夜話 1333 こどもの絵をと゛う見るか そのニ
この絵を見てください
先ず主体のお父さんの顔を でっかく描いている そして両手をあげて 何かを持っている
頭の上の棚らしいものからいくつかのモノがぶら下がっている ブドウだ 右手のモノはブドウ 左手のものはどうやらハサミらしい
この子の親はいまブドウを収穫しているところ 若い父親 耳にィアリンク゛がある
目はたわわになっているブドウを睨んでいる 嬉しいお父さんは大笑いしている
描いた「ときとくん」も嬉しいはず 父と子が喜びを共有した絵
ブドウちぎりの喜びを思いだした絵
まだ「写生」の年齢には達していない
つまり小ニごろまでは「思い出」を描くときである
だから顔の周りは何も描いていない
空白である
想い出すものがないからだ 幼年期とはそうしたもの
試しにお聞きする「親御さんこのお父さんの周りにあるもの描けますか」描けないはず
そこに任意の色を塗らせて何とする
年齢と経験が進むと ちゃんとお父さんの周り描けるようになる
それまで親は待たねばならない 幼年期は「知っていることを描く時期」
知らないことは描かなくていい つまりお父さんの周りの空白をそのまま認めて やがて「もの」を知ることでその空白は描くことにより埋まっていく それまで待ってやること 絵は描くこと塗ることではない
つづく