西国三十三ヶ所観音霊場〈第十九番札所〉 霊麀山 革堂 行願寺 (京都) | 星の道

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先日、京都市中京区にある行願寺へ参拝に行って参りました。


拝観が8時から始まるのでそれに合わせて伺いました。
(恒例のあさイチ参拝です。京都のお寺なので遅い時間だと混むだろうなと思って…)

境内には写真のように鉢植えが参道沿いに沢山置いてあって、藤袴の花に道案内をされているような風情があります。

 

 

どうやら参拝に伺った時期が偶然こちらのお祭りと重なっていたようで、その関係でしょうか、本堂近くでは藤袴のグッズ?が数種類ほど並べてありました。
下にあげた写真の向かって左側奥が藤袴グッズコーナーになっていて、アロマウォーターやポプリ、そして薬草湯が置いてあったのを覚えてます。
効能の説明が書いてある紙も貼ってあり、『この花は神経痛や皮膚のかゆみなどに効く薬草としても有名で、主に浴湯料などで用いられていて云々』というような内容だったような…。


香炉の上のおしゃれな狛犬さん。
綺麗な朱色の生地に金糸の柄は「晴れ着感」があってなんとも素敵だなーと思います。
これは牡丹の模様なのかな…?

そんな事を思いつつ香炉にお線香をくべて、そして靴を脱がずにそのまままっすぐに階段を上って本堂へ。


参拝の順番待ちをしているネコ。
…ではなくて、こちらのお寺の猫さんでした。

この猫さんはお寺の人が言うには「怖がり屋さん」で、初対面の人がそばに近寄っても飛んで逃げるんだけど、普段から可愛がってくれているご近所さんや顔を覚えている常連さんだと、安心して自分から近寄って甘えたりするそうです。
上の写真は可愛がってくれる方の後を追って本堂前まで来てたところを後ろから撮ったもの。なんだか本当に参拝の順番待ちの列みたいに見えて微笑ましかったです。
こういう光景はなんか見てるとほのぼのしますね。
鳴き声もかわいかったです。


先に参拝されてた常連さんと猫さんが仲良くいっしょに移動してから、私も本堂の千手観音様にご挨拶をさせていただきました。

こちらのご本尊(千手観音)は秘仏なので通常は厨子越しでしか参拝できないんですが、33年に1度だけ御開帳されており、それが今年の9月初旬から10月初旬まで。
最終日の数日前にそのことを偶然知ることができ、なんとかギリギリ御開帳日にこちらに参拝に来ることが出来ました。



通常の参拝位置(上の写真の位置です)からでも本堂奥におられる千手観音像はそこそこちゃんと拝見できる感じではありましたが、せっかくなのでお堂の中に入れる「特別拝観」を申し込みます。
授与所で申し込んで、受付で特別拝観料をお渡ししてから靴を脱いで堂内へ。
(写真撮影禁止なのでお堂の写真はありません)


特別拝観だと本当に千手観音様の30cmくらいしか離れてないような位置まで行くことができました。
仏像にこんなに近寄ることが出来たの初めてかもしれない、と思うぐらいの超!近距離です。
しかもあさイチだったので堂内には他に人もいなく(お寺の人もいなくて本当に貸し切り状態という…)、千手観音様のお姿を目の前に見ながら小声で真言や心経を唱えたりとかもできたし、長めのご挨拶やお願い事なんかも、それはもうじっくりと話すことが出来ました。
特別拝観とは言え、秘仏であるご本尊にここまで近寄れるなんて思わなかった。贅沢なひとときでした。



そして感想。
こちらの千手観音様、すっごいお優しい気がします。
千手観音といえば京都ではやはり三十三間堂が有名で、私もお盆やお彼岸に合わせて三十三間堂へよく行くんですけど、あちらのご中尊とはまたちょっと雰囲気が違うような。
 
もちろんその「違い」というのは優劣などではなくて、そして向こうがお優しくないということでは決してないです。
三十三間堂はほんとうに「験が効く」というのを実感で感じるお寺で、なので私はお彼岸やお盆、親族の年忌などの際には、家の宗派でやる法事とは別に三十三間堂にもお願いしたりしてるんですが(7日間毎朝、天台僧侶がご中尊に卒塔婆供養のご祈祷をしてくれるのに価格はなんと千円という破格な値段なので、みんな気軽にばんばん頼めばいいと思う。めっちゃお得な上に効きますよ)

三十三間堂のご中尊はお優しくて、そして同時に格(…というか位?)の高さというようなものを感じます。
どちらも千手観音像なのでお働きは同じなんですが、三十三間堂のご中尊は力のあるご仏像、というのがひしひしと伝わるというか。
前に行くと迫力ありますよね。

革堂の千手観音様像はまた違って、そっと人の傍に寄り添ってくださるような雰囲気というか、優しさ無限大みたいな感じを受けました。

真数千手観音⑰行願寺(革堂)

こちらはネットの海で見つけた革堂の千手観音像(秘仏)。
(駸々堂出版 津田さち子著 「秘仏巡礼」より引用)
とにかく優しい感じだと何度も書いてる理由が伝わりますでしょうか。


こちらの千手観音菩薩像は、このお寺を開いた行円上人の作なのだそうです。
行円上人は狩人だった頃に山で身ごもった母鹿を射止めてしまい、そのことを悔いたのが発端となって仏門に入ったのだそうです。
以降は常にその母鹿の皮を身にまとって貴賤を問わずに多くの人を助け導き、人々からは「皮聖」と呼ばれていたことから、いつしかこちらのお寺も「革堂」と呼ばれるようになったのだとか。


…ものすごく優しい仏像だなと感じるのは、上人さんが彫った像だからなのかな…。
なんとなくですが、仏像って彫った(作った)人のカラーがどこかしら出るような気がします。
空海さんが彫った仏像には空海さんのカラーが、最澄さんの彫った仏像には最澄さんのカラーが、そしてこちらの千手観音像には行円上人のカラーが出てるような気がするんですよね。

その仏に希(のぞ)む何かというか。
仏師じゃなくて僧侶が仏像を彫る場合、僧侶自身がその仏と感応する部分がまず前に出てくるのではないのかな、と。
例えばお不動さんに常日頃悪霊退散などの祈祷をしている僧侶が不動明王の像を作って開眼したら、やっぱり破邪の験がかなり強い不動明王像になる気がする。
要はその仏のどこにその僧侶がアクセスしてるのか(感応してるか)、というのが仏像になんとな~く出る気がします。



特別参拝を終えて、境内にあるお堂へ。
こちらは本堂向かって左側奥にあった鎮宅霊符神堂。
陰陽道の神様が祀ってあるのは珍しい。
もしかして霊符も授与所にあるのかしら…と思って探してみましたが、霊符は取り扱ってはないようでした。
 


寿老人神堂の右横に並んでいる七福神像。
こちらのお寺で祀られている寿老人は「都七福神巡り」にも選ばれてます。




鳩と愛染堂。
お堂の名前の通り、愛染明王が祀られてます。
 
 
 
境内のかなり奥側にあった加茂明神塔。
行円上人が彫った秘仏の千手観音菩薩像は「加茂社の木を貰って作られた」という謂れがあり、その縁でこちらにある石塔なのかな…?

加茂社としか書いてないんで上賀茂か下鴨かというのはわからないようですが、なんとはなしに下鴨の霊木で作られてるような印象があります(単なる勘ですけど…)。
 
 
石塔の中には不動明王がおられました。

 
こちらの石塔で手を合わせた時に、「せっかく千手観音様のお里がわかったんだし、このまま下鴨神社にも行ってこようかなー」と思い立ち、急遽下鴨神社にも久々に参拝に行って参りました。
(上にも書きましたが加茂社としか書いてないのではっきりそうだと言う訳ではなくて、自分がなぜかそう思い込んだだけです…)



その記事はまた次の記事で。
ではでは。