イタリア・ワイン探訪(その1)マルケ州「ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ・リゼルヴァ・ミルム2019・ラ・モナチェスカ」(ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ・リゼルヴァDOCG)

 

イタリア・ワインの縦走、散策、探策合わせて全州の300銘酒紹介で完結しましたが、まだまだ飲んだくれてますので、今シリーズは「探訪」に切り替えて、またまたワインを紹介して行きましょう(もうええですか:笑)

 

 マルケのヴェルディッキオ種白ワインの最高峰と言われる「ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ・リゼルヴァ・ミルム」(購入時価格は4500円ぐらいでしたが現在は5000円越え)のご紹介です。

 本ワインは粘土質わずか3haの「ミルム」畑のヴェルディッキオ種を使用し、樹齢50年を超える樹のぶどうも含めて10月の最終週まで収穫を遅らせて完璧に熟したぶどうだけを使います。

 年によっては貴腐菌が着くこともあるそうで、軽くプレスしながら20日間のマセラシオン、ゆっくり発酵させます。春先までシュール・リーの状態で保管、マロラクティック発酵は5月頃に暖かくなってから自然と始まるのを待ちます。

 例年発酵完了まで9ヶ月程時間をかけており、その後18ヶ月の熟成を行ってリリースされます。

 例によって「ビベンダ」で14年連続5グラッポリ(2006-2019)、「ヴィタエ」で5年連続4ヴィティ(2015-2019)、ジェームズ・サックリングで93点(2016)、ワイン・アドヴォケイトで90点(2016)、ワイン・エンスージアストで93点(2015)、アントニオ・ガッローニで91点(2015)と高得点を取るワインですが、以前ご紹介したDOCG「ヴェルディッキオ・ディ・カステッリ・ディ・イエジ・クラシコ・リゼルヴァ」は果実味が多いですが、こちらはより酸味とミネラルが感じられるそうな。

 今回も満を持して、金剛山で頂きました。予想通り雨の登山となりましたが、キャンプ場に着く頃は晴れ間も出てきて涼しくて気候的には最高。

 3年以上熟成させなさい、とのことで5年待ちました(笑)、

 香りがスミレのような、山の中で飲むのにぴったり、気品が感じられるまろやかな、それでいて酸が効いててキリッとした最高のお味。

 合わせる料理は牛タン塩焼き、鶏の塩焼き、ししゃも(まさに格言「魚とヴェルディッキオ」!)など。どれも白ワインにぴったりですね。

 

 ワイナリー「ラ・モナチェスカ」は1966年カシミーノ・チフォラ氏がマテリカにある丘を買取り、丘の斜面にブドウを植樹し醸造所オープン。1982年には現当主アルド。チフォラ氏が参加し、醸造面を大きく改善、現在もマテリカ地区で素晴らしいワインを造り続けています。

 どちらかというと、前述の「カステッリ・ディ・イエジ」の方が有名なのですが、こちらのエリアのほうが早くからワインを造っているようです。

 

 散策編第11回の「ヴィーヤ・ノヴァリ」

 散策編第50回の「アンドレア・フェリーチ」

 探策編第21回の「カサル・ディ・セッラ」

 探策編第72回の「マロッティ・カンピ」

 

 それというのも産地の規模が非常に小さいことと、山々に囲まれ陸の孤島となる物流条件の悪さがマテリカのワインの普及を妨げてきた背景。 

畑は豊富なミネラルを含んだ土壌で、元々塩田であったため、表面は灰色がかった粘土質が覆っているが、ミネラルに富む土壌が地中深くまで続いていて、複雑な構成となっています。高い樹齢から密度の高さを、複雑な土壌から味わいの深みを、南向き斜面から強い果実感を、そして昼夜の温度差の大きさから高い酸度を得ているヴェルディッキオ種にとって最高の条件が揃っている畑なんですね。

 

 イタリア・ワイン紹介300回を記念して、これまで紹介したワインの州別本数と、2022年になりますが、イタリア・ワイン州別生産量を表にしてみました(笑)

 昨年は国別ワイン生産量首位の座をおフランスに明け渡したイタリアですが、今年はどうなるのか!(ほんま、アホですわ・・)

 生産量1-3位(ヴェネト、プーリア、エミリア・ロマーニャ)だけで全体の約60%を占めています。ラツィオ州とマルケ州は同じ生産量で11位です。

こうして見ると、だいたい生産量に応じた紹介数になっているのも自分としては面白いです。