いよいよ明日から修二会本行がはじまります。
本日15時30分ごろに
練行衆は別火坊から参籠宿所へ向かいます。
18時過ぎには咒師による大中臣祓(おおなかとみのはらえ)が
細殿で行われます。
そして翌1時10分ごろに授戒(じゅかい)、いよいよ本行開始となります。
その前に、できるだけ法要の内容をお伝えしようと思います。
(以下、過去記事の改編。長文です)
聴聞が初めてという人におすすめの日を
練行衆のお一人に聞きました。
修二会は、3月1~14日の
二七日(にしちにち・14日間)行われます。
前半の3月1~7日をを上七日(じょうしちにち)、
後半の3月8~14日を下七日(げしちにち)と
分けて呼ばれます。
また、1日の日程ではお昼から深夜にわたり、
日中、日没、初夜、半夜、後夜、晨朝
(にっちゅう、にちもつ、しょや、はんや、ごや、じんじょう)
の六時(ろくじ)に分けて練行衆による勤行が執り行われます。
これは「六時の行法」(ろくじのぎょうぼう)と言われています。
そのうち、お松明(たいまつ)が上がるのが初夜の前です。
時間帯でいうと19時過ぎごろになります。
(ただし、12日の籠松明の日は19時30分過ぎごろ、14日は18時30分ごろになります)
お坊様いわく、お松明のあとにそのまま
二月堂へ上がり、初夜を聴聞されるのがいいのではということでした。
(これはよく言われていることですね。)
特に、一日、五日以外の上七日の初夜がおすすめとのこと。
今年は塔頭の子弟(たっちゅうのしてい)の新入(しんにゅう)がいて、
三日の初夜は「新入の称揚」(しんにゅうのしょうよう)があり、
(時導師をはじめてお勤めになられます)
五日は実忠忌(じっちゅうき)があるので、ともに1時間ほど長くなります。
そのようなことなしで初夜を聴聞したい場合は、
二、四、六、七日がおすすめです。
初夜から晨朝までは4~5時間くらいの耐久レースです。
聴聞者もそれなりの覚悟がいりますので、
いきなりフルコースのような行をご覧になるのは
ちょっとキツい・・・という方には、
初夜だけを聴聞されるか・・・
昼間に聴聞が可能であるならば、
日中・日没という行があるので、
こちらもはじめてでは、聴聞がしやすいかもしれません。
六時の行法のはじまりは日中(13時くらい)からです。
お昼から深夜にかけて六時の行法をお勤めになられますので、
深夜の晨朝のあと半日ほど、二月堂は閉じられています。
その前に一日一度の食作法(じきさほう)があります。(正午)
長いお祈りがあり所要時間は40分ほどです。
こちらの中の様子はご覧になれませんが、
その後、下座の衆から順番に出堂します。
↑食堂南出仕口付近
食堂でお昼に精進料理をいただいたあと、
ご飯を少し残して懐紙に包んでおくのですが、
(↑鳥獣用の施食です)
南出仕口から出堂したときには、
向かいにある閼伽井屋(あかいのや)へ向けて、
その施食(せじき)を投げます。
お寺さんでは施餓鬼(せがき)供養が行われていますが、
それと意味合いは同じです。
これを生飯投げ(さばなげ)といいます。
このあと、晨朝までは断食です。
日中の行に備えてにウォーミングアップするかのようであり、
こちらの様子は、佐藤道子先生の言葉をお借りすると、
一瞬だけ「野球少年のよう」に見えたりします。
このときに写真を撮りにきている人が結構いらっしゃいます。
その後、練行衆は参籠宿所へ戻り一息ついたあと、
13時ごろ、
日中の行のために登廊から二月堂へ上堂されます。
↑左が参籠宿所
右が食堂
正面の階段を上がった参籠宿所と食堂の間を
細殿(ほそどの)といいます。
↑大中臣祓が行われるところ
ここから二月堂へと上がるための登廊が続きます。
手前は奈良の鹿です(笑)
六時の行法で詠まれる経文の、
基本の構成要素はほぼ共通しているのですが、
初夜と後夜は「大時」(だいじ)といい、
とくに内容が複雑なものになっています。
日中、日没を「中時」(ちゅうじ)、
半夜、晨朝を「小時」(しょうじ)といわれ、
大時>中時>小時といった具合に、
内容は簡略されてあり、時間的にも短縮されています。
日中では「モミ日中」と呼ばれ、おおよそ25分ほどで終了します。
(ただし、一、二日は正式の「次第時」のため少し長く、それでも35分ほどです)
初夜が本番とすると、日中はダイジェスト版のような短さです。
ちなみに小時の晨朝は10分もありません。
たとえば・・・経文をじっくりと聴いてみたい方であれば、
上七日(じょうしちにち)の日中では
称名悔過(しょうみょうけか)と、
宝号(ほうごう)で詠まれるいわゆる
「南無観コーラス」の節回しが、
下七日(げしつにち)になると「引き上げ」といわれ、
略式になるので、
特に上七日の日中の聴聞がおすすめだと思います。
(宝号は観音様の名号のこと「南無観自在菩薩」)
略されたり短縮することは、
実忠和尚(じっちゅうかしょう・修二会の創始者)か、
その後の練行衆により考え出されて構成されていることであり、
時間の都合や僧侶の息抜きなどのためではないのですよね。
修二会は謎めいた行です。
また、六時の行法、神名帳、過去帳など、
個別で解説を入れていきたと思います。
長文にお付き合い頂きまして有難うございました。
それでは、今日も皆様が健康で幸せに過ごせますように。