば、辞書などで調べ、それを使ってみる。

それが通じないと何とか理解してもらおうとあの手この手を使って何とかしようとします。


これはちょうど赤ちゃんが言葉を習得する過程に似ています。


認知科学、言語心理学、発達心理学で乳幼児がどのように言葉を習得していくかを研究されていた今井むつみ先生は次のように言います。


(このように、)赤ちゃんは聞こえてくる単語をただぼんやりと聞いている訳ではなく、無意識のうちに鋭い分析をしているのです。赤ちゃんは大人のように「高級なこと」はできないと前に述べました。でも音のつらなりを区切って単語を見つけ、それを記憶にストックしていく赤ちゃん、実はとてもすごいことをしているのです。

ことばの発達の謎を解く (ちくまプリマー新書)P34


まず、お母さんのお腹にいるとき(羊水にいるとき)リズムとイントネーションを学ぶと言います。

そして、生まれてからは単語の切り分けを自分で分析し(使うために?)さらに、切り分けた単語がどのように使われるのかを自分で考えると言います。

そして、ことばのシステムを構築すると言います。


切り分けた単語をどのように使うか。

それを自分で分析して身につけ、試行錯誤していく。


この「自分で分析して試行錯誤する」というのがとても重要だと思います。


外国語の教授法には大きく分けて直接法と間接法があります。

直接法は、例えば日本語を母語とする人が英語を学ぶ場合、レッスンは英語のみで行われます。

これは日本語の教授法でもよく使われているようですね。

間接法は同じように日本語が母語の人が英語を学ぶ場合、レッスンを日本語を交えて行います。


どちらの方法がいいかということについて、私は人によると思いますが、いずれにしても「ただ、知識を記憶するのではなく、自分で『使う』ためにどのようにするかを考えることが必要です。

(実際、直接法のベルリッツはかなり詳細な教授課程が用意されているようです)


赤ちゃんなら母語を使うために必死になって「知っている」だけではなく「使える」ことばを身につけようとするでしょうが、大人はそうではありません。

どうしてもこれまでの学習方法。つまり、「知識」重視になるでしょうが、ことばは「使う」もの。テストで100点とってもあまり意味はないのではないでしょうか?


ことばは思考の道具ではありますが、やはりコミュニケーションの道具でしょう。

鳥のことばである「鳴き声」も仲間に危険を知らせたりするためのものだと言うこと。

言葉というものはやはり奥深く、自分の経験だけで判断するのではなく、科学的な方法で仮説を立て、それを実験することで検証することが重要だと思う今日この頃です。


そのためには今井むつみ先生の各ご著書は語学を教えるものにとって大いに参考になると思います。



「中国語は発音が命」

ネットで調べても、「中国語は発音が重要」「中国語は発音が命」とありますし、私自身、発音は中国人のアナウンサーのものまねをして、できるだけ中国人(アナウンサー)の発音に近づけるように努力しました。


SC神戸中国語スクールの代表、森川センセもそうです。

中国に国費留学し、演劇部に所属し、中国語を鍛え上げました。

また、中国語講師として日本語が母語の人にどうやったら中国語の発音を説明することができるか、そして中国語らしい発音をしてもらえるかを日夜考えているので、わかりやすくマスターしやすく説明するようにしているのですが、今井むつみ先生の言うように赤ちゃんが母語の学習をより効率的に進めるために、母語に不必要な音の違いへの違いを捨てていくことを学習している。つまり、英語のrとlの違いを捨ててしまうように中国語の発音の中で日本語学習に不必要な発音は捨ててしまうのなら大人になってから中国語の発音をマスターする(中国人らしい発音をする)のは困難なのでしょうか?

(※「中国語は発音が命」でも・・・

を参照してください)


確かに中国語の発音は難しい面はあると思います。

英語の発音のように中国語を発音する「音」と中国語(普通話と呼ばれる共通語のような中国語)独特の「四声」があり、発音するときにちょうど車の両輪のように、「音」と「四声」の二つを同時にこなさなければならないからです。

でも、これは英語でも同じではないでしょうか?

今井むつみ先生は『ことばの発達の謎を解く』の中で次のようにおっしゃっています。


 ここで少し脱線してしまいますが、「英語らしく」聞こえさせるためには、単語のアクセントを正しく発音することがとても大事です。アクセントが合っていれば少々音がなまっていても英語ネイティヴの人にわかってもらえますが、アクセントの位置が違うとほとんど通じません。


ことばの発達の謎を解く (ちくまプリマー新書)


英語も中国語のように「音」と「アクセント」の二つを同時に考えながら発音する必要があるようです。


中国語だけ特別に「中国語は発音が命」だと強調し、入門時に日本語にない音の発音だけを繰り返すのはこれから中国語を学ぼうとする人の出鼻をくじくことになるでしょう。


それより中国語を楽しんで学び続けることができるよう、実際に使える表現を学ぶ方がいいと思います。


「それでも、最初に正しい発音を身につけないと後になって矯正するのは困難」


そう言う中国語講師も多いと思います。

実際に一度クセがつくとそれを矯正するのは至難の業でしょう。

でも、それはその人が「聴覚に特化していないタイプ」だからで、言葉というのは発音だけではありません。

実際、中国人でも、方言のなまりが強い人も多い。

中国の南方の人ならそり舌音は苦手な人が多いでしょう。


会話って発音(含む四声やアクセント)だけでなく、話し相手が何を話そうとしているのか理解しようとすることが大切で、また、伝える方もなんとか伝えようと相手の理解度を確かめながら会話することが大切だと思うのです。

そのためには一生懸命伝えよう(理解しよう)として、いろんな表現や単語を駆使することが大切だと思うのです。


日本語にはない音ばかりを延々と練習するより、出鼻を挫くことなく会話を楽しめるように。

特に相手を理解し、自分を理解してもらうことの楽しさを味わえるように学ぶことが大切だと思いますが、どうでしょう?


ところで今井先生は『ことばの発達の謎を解く』の中のコラムえ次の例を紹介されています。


 この章で、「赤ちゃんは母語と外国語の区別ができる」とか「日本語の環境に育つ赤ちゃんでも [l] と [r] の区別ができる」といったことを述べてきました。これらはみな、赤ちゃんを対象とした心理学の実験からわかった事実です。では、その実験はどのようにするのでしょう?


この答えは『ことばの発達の謎を解く』のd第1章 アラミルクガホシイノネー単語の発見 コラム①赤ちゃんの持つ知識をどのように知ることができるのかp35にあります。


今井先生のご著書は、特に外国語を人に教えようとする人にとってとてもためになる著書群だと思います。


ことばはコミュニケーションの道具。

ことばは思考の道具。

言葉が異なれば認識も異なるか?


ことばって本当におもしろい!


認知科学、言語心理学、発達心理学の専門家。今井むつみ先生。


脳科学の黒川伊保子さんや、行動経済学の竹林正樹さんなどを学び、今は、認知科学を学んでいます。


今井むつみ先生の著書の中の『英語独習法』の中に中国語学習者(と言うより教える側)にとって是非考えていただきたい事柄がありましたのでご紹介します。


 外国語を学ぶとき、最初の授業でのっけから音素の聴き分けや発音練習から始めることがある。私が中国語を習い始めたとき、中国語の単語をまったく知らないのに「そり舌音」など、日本語にない音の発音を繰り返す授業が続き、うんざりした。これはじつは、成人にとってはもっとも困難なことを最初にやって出鼻をくじこうとしているようなものだ。

(『英語独習法』P134)


さて中国語を学んでいるあなた。

どうでしょう?

中国語を学び始めた時、まずは基礎だと言うことで中国語の命である発音を学び、説明を聞き、練習したのではないでしょうか?


私は中国語学習の最初は、NHKのラジオとテレビ講座だったので、今井むつみ先生が「うんざりした」と言う音素の聴き分けや発音練習は「こんなものだろう」と、素直に学んだのですが、これは私が「聴覚が得意※注」だったからつまずくことなく学習を進めることができたのかもしれません。

(※注:「嫌われる勇気」のアルフレッド・アドラーは「脳のタイプ」として「視覚タイプ」「聴覚タイプ」「体感覚タイプ」があると言っています。)


乳幼児の言語学習を研究して来られた今井先生によると、赤ちゃんは、生まれてすぐは、すべての言語で区別される音をもれなく区別することができる(聴覚障害などがない限り)とのことです。

でも、赤ちゃんは1歳ぐらいまでに、不必要な音の区別(例えば英語の r, lの区別)には注意を向けなくなると言います。

それは、母語に必要な音の区別だけを残し、音素を効率よく区別できるような情報処理のシステムを作るためだとのことです。


つまり、情報処理のリソース(認知的資源)は限られているので、母語で必要のない音の区別は捨ててしまうとのことです。


だから捨ててしまった音素の区別を大人になってから学び身につけるのは「うんざりする」経験なのでしょう。


このような科学的な分析なしに、伝統的な中国語教授方法は「発音が命」だからまずは徹底的に発音(中国語の場合は発音と四声)から始めるのではないでしょうか?


では、中国語をどうやって学んだらいいのか。

その答えはこの『英語独習法』を熟読することで得られると思います。


・小さいころから英語(中国語)に触れていれば自然とプロフェッショナルレベルの英語力(中国語力)が身につくのか?

・英語(中国語)に必要な四つの技能、つまりリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングは最初からバランスよく学習するのが合理的なのか?

・英語(中国語)を浴びるように聴き、多読すれば、ビジネスで通用するスピーキング、ライティングができるようになるのか?

・リスニングが苦手な人は、どうすれば英語(中国語)が「聴こえる(hear)」ように、つまり耳から入ってくる英語(中国語)が自然に理解できるようになるのか?

・英語(中国語)の学習には暗記と模倣が有効なのか、それとも暗記は意味がないのか?

・短期間に集中して勉強するのと、気長に勉強を続けるのと、どちらが有効か?


以上の答えがこの本の中にはあります。

中国語を身につける。

特に教授方法について大いに参考になる好著だと思います。


英語独習法 (岩波新書)