イタリア・ワイン散策(その58)ロンバルディア州「オルトレポ・パヴィア・クロアティーナ・ザッフォ・2017・マルティルデ」(プロヴィンシア・ディ・パヴィアIGT)

 

 散策編第3回で紹介したロンバルディア州オルトレポのワイナリー「マルティルデ」の「バルベーラ種」、同じく縦走編第99回「ボナルダ種」(どちらもラベルはネコちゃん)があまりに美味しかったので、今回は「クロアティーナ種(ボナルダ種)100%」のウマさんラベル(動物にはずれなし!)を買ってみました。価格は同じく2800円程度です。

 ワインは粘土質土壌を持つマルティルデの最良の区画の畑で良作年のみ造られます。有機栽培で育った「クロアティーナ」を野生酵母で発酵、フレンチオークの大樽(25ヘクトリットル)で3年以上じっくり熟成されてます。

 もともとボナルダはタンニンが強力なのですが、長い樽熟成期間で和らいでおり、非常に飲みやすく仕上がっています。

 ちなみに先に紹介した縦走編第99回のボナルダ種は果実味のフレッシュ感を出すため、あえて樽熟成を行っておらず、同じワイナリーの同じボナルダの異なるお味を楽しめます。

 

 さて今回も少し寒い金剛山キャンプ場で今季初のBBQにて、厚切りタン、ウィンナー、ハラミ、車エビなどと頂きました。

 さっそくデカンタージュするのですが、その際にオーク(樽)や果実味の香りが広場に広がります。

 お味もそこまで濃厚でもなく、果実の風味とやわらかな酸味が口の中に広がり、そこに各種お肉類とマリアージュ。

 ラベルに描かれているウマにゃんは寡黙で従順なワイナリーのムルゲーゼ種牡馬「ザッフォ」のこと、やさしさと力強さを兼ね備えたワインと言えましょう。

 最後には澱がたっぷり残っており、長期間熟成されたことが伺えます。

 オルトレポのワインはどれも素晴らしいですね!全種買ってみたいです。

 

 ワイナリー「マルティルデ」(サイトのネコちゃん見てね!)は1100年頃からブドウ栽培とワイン造りを行っている地域(ミラノから南に60キロメートル、ピアチェンツァに程近いロンバルディア南端、ロヴェスカーラの標高200メートルの小高い丘の頂)に処を構えています。

(ロヴェスカーラは「クロアティーナ種(ラベルの裏は「クロアティーナ」の表記)と、そこから派生した「ボナルダ種」の発祥の地です」

 ピエモンテ、リグーリア、エミリア・ロマーニャと州境を接するこの地域は「オルトレポ・パヴェーゼ」の生産地域で、マルティルデの畑は17ha、うち15ヘクタールで土着品種のクロアティーナ(ボナルダ)、バルベーラ、マルヴァジアなどを栽培しています。

 もともと技術系のワインとは全く無縁の仕事をしていたロンバルディ夫妻がロヴェスカーラの美しい風土と古いブドウ畑が広がるマルティルデの地所に強く惹かれ、ミラノからこの地に移り住んだのは今から30年数年以上前で、ワイン造りに関する知識も経験も皆無だった2人は栽培と醸造について1から学び、1991年にファースト・ヴィンテージがリリース。(こういった話はよく聞きますが、並大抵の努力ではないでしょうね)

 ブドウの栽培には当初から有機農法を取り入れ、さらにロンバルディアを中心に活躍する腕利きエノロゴ、ジュゼッペ・ザッティをパートナーに迎え、現在では自然派ワインの造り手として確固たる地位を築いています。

 

 マルティルデの畑はいずれも古くからある畑で、一部の畑には樹齢数十年の古樹が残っていますが、基本、古樹は植え替えを行い、植え替えの済んだ畑では樹齢3~14年の樹が1ha当たり5000本の密度で植樹。ギュイヨ仕立てで、剪定によって果実は1本当たり10房以下に抑えています。

 土壌は粘土質が主体で少量の石灰質が交じり、果実味豊かでミネラル感を持ったワインが産み出されます。

土壌の構成は畑ごとに微妙に異なりっており、(ミクロクリマ)、同じ畑でもブドウの味わいが異なります。病害への薬剤の使用は最低限、農薬や合成除草剤は一切しない自然派の栽培を行っていますね。

 動物系ラベルばっかりの素敵なワイナリーです!

 

 金剛山お花畑では福寿草が満開、マンサクは終わりかけって感じでした。