ペーパーバックの作成で苦労したのはKDP(Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング)のソフトだけではない。原稿を書いているマイクロソフトの「ワード」の使い方に習熟していなかったこともあった。
Word のファーストバージョンが世に出たのは1989年らしいが、ワープロに慣れていた私がやむなくワードに乗り換えたのは、2000年頃だったと思う。ちょうど小説家を志願して原稿を書き始めた頃だ。
以来、20数年にわたって原稿を書いてきた。 A4ヨコの用紙一枚に縦書きで43字45行を書くと120枚で文字数は14万8千字、単行本1冊分となる。
それをコピーして応募するとか、出版社に提出すれば済んでいた。
ところがペーパーバックの原稿としては、それだけでは土俵にも乗れない。紙のサイズをB6にして、フォント(文字)のサイズも少し小さくした。上下左右の余白もなるべく小さくする。そういう条件を入れると、何字何行の最大値が現れる。1ページ20行と指定してOKをクリックすれば、そうなるはずが10行で頭打ちになってしまった。
1ページ10行ではページ数が膨らむし、隙間だらけのページでみっともない。せめて15行にしたいのだが、なんともならない。パソコンがダメになったのか。購入時にパソコンに搭載されていたソフトの問題なのか? NEC や Microsoft に問い合わせるにしても、今は電話で手軽に聞ける状態ではなく、ネットのチャットで AI と交信する時代で、隔靴搔痒どころか解決に到達するのはまず無理という状況だ。
だが、そのステップを踏んでいるうちに、ふと閃いた。改行と段落の区分に無頓着であったことに。
縦書きであろうが横書きであろうが、一行の文章が終わり行を変える場合を迎える。その際、私は Enter キイを右手の「人指し指」で押していた。ちなみに今もって左右の指を使えない初心者クラスなのだ。
それで行は変わるのだが、パソコンでは「段落が変わった」と受け取るのである。
正しい改行の入力は左手の指で Shift を押しながら、右手の指で Enter キイ を押さねばいけない。
その間違いを直してやると、ようやく行数を増やすことができた。
といっても変更すべきマークは何百とあり、一つずつやってたら日が暮れる。一括変換の仕方をスマホで調べながら何とかできたが、2冊目の原稿でやる時は、そのやり方が思い出せない始末。ああ情けない……。
細かいところで苦労したのはルビ(ふりがな)を打った文章の右隣に空白ができるのを無くすことにも手を焼いた。
なんとか満足できる書籍ができ、ほっとしているところだが、残念なのは定価が1500円前後になり、送料が加算されると1900円。それに消費税が加わるので、通常の本と変わらぬ値段になってしまったことである。
(左は販売中・右は校正用のペーパーバック、中央は祥伝社から出された通常の本)
ようやくペーパーバック作成のコツが飲み込めたので、今後は次々に出版してまいります。通説に捉われず、真実を探る矢的史観の作品群にご注目いただければ幸いです。