奈良・霊山寺(りょうせんじ・奈良市中町)。
私はなんと寺そのものをまったく知らずにいた。
いわんや三重塔をや!
唐招提寺、薬師寺から西へ2㌔ほどの地。このあたり来たことはなかった。
しかも広大な伽藍、境内! かくの如し。
開基は奈良時代、行基という。行基像にご挨拶して。
本堂は国宝というがめざすは三重塔。
湯屋川をはさんで向かいの地に建立されているという。
苔むす石畳を歩む。
さらに行く。
感じのいい導入の路、いかなる三重塔が待っているのか。
おっ、見えたぞ。
おぉ、なんと素晴らしき朱色の塔ではないか!
高さ17㍍、5・5㍍四方の屋根は檜皮葺、鎌倉中期の建立。
初層内部に巨勢金岡(平安時代絵師)の極彩色の壁画が飾られているという。
冬とはいえ、朱色の塔を守るように囲む緑樹が塔を鮮やかに際立たせる。
それにしても不覚、こんなお寺が、こんな塔がまだ奈良にあったとは、まったく知らなかった。
春から秋にまた来なければ。
次の百済寺(くだらじ)もこれまた全く知らず初見参。
百済寺といえば滋賀県の湖東三山の一つが名高く、行ったことはあったが、奈良の百済寺はまったく知らなかった。
因みに湖東三山の百済寺は「ひゃくさいじ」と読み、三重塔は無い。
奈良広陵町の百済寺。
奈良盆地のど真ん中、周囲にビルも高層住宅もない田園の地、美麗な三重塔がそびえていた。
位置情報としては、当麻寺の北東6~7㌔ほど、唐古鑓遺跡から南西6~7㌔ほど。
まずはご覧あれ!
私は一瞬、薬師寺の東塔を思い浮かべたが…。
薬師寺のは裳階がある。
興福寺の三重塔によく似ているらしい…。
「塔は縁のない高欄をめぐらし、中央間板唐戸、脇間連子窓、中備えは中央間のみ間斗束。扉は端喰戸(はしばみど)。組物は三手先組物、軒は二軒繁垂木」
などという、素人にはまったく解らないチンプンカンプンの専門的な解説を読んだ。
「本瓦葺きの屋根」というのは分かったような(笑)。
塔の建築法は極めて難しく、専門的なのだろう。
境内は狭く、三重塔が燦然。
それにしても複雑な建築物、感嘆する。
境内の百済寺の解説板。これもまた難しい。
国宝にもうすぐ昇格できるような重要文化財らしいが、確かにこんな美しい三重塔が、 まるで「隣の家」のように無造作に建っているなんて、まさに「奈良」! 三重塔は女性的な優美さを、五重塔は男性的な豪放さを感じさ せてくれる。 |