夜話 1334 子どもの絵をどう見るか その二 | 善知鳥吉左の八女夜話

善知鳥吉左の八女夜話

福岡県八女にまつわる歴史、人物伝などを書いていきます。

夜話 1333 こどもの絵をと゛う見るか そのニ 

            

善知鳥吉左の八女夜話

この絵を見てください 

先ず主体のお父さんの顔を でっかく描いている そして両手をあげて 何かを持っている 

頭の上の棚らしいものからいくつかのモノがぶら下がっている ブドウだ 右手のモノはブドウ 左手のものはどうやらハサミらしい 

この子の親はいまブドウを収穫しているところ 若い父親 耳にィアリンク゛がある

目はたわわになっているブドウを睨んでいる 嬉しいお父さんは大笑いしている 

描いた「ときとくん」も嬉しいはず 父と子が喜びを共有した絵

ブドウちぎりの喜びを思いだした絵 

まだ「写生」の年齢には達していない 

つまり小ニごろまでは「思い出」を描くときである

だから顔の周りは何も描いていない 

空白である 

想い出すものがないからだ 幼年期とはそうしたもの 

試しにお聞きする「親御さんこのお父さんの周りにあるもの描けますか」描けないはず 

そこに任意の色を塗らせて何とする 

年齢と経験が進むと ちゃんとお父さんの周り描けるようになる 

それまで親は待たねばならない 幼年期は「知っていることを描く時期

知らないことは描かなくていい つまりお父さんの周りの空白をそのまま認めて やがて「もの」を知ることでその空白は描くことにより埋まっていく それまで待ってやること 絵は描くこと塗ることではない

つづく