イタリア・ワイン探訪(その4)シチリア州「アルタ・モーラ・フェウドディ・メッツォ2015・クズマーノ」(エトナDOC)
シチリアのテロワールを活かしたワイン造りをしているワイナリー「クズマーノ」。
散策編第68回では同じ「アルタ・モーラ・エトナ・ロッソ(スタンダードライン)」
探策編第4回では「トラットリア・タルタルギーナ」さんで飲んだ「ヤレ・シャルドネ(これは樽の効いた素晴らしい白ワイン)
散策編第48回では白ワイン「シャマリス」をご紹介しましたが、日本でも結構メジャーなワインで、多くの料理屋やレストランで飲むことが出来ます。(価格帯も比較的安いものが多いです)
今回も散策編第68回に続き、クズマーノが2003年にエトナで立ち上げた新プロジェクトである「アルタ・モーラ・シリーズ」を紹介しましょう。
エトナの「アルタ・モーラ」には複数のコントラーダ(地域)があります。(地図見てね)
そのうちの一つ「フェウド・ディ・メッツォ2014」はエトナのみのワインガイド『Guida ai vini dell'Etna』2017で「見逃してはいけない19本の中の1本(全体で76ワイナリーの285本)」に選出されています。
「本当に美味しくエトナのテロワールを表現していて無敵のワインである。」と大絶賛。
畑はエトナ北斜面カスティリオーネ・ディ・シチリア内のコントラーダ「フェウド・ディ・メッツォ」。
海に近く日照量が少なく、その分豊富なミネラルがもたらされ、樹齢80年のネレッロ・マスカレーゼ100%で造られています。
火山岩土壌の畑では、ぶどうの樹は火山岩の隙間を這うように食いつき、下へ下へと根っこを伸ばして行くため、この火山岩の土地に地面に棒を突き刺して貫通した所、岩の割れ目のある所に葡萄を植えるそう。葡萄はそこからさらに下に根を伸ばすため、凄い生命力に満ち溢れた強いぶどうが生まれるそうな。
ネレッロ・マスカレーゼは2000年以降に脚光を浴びてきたイタリアの土着品種。
カターニアの北東に位置するマスカリ平野にちなんで名付けられ、サンジョヴェーゼとマントニコ・ビアンコの自然交配によって生まれた子孫と考えられています。
またカリカンテとの遺伝子上の関係があるそうで、地元ではニウレッドゥと呼ばれています。カラブリアでも少し栽培されていますね。
特長はアントシアニンの構成(50%以上がピオニンとシアニン)による淡い色合いでしょうか。ピノ・ノワールっぽい色彩ですが、エトナという特徴的なテロワールの性質が反映されており、ブドウ品種辞典では「サワーチェリー、タバコ、アロマティックなハーブの微妙なニュアンス、そしてミネラル感」ということで、ピノ・ノワールとは全く違う味わいです。。
また単一品種ではタンニンが結構きつめなので、短いマセラシオンと低い温度での発酵、
に加えタンニンの控え目なネレッロ・カプッチョとのブレンドも結構多いですね。
ネレッロ・カプッチョは色彩を与え、酸を和らげる役割を担います。
本ワインは単一品種のため、熟したタンニン効いてますが、酸味のバランスが良く、ミネラル感が飲んだ後の余韻にも表れてきますね。
合わせる料理が難しい・・今回はロールキャベル、これは最高です、ワインとのマリアージュも言うことなし。ただ、本ワインもさすがに7000円ほどしますが・・
ちなみに本2015Vtgの受賞暦ではワインアドヴォケイト94点、ジェームズサックリング93点です。
最後に世界3大テロワール「エトナ」について。
ブルゴーニュ、ランゲと共に世界3大テロワールと呼ばれるようになったのが「エトナ」。ここはクリュの概念がはっきりとしていて色々な生産者がその区画のワインを造っても、ある一定の特徴がはっきりと表れるそうな。(ブルゴーニュのように1m隣の区画で異なるワインが産まれるように)
「少数の生産者達が区画の特徴を表現したとしても説得力はありません。やはり多くの生産者がその区画のワインを造り、そこにある一定の特徴が現れればその区画にはテロワールがあると言えると思います。シチリアのエトナには区画の特徴がはっきりと表れるのです。」とはエトナに特化したブランド「アルタ・モーラ」を立ち上げ、2つのコントラーダ、「グアルディオーラ(前回紹介)」、「フェウド・ディ・メッツォ(今回紹介)でクリュ・ワインを造っているクズマーノの言。
さて、30度も超える日が続きそうですね。ラニーニャ現象のせいで、最強の暑い夏になるとか・・
皆様も体調を崩されないように美味しいお酒と食べ物で乗り切りましょう!